サルのiPS細胞作り成功

iPSのビッグニュースから1年たちました。
最近、毎日のようにiPS関連の研究成果が報道され、研究競争に拍車がかか
っていることをうかがわせます。

サルのiPS細胞作り成功 北京大などのチーム、世界初

サルの皮膚から万能細胞の一つであるiPS細胞を作ることに、北京大学などの
中国チームが世界で初めて成功した。
将来、iPS細胞を治療で活用する際の安全性確認には人に近いサルでの検証が
必要といわれている。4日付の米専門誌セル・ステムセル(電子版)に発表する。

チームは、アカゲザルの耳から皮膚細胞を取り、京都大が開発したのと同じ四つ
の遺伝子を導入してiPS細胞を作った。
日本でも慶応大や滋賀医大などで別の種類のサルについてiPS細胞作製を伴う
研究が始まっているほか、米国やフランスなどでもサルiPS細胞を使った安全
性確認試験のための基礎研究への関心が高く、研究も始まっているとみられる。
そんな中、幹細胞研究の新興国である中国が存在感を示した。

北京大のチームは、「将来、安全性チェックにも使えるだけでなく、生息数が
減っているキンシコウなどの種を守る技術にもなりうる」としている。
http://www.asahi.com/health/news/TKY200812030299.html
出典 asahi.com 2008.12.4
版権 朝日新聞社

人の胚性幹細胞、新たに2株樹立 京大チーム


京都大が新たに作製したES細胞(中央、京都大再生医科学研究所・末盛博文
准教授提供)
 
あらゆる組織に分化できる人の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を、京都大学
再生医科学研究所の中辻憲夫教授(分子生物学)の研究チームが新たに2株樹立し、
5日発表した。
同チームは平成15年に3株の樹立に成功。
増殖して国内約30の研究機関に配布しているが、再生医療など臨床応用を目指
した研究を促進するために株数を増やした。
 
チームは患者の承認を受けて計10個の凍結受精卵の提供を受け、5個を解凍。
うち、壊れていた1個を除く4個を培養したところ、2個からES細胞の樹立に
成功した。
ES細胞には一つ一つの性質に違いがあり、研究のためにはバラエティーに富んだ
株があった方が有利という。
 
ES細胞の利用については、受精卵を用いる倫理的な問題のほか、がんなどの危険性
も指摘されており、研究チームは今後、臨床応用可能な安全なES細胞の研究を進める。
また、新たな2株についても、増殖させて希望する研究機関に配る態勢を整える。
 
万能細胞としては最近、人工多能性幹細胞(iPS細胞)が注目を集めているが、
中辻教授は「臨床応用についてはES細胞の方が早い」と説明。米国では脊髄
(せきずい)損傷や糖尿病などの治療で、数年以内に応用が始まるという見方もある。
 
中辻教授は「海外では研究用に数十株を樹立している。
iPS細胞は人工的なものだが、ES細胞は自然なもので、iPS細胞よりがんの
リスクは少ない。ウイルス汚染がない臨床応用に適した細胞をつくる技術開発を進めて
いきたい」としている。
http://sankei.jp.msn.com/science/science/081205/scn0812052224001-n1.htm 
出典 産経ニュース 2008.12.5
版権 産經新聞

難病患者からiPS細胞作製 京大の山中教授

京都大学山中伸弥教授は4日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの患者から新型万能
細胞(iPS細胞)を作製したことを明らかにした。難病発症のメカニズム解明や治療の
手掛かりをつかむ研究に役立てる考え。
 
作製したのは、ALSのほか筋ジストロフィー患者のiPS細胞。これらの細胞が、あらゆる
細胞・組織に分化できる万能性を確実に持っているかどうか最終確認しているという。
 
ALSは大半が原因不明で、効果的な治療法がない。
患者からiPS細胞を作って、神経などに分化させて詳しく調べれば、病気が起こる仕組み
が分かり、治療薬開発の手掛かりが得られると期待されている。
慶応大学の岡野栄之教授も同日、パーキンソン病と網膜色素変性症の患者からいiPS細胞
を作製する研究に取り組んでいることを明らかにした。
同様の研究は欧米でも進んでいる。
ハーバード大学などはALS、筋ジストロフィーなどの患者のiPS細胞を作製済み。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20081205AT1G0402J04122008.html
出典  NIKKEI NET 2008.12.4
版権  日経新聞

ヒトiPS細胞作成から1年 山中伸弥・京大教授「早い実用化目指す」

再生医療の切り札とされるヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)の開発成功から1年と
なるのを受け、京都大学山中伸弥教授が1日、同大で記者会見した。
ハーバード大やカナダのトロント大など海外の研究機関と実用化に向けた協力や共同
研究を検討していることを明らかにした。
 
早期の臨床応用につなげるのが狙いで、未公表の実験データを共有し、共同研究も検討
していくとし、近く専門家レベルでの意見交換を始めるという。
山中教授は「ゴールは世界中の人のために役立つこと。1日でも早い実用化を目指したい」
と、国際的な協力の重要性を強調した。
 
また、昨年11月のヒトiPS細胞の成功を公表してから、山中教授のもとには難病患者
らからの問い合わせが寄せられていることも明らかにした。
なかには、難病の娘を持つ親から「10年たったら病気が治せるかもしれないと娘に
初めて話せた」と激励されたことを紹介し、山中教授が席上で涙で言葉を詰まらせる場面
もあった。
 
山中教授の研究チームは昨年11月、人の体細胞に遺伝子を導入してiPS細胞を作る
ことに成功。
今年1月には京大iPS細胞研究センター(CiRA)が設立され、11月には国の
スーパー医療特区にiPS細胞研究が選ばれるなど「オールジャパン」の態勢で研究が
進められている。
http://sankei.jp.msn.com/science/science/081201/scn0812012149013-n1.htm

ヒトiPS細胞活用、運動機能改善へ実験

京大シンポで慶大が報告

慶応大医学部の岡野栄之教授らのグループは4日、ヒトiPS(人工多能性幹)細胞から
作った神経幹細胞をマウスに移植して、運動機能の回復を確かめる実験を始めたことを
明らかにした。
すでにヒトES(胚性幹)細胞で治療効果を確かめており、岡野教授は「来年にもサルで
実験し、人の脊髄(せきずい)損傷の治療に近づきたい」としている。

同日、京都大(京都市左京区)で開かれた慶大と京大の連携記念シンポジウムで、山中
伸弥京大iPS細胞研究センター長とともに報告した。

ヒトES細胞やヒトiPS細胞から神経細胞の元となる神経幹細胞を作り、脊髄の一部
を壊して下半身の運動機能を低下させたマウスの脊髄に移植した。
先に行ったES細胞での実験では、80日後に移植しないマウスと比べると、後ろ脚の
運動機能が明らかに向上したという。

グループはこれまでに、マウスのES細胞で運動機能の回復に成功していた。

ヒトiPS細胞の実験は年明けにも結果が出る見込みで、引き続いてサルで実験する。
臨床応用について岡野教授は「がん化しない細胞を選別する技術を確立し、安全性を
高めることが必要だ」と話している。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008120400211&genre=G1&area=K00
京都新聞 2008.12.5


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