胃もたれ

早いもので今年も残りわずかとなってしまいました。
これからの年末年始は宴会の季節です。
もう忘年会が終わった方も多いのではないのでしょうか。
かくいう当院も先週に忘年会を行いました。

そんなシーズンですが、宴会の翌朝、胃が重い、しくしく痛むという経験はあり
ませんか。
暴飲暴食が原因なら一時(いっとき)ですが、それが日常的に続くようなら要
注意です。
    
■ □ ■

ストレス大敵 有酸素運動

兵庫医科大の三輪洋人教授(内科学)によると、胃もたれの主な症状は、胃に
食べ物がたまっている感じがして、すっきりしない、もやもやする状態だ。
胃の機能が低下しているらしい。
食べ始めたばかりなのにおなかがいっぱいに感じる「早期飽満感」も胃の機能
の低下のあらわれだ。
 
だが、1回や2回の飲み過ぎ、食べ過ぎで、胃もたれになるのは、一過性の
ものですぐに治る。
それより、「慢性的に症状が出ることの方が問題」と大阪市立大の荒川哲男教授
(消化器内科学)は指摘する。
日頃の食事が楽しくなくなる。
仕事に身が入らなかったり、能率が落ちたり。
まれに胃がんの場合もあり、油断はできない。
 
東北大学病院の本郷道夫教授(総合内科)によると、国内では4人に1人が「胃の
不調」を日常的に感じているという。
そのうち、3割程度が「市販の薬を飲んでも症状が改善しない」などと病院を訪れる。
しかし、内視鏡などで胃の中を見ても、異常が見つからない場合がほとんどだ。
 
では、どうして胃の機能が弱まるのか。
専門家は「原因はストレス」と口をそろえる。

胃はおおまかに二つの部分に分けられる。
上部は、食べ物が入るとふくらむ部分だ。
下部は、上部からきた食べ物を十二指腸に送り出す。
ところが「ストレスがかかると、胃の上部がふくらまなくなる」と荒川教授は話す。
ふくらまないので、食べ物が入らない。
これが飽満感につながる。
緊張し過ぎると、ご飯がのどを通らないのはそのためだ。
さらにストレスがかかると交感神経が高ぶる。「大昔なら、突然、猛獣に出会った
ような状態」と荒川教授。
胃腸などの消化管の働きを抑え、心臓や筋肉に血液を集中して、急いで逃げる。
ところが、現代のスレスは、逃げて終わりにすることはできず、ストレスはかかり
続け、交感神経は高ぶり続ける
胃がうまく働かず、食べ物が中に残る状態が続くのではないかという。

「不安」も大きな原因と考えられている。
本郷教授によると、内視鏡で胃の中を見て「何も悪いところがない」と伝えられる
と突然、胃の不調が吹き飛ぶ患者が3分の1ほどいる。
うつ症状の一つとして胃もたれになることもあり、抗不安薬で改善するケースがある。
    
    ■ □ ■
対処法は予防法でもある。
緊張を和らげてストレスを解消するには、ジョギングやエアロビクス、水泳やヨガ
などの有酸素運
動がお勧めだ。
ちょっと汗をかくぐらいの運動がいいという。
 
規則正しい食生活も大事だ。
本郷教授らの調査では、ストレスだけでなく、不規則な食事も強い関連があった。
「むしろ食べ過ぎ飲み過ぎが、不規則な食生活を招いているのかもしれない」と本郷
教授は言う。
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出典 朝日新聞・朝刊 2008.12.14
版権 朝日新聞社

<関連サイト>
ためしてガッテン:過去の放送:胃腸の悲鳴!胃もたれ大解剖
http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/2007q4/20071219.html
(一部改変)
「緊急報告 新タイプの胃もたれ
アメリカの医学雑誌に、従来の常識とは違うタイプの胃もたれがあるという研究が
発表されました。
「胃の働きすぎ」で胃もたれが起きるというものです。
そもそも胃では、「筋肉」や「胃液を出す細胞」などが働き、食べ物を消化し腸へ
運搬する仕事を行っています。
では「胃が働きすぎ」とは、このどちらかが働きすぎということなのでしょうか?

新タイプの胃もたれのメカニズム
私たちの胃は、胃液によって食べ物を消化しやすいように消化しています。
この胃液には、強い酸である塩酸が多く含まれています。
胃で消化されたものが腸に送られるときは、胃液も腸に行きます。
胃液がそのまま腸に行く状態が続くと、腸は傷つけられてしまいます。
しかし腸には、アルカリ性の物質を出す細胞があり、胃液に含まれた酸を中和して
安全なものにしてくれています。
そのため、腸が傷つかずに済んでいるのです。
しかし、胃液が多くなりすぎたり、胃液を腸に送る筋肉の動きがおかしくなったり
して、一度に多くの胃液が腸に届くようになると、中和が間に合わなくなるケース
があります。
そのとき活躍するのが、腸にあるセンサーです。緊急事態を感じ取り、それ以上
消化物を送らないよう、胃の筋肉に指令を出して胃の動きを止めるのです。
詳細なメカニズムはいまだ不明ですが、このとき腸のセンサーはこれ以上食べ物を
食べないよう、脳に痛みや不快感という形でシグナルを送り、これが「もたれる」
感じにつながっていると考えられているのです。

新・胃薬活用術
[1]胃の働きを良くする薬(健胃薬など):
[2]胃が働かないタイプの胃もたれに有効。
[3]胃酸を抑える薬(H2ブロッカーなど):
胃が働きすぎるタイプの胃もたれに有効。
総合胃腸薬:
[1]・[2] の両方の成分が入っている薬。
どちらのタイプにも対応できるが、効き目が弱い。
軽い胃もたれに有効。

