手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)

他人は大したことではないと思っても本人にとっては深い悩みということは
結構多いものです。
そのひとつに手掌多汗症があります。

この手掌多汗症とは、手のひらや足の裏に異常に汗をかく状態をいいます。
全身の発汗と区別するために局部性多汗症に分類されます。

脇の下からの多汗も併発している事もあります。
日本人の100~200人に一人の割合で存在すると言われます。
に男女差は認められていません。
「手に汗握る」と言いますが、一般の人は緊張状態や興奮・不安状態で手に汗
をかきます。
これは自然現象です。
しかし、手掌多汗症の人は緊張しなくても常に手に汗をかいてしまいます。
手に汗をかく量も人それぞれであり、多少湿っているかな?という程度から、
汗が滴り落ちるほど汗をかく人まで様々です。
手掌多汗症に気づいたり、手掌多汗症が気になりだしたりするのは5才から
10才くらいからが多いようです。
「字を書こうとしたら紙が濡れて破れてしまった」「友達と手をつないだら手
が濡れて気持ち悪いといわれた」というものがきっかけになるようです。
要するに、手を使う全ての場面で不自由な思いをするのです。
しかし、本人の悩みが大きいのにかかわらず生命には別条がないので医療機関
で相手にされないことがあります。
交感神経が過剰に働きすぎる事が原因と言われ、完全に治す事は今の所不可能
です。
このように、手掌多汗症は様々な悩みや問題を引き起こします。
人と手をつないで気持ち悪いといわれた経験があれば、手掌多汗症であること
を知られたくないために、「握手する」、「フォークダンスで手をつなぐ」、
「好きな人と手をつないで歩く」といった人に触れることを怖がり、消極的な
性格になってしまいます。
また、「汗で紙が濡れるため字が書けない」「汗で滑って物をよく落として
しまう」「汗が滴り落ちてパソコンが壊れる」「汗で金属がさびる」など、
実際の生活に困ることさえおきてしまいます。
タクシーの運転手で多汗症の人を知っていますが、ハンドルが腐ることさえ
あるようです。
ここまでくれば、生活に困るのはもちろん、職業さえ限定されるでしょう。
手掌多汗症は、ただ「普通の人より汗をかく」というよりも、それにより生じ
る様々な問題や悩みが、その人の性格や人生まで左右しかねない症状なのです。
 
また、手掌多汗症は以下の3段階に分類されます。
レベル1:手のひらが汗で
湿る程度。触ると汗ばんでいることがわかり、光を反射して汗が光る。
レベル
2:手のひらに汗の水玉ができるが垂れるほどではないもの。
レベル3:手の
ひらから汗が垂れることがある。

病因はよくわかっていません。
手掌多汗症では、手の平に分布する交感神経だけが強く興奮し、汗腺を刺激
して汗が部分的に多く出ます。
なぜ交感神経が部分的に強く興奮するのかは分かっていません。
汗を作る汗腺が手の平に多いわけではないからです。
病気というよりは体質(「汗っかきの体質」)といったほうがいいのかも知れ
ません。
開き直って気にしないのも一つの方法です。

<参考および引用サイト>
手掌多汗症とは
http://takansyou.com/modules/content1/

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朝日新聞「どうしました」より

<関連サイト>
手掌多汗症について | 多汗症の森
http://www.forestase.net/tenohira/


日帰り治療センター(手掌多汗症について)
http://www.shin-tokyohospital.or.jp/day_05_01.htm
(治療法について紹介しています)

読んでいただいて有難うございます。
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