嗅覚障害

においがよくわからないという方は意外と多いものです。
耳鳴りもそうですが、においも本人しかわからず、また悩みも深い症状
です。
きょうは、においのお話です。

嗅覚障害 (きゅうかくしょうがい)

■嗅粘膜性障害にはステロイド剤を
においの感覚に異常をきたした状態を「嗅覚障害」といいます。
そのうち、においの感覚がまったくなくなった状態を嗅覚脱失といいます。

嗅粘膜性障害にはステロイド剤を
■かぜを契機としておこることが最も多く、このタイプの嗅覚障害は、
大きく分けて3つあります。
1. 以前から慢性副鼻腔炎蓄膿症)がかぜのために悪化し、嗅覚障害と
  なるもの。
2. においの感覚は鼻の天井にあたる部分で感受しているものの、かぜの
  ためにこの部分に炎症がおこり、かぜが治った後もその部分だけに炎症
  が残ってしまったもの。
3. かぜがウイルス性のもので、ウイルスがにおいの神経を侵してしまった
  ために嗅覚障害になってしまったタイプ。

それぞれのタイプによって、治り方にもかなりの差があります

■嗅(きゅう)覚障害は蓄のう症、鼻たけ、鼻アレルギーなどが原因で
起こります。

■鼻たけや鼻づまりなどでにおいの分子を含む空気が途中で遮断され、最初に
においを識別する嗅粘膜(嗅上皮)に到達できない呼吸性障害と、嗅粘膜が腫
(は)れるなど粘膜自体に障害のある嗅粘膜性障害などがあります。

■そのほかとして嗅神経の障害による末梢(しょう)神経性障害(嗅細胞その
ものが働かなくなる)、中枢側の障害による中枢性障害などがあります。

■嗅細胞は、通常1か月の寿命で、新しい細胞に入れ替わるといわれています。
しかしこの再生能力がなくなっていれば、当然のことながら再生できません。

■基準嗅力検査やアリナミンによる静脈性嗅覚検査の結果が異常であれば、
前鼻鏡やレントゲン、針状硬性鏡による嗅粘膜の検査などを行い、障害のある
部位を調べます。

■治療法は、それぞれの障害の部位や原因に適した方法で行いますが、嗅粘膜の
障害については、ステロイドホルモン剤を用います。
自宅で朝夕の1日2回、ステロイド剤が嗅粘膜にゆきわたるようにあおむけ
(懸垂頭位)に寝て、鼻に1、2滴さし、5分ほどそのままの姿勢を保ちます。
懸垂頭位とは、横になり枕などに肩を乗せて鼻の穴が天井を向くようにする
ことです。

■嗅粘膜の腫れや分泌過多などに効果があり、においもだんだんわかるように
なります。

<番外編>
多剤耐性菌、23人が院内感染=4人死亡、20~60代患者-福岡大病院
福岡大病院(福岡市)の入院した重症患者23人が、抗生物質が効きにくい細菌
「多剤耐性アシネトバクター」に院内感染し、うち20~60歳代の男女4人が
死亡していたことが23日、分かった。
同病院は2人の死因は感染でなく、残り2人も可能性は低いとしているが、国立
感染症研究所とも連携し、感染ルートの究明などに当たる。

アシネトバクター菌は自然界に広く存在し、健康な人には通常無害だが、免疫力
が低下した状態で感染すると、肺炎や敗血症になり死亡する恐れがある。
感染報告は国内では少ないが、欧米では約10年前から相次いでいる。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090123-00000208-jij-soci
時事通信 配信  2009.1.23 

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