自分の胃もたれが[1]か[2]かを見分ける目安は、「胸やけを感じたことがあるか
どうか」。
胸焼けは胃液の出過ぎで起きることが多いため、胸焼けをひんぱんに感じる場合は、
[2]の「胃が働きすぎ」タイプの胃もたれであるという可能性が高くなります。

「検査では見つからない?ナゾの胃もたれ
私たちがふだん感じる胃もたれは、「食べ過ぎを避ける」「適切な胃薬を飲む」
などの対策でスッキリできます。
ところが、強い胃もたれがずっと続き、生活に大きな支障をきたすケースが増えて
いるといいます。

機能性胃腸症とは
機能性胃腸症(または、機能性ディスペプシア)とは、次のような状態が続く
病気のことです。

[1]胃など上腹部にもたれや痛みのある状態が続く
[2]胃カメラなどを含む検査でも病変が見つからない
※正確には「半年以上前から症状があり、最近3ヶ月は[1]・[2]を共に満たす」状態。

機能性胃腸症の直接の原因は、がんや潰瘍などではなく、「胃が動かない」「働き
すぎる」など、通常の胃もたれと同じものが多いと考えられています。

「仕事が大変」などストレスがある。
ストレスは胃の機能に影響を与え、もたれやすくなる。
「もたれた……」という辛い感覚が脳へ行き、この感覚自体がストレスになる。
ストレスを感じると胃もたれが強くなる。
それがまた脳でストレスに……
この状態を、「ストレスの悪循環」といいます。
ではこの悪循環、どのようにしたら断ち切れるのでしょうか?

胃もたれ解消 最新治療法とは」
専門家のお話
エコー検査自体は何十年も前からありました。
しかし最近、患者自身にエコー画像を見せ、病気の原因や改善度合いを納得してもらう
ことで、症状が軽くなるケースがあることがわかってきたのです。

「脳と胃は兄弟同士」と言われるほど、ストレスと胃の症状は強い関係があります。
実際、胃カメラの検査を受け、がんや潰瘍などの病気がないと安心するだけで症状が
なくなってしまう患者もたくさんいるのです。
日々辛い胃もたれに悩んでいるような場合には、ぜひ医療機関を受診して検査を
受けてください。

この“治療法”はどこで受けられる?
超音波エコー検査そのものは、全国の多くの医療機関で受けることができます。
ただし、この治療法の場合、「エコー画像を見る」ことそのものに意味があるのではなく、
画像を見ながら医師から十分な説明を受け、「自分自身が病状や改善度合いに納得する
こと」が重要になります。

日々胃もたれに悩まれている方であれば、まずは「自分の胃の状態を知りたい」とかかり
つけの先生に相談し、必要に応じてエコー検査を受けてみてください。


宴会シーズン到来! 胃もたれ胸焼け対処法
http://allabout.co.jp/health/healthfood/closeup/CU20061203A/
消化がよい食べ物
一番消化がよいのは、おかゆやうどんなどの炭水化物を柔らかく煮込んだものです。
ただうどんは、よく噛まずに食べやすく逆効果になりますから、よーく煮込んでゆっくり
噛んで食べるのがポイントです。

またたとえば、卵料理や豆腐、ヨーグルト、淡白な白身魚なども消化がよい食品です。
ただし、卵は生卵は消化が悪いので、加熱して食べてください。
野菜なら、カボチャやカブなど柔らかく煮て食べやすくしましょう。

消化が悪い食べ物
脂質は消化に8時間がかるので、動物性の肉や魚、また植物油などのとり過ぎは控えま
しょう。
どうしても食べる時は、脂肪の少ないささみ、ヒレ肉などの部位を選んで少量にしま
しょう。
 
また唐辛子やわさびなどのスパイス、カフェインを多く含むコーヒー、紅茶、煎茶など、
塩分や甘みの強い食べ物、アルコールは、胃を刺激し、胃酸の分泌を高めるので控えめに。
イカ、タコ、貝類、食物繊維の多いゴボウやキノコ類、タケノコ、こんにゃくなども、
消化が悪いので、胃に負担となります。

消化を助ける食べ物
食べ物の中には、消化を助けるものがあります。例えばダイコンにはごはんやイモ類
などのデンプン質の消化を促進するアミラーゼやタンパク質の消化を促すプロテアーゼ
などの消化酵素が含まれています。
ただし消化酵素は熱に弱いので、煮たダイコンなどよりは、おろし大根を食べる方が
よいようです。
カブにもアミラーゼは含まれ、ダイコンよりも辛みが少ないので、生食にはおすすめです。

揚げ物は消化に悪い
同じ食材でも、火を通して柔らかくすれば消化がよくなります。
また、油であげるよりは、蒸す、煮る、ゆでるといった調理法の方が胃に負担をかけません。
冷たいものは刺激になりますから、温かい食べ物や飲み物を選ぶようにしましょう。

食べ方にも注意
よく噛まずに飲み込むような早食いや、おそばのようにすすって食べると、胃に負担が
かかります。また食べ物と一緒に空気も飲み込んでしまうので、胃が張りゲップの原因
になったり、おなかが苦しくなったりします。
よく噛むことは、消化を助けることになります。

またよく噛むことは、肥満の防止になったり、脳を活性化するなど、体全体の健康に
メリットがあります。

アルコールは胃酸の分泌を促して、胃の粘膜を傷つけてしまいますから、胃が弱っている
時は控えましょう。