逆流性食道炎 その1

食べ物や胃酸(PHは1-2の強塩酸、1日に2リットル分泌されます)が逆流しない
ように閉まっているはずの噴門が何らかの原因で開いたために食道に逆流して
胸焼けなどの症状を起こすのが逆流性食道炎です。
食道は横隔膜の穴(食道裂孔)を通って胃の噴門部につながっています。
この横隔膜は筋肉です。
加齢や肥満や妊娠や便秘などで腹圧が上昇したり、筋力の落ちた人では横隔膜の締りが
悪くなります。
そのような場合、内圧が高い胃の噴門部が横隔膜を超えて食道方向にずれ込んだり
(この状態を"食道裂孔ヘルニア"といいます)胃液が逆流したりして胃食道逆流
が起きます。

患者さんは食生活の欧米化で最近日本でも増えていると言われています。(20才
台で10%、40才台で20%の人が大なり小なり逆流性食道炎を起こしていると言われる) 
欧米では成人の40%が悩んでいるというありふれた病気ですが、食道の炎症が慢性
化すれば食道ガンの原因ともなるとも言われています。
最近の傾向として、内視鏡で食道を調べても炎症も傷も見つからないのに、胸焼け
を感じる「非びらん性の胃食道逆流症(専門用語でNERDといいます)」が
増えていると言われます。
日本人の食道ガンの90%は扁平上皮ガンですが、胃酸の逆流の結果起きる癌は治療
成績が極めて悪い腺ガンです。
したがって、逆流性食道炎と言われたら、胸焼けなどの自覚症状の強弱に関係なく、
きっちりと服薬し、普段の生活態度(暴飲暴食、早食い、食後すぐに横になるは
三大悪)にも注意すると共に、定期的な胃内視鏡検査を受けることが重要です。

■ 症状

ちりちりした胸焼けが一番多い症状です。
食物がしみる感じや痛い感じ、固いものを食べたときに食道上部がつかえる感じ、
胃部不快感、激しい胸の痛みもよくある症状です。
何となく食欲がないとか甘いものが食べられなくなったなどを訴える人もいます。
甘いものは胃もたれの原因になります。
胃から食道に胃液が逆流するわけですから当然のことながら、のど・口の中へ逆流
する感じがしたり、酸っぱいものが上がってくる、口がすっぱくなる感じ、口の中
に苦い水が上がってくるなどどの症状もあります。

逆流がひどいと、喉(のど)の違和感(咳、喘息、咽頭圧迫感、喉頭異物感、
声がれ、ものを飲み込むときにひっかかるような感じがするなど)が出る人もみえて
耳鼻科や呼吸器内科を受診される方がみえます。

極端な例では食道が狭くなって食物が通りにくくなる。
かがんだ時や食べすぎた後(食後2時間以内)あるいは就寝後や起床時に不快感が
強いくなる傾向にあります。
これは胃酸の分泌が夜中2時頃に多くなることによります。
また、胃液は起きている時よりも就寝時など横になっている姿勢のほうが逆流
しやすいために、就寝中に食道に炎症が起きるので朝起きた時から胸焼けを感じる
ことが多くなる。

薬が原因の場合もあります。
高血圧治療のカルシウム拮抗薬、テトラサイクリン系抗生物質ミノマイシン等)、
テオフィリン、β刺激薬などは下部食道括約筋の緊張をゆるめる作用があり胸焼けが
増悪する事があります。

<追記>
昨日の新聞に以下のような記事が載っていました。

食道のあたりにしみるような痛みを覚えるのが胸焼けの症状。
対策としては寝るときに少し枕を高くしたり、右を下にしたりして寝るといい。
日経新聞 朝刊 2009.1.24

ある権威の先生は「左を下にする」と言っています。
どちらが正しいのでしょうか。

<参考サイト>
逆流性食道炎(胃食道逆流症・GERD)
http://www.ne.jp/asahi/web/oki/health/shokudoen.html






ご存知ですか?逆流性食道炎 www.逆食.jp
http://gyakusyoku.jp/