新型インフルエンザ その9

新型インフルエンザは世界各国にまん延しつつあります。
10日現在で感染は29カ国・地域で確認され、計2300人を超えたとのことです。
しかし大国である中国、ロシア、インドは今のところ感染者はゼロとなっています。
そしてアフリカもゼロです。
本当にゼロなのか、把握されていないのか、報告されていないのか?
そのあたりがよくわかりません。

現時点(10日午前1時、ロイター通信)で死者はメキシコ48人、米国2人、カナダ1人となっています。
どうやら現時点では弱毒性のようですが、日本と諸外国の対応には温度差があるようです。


新型インフル、高齢者には免疫か  米の感染、18歳未満が半数超
世界中に感染が広がっている新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)について、高齢者の感染者が少ないことが注目を集めている。
「高齢者には何らかの免疫があるかもしれない」と指摘する専門家もいる。
 
疾病対策センターCDC)は6日、米国内で感染が確認された642人の患者のうち、58%が18歳未満の若者だったと発表した。
通常の季節性インフルエンザでは、乳幼児や高齢者の感染者が多いだけに、新型インフルエンザでは、なぜ、若者に感染者が集中するのか憶測を呼んでいる。
 
感染者の最も多いメキシコでも、高齢者の感染者が少ないのは同じで、同国内で最多の治療実績を誇る国立呼吸器疾患研究所付属病院でも、重症で入院する患者の大半が20~50歳だった。
 
世界保健機関(WHO)の緊急委員会委員を務める田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長も、今回の新型インフルエンザで60歳以上の感染者がほとんどいないことを不思議がる。
 
田代センター長は「今から60~65年前に、今回の新型ウイルスに似たウイルスが流行し、高齢者が免疫を獲得している可能性がある」と指摘する。
CDCのリチャード・ベッサー所長代行も6日の記者会見で、春休みにメキシコを旅行した若者から新型インフルエンザの感染が広がったのが一因としながらも、高齢者が新型のウイルスに対して免疫を持っている可能性があるとの見解を示し、今後詳しく調査する必要性を強調した。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090508-OYT8T00248.htm
出典 YOMIURI ONLINE
版権 読売新聞社

#よくわかる新型インフル」正しい知識で新事態に備え
 長崎大熱帯医学研究所の山本太郎教授(国際保健学)のお話。
     ◇
国内の空港で新型インフルエンザの感染者が確認された状態は、国の行動計画上、実質的な「国内発生早期」ともいえる。
だが、国内で感染したものではないとして、1段階低い現状の「海外発生期」にとどめた国の判断は理解できる。
 
行動計画は、強毒性の鳥インフルエンザを想定したもので、様々な行動制限が含まれる。
しかし新型は弱毒性とされ、国は行動制限に伴う社会経済への影響の大きさに配慮したとみられる。仮に強毒性であれば「国内発生早期」で対応したのではないか。
 
水際対策は今後も続けるべきだ。発症の約1日前から感染力があり、発症者を見つけて検査する今の方法では、完全に食い止めることはできない。
しかし、水際で少しでも見つけ、感染の広がりを遅らせることが大切だ。
時間を稼ぐ間に、ウイルスの特徴を解明できるかもしれないし、病院への患者集中や欠勤者続出による極端な社会機能の低下を防ぐこともできる。
 
また、航空機の同乗者の追跡調査が行われているが、毒性からみれば、同乗者全員の厳重な隔離は必要ない。
同乗者は、しばらく外出を控え、体調が変化すればすぐ関係機関に連絡してほしい。
今のところ、国内で深刻な事態になる可能性は低い。感染が広がる前に正しい知識を深め、次なる事態に備えることが大切だ。
出典 読売新聞 2009.5.10
版権 読売新聞社
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20090510-OYS1T00306.htm?from=nwlb