がん進行度表す「病期

がん進行度表す「病期」 大きさ・転移で分類

  
がんと診断されたとき、医師の説明でよく出てくるのが進行度を示す「病期」
(ステージ)です。
見慣れない用語が多くてとっつきにくいのですが、がんの標準的な治療はそれ
ぞれの病期に応じて決められています。治療面においても重要ですが生存期間
を考えるある程度の目安にもなります。
がんにかかってしまった場合に十分理解してがんと向き合うためにも、病期の
特徴や限界を知っておくことは大切です。


納得した治療の指針に
画像や内視鏡などを使った検査の結果をもとに、医師は病期を判断し、進行度
に応じた標準的な治療法を患者に伝えます。
患者はその情報から、自分の価値観を交えて治療法を決めることなるのです。
がんがどれくらい進行しているかを判断するためには3つ要素があります。
最初にできたがんの大きさや広がり具合(T)、リンパ節への転移の様子(N)、
がんが離れた場所に転移していないかどうか(M)、です。

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病期は基本的に、この三つを組み合わせて決まります。
腎臓がんを例にとってみると、大きさが8センチで腎臓にとどまっているだけ
なら2期、小さくても別の臓器に転移していれば4期になるのです。
組み合わせ方はがんの種類によっていろいろでそれぞれを理解するのは大変です
が、基本的な考え方は似ています。



Tを決めるときに大切な要素は、がんの種類によっても違います。
この点が難しいところです。
たとえば、乳がんでは基本的にがんの大きさが、食道がんではがんが組織のどれ
くらいの深さまで達しているかが重視されます。
周囲のリンパ節や離れた臓器に転移していれば、病期は高くなっていきます。
ここは臓器によって変わらないところです。

予測される生存期間も病期ごとに公表されるのが原則になっています。
しかし病期をもとにした情報には個人差が大きく、幅があるので注意が必要です。

国内外でいろいろながんに使われる「TNM悪性腫瘍(しゅよう)の分類」という
方法をつくっている国際対がん連合(UICC)は「がんの病期を決めることは
治療や研究だけでなく、対策を考えるためにも欠かせない」としています。

がんの治療成績が全国どこでも変わらないよう、国ががん対策を進めるためには、
同じ病期ごとの治療の結果が同じになるようにしなければ意味がありません。
それには、正確な病期判定が前提になります。

がんの専門病院などでつくる全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)は
ホームページ(http://www.zengankyo.ncc.go.jp/)の中で、加盟する施設での
5年生存率を病期ごとに公表しています。

リンパ節などへのがんの転移は、手術をして初めて分かることもあります。
このように病期は手術の前と後で変わることも珍しくないので、注意が必要です。

基準複数 使い分けを
日本人の代表的ながんである胃がんの場合、UICCとは別に日本胃癌(がん)
学会の独自の分類が使われています。
この2つの分類法は違った分類になってしまうことがあります。

差が出る理由は、リンパ節への転移の有無などです。
 
日本の胃癌学会は、どこのリンパ節に転移したかを重視し、離れた場所にあるほど
がんは進んでいると考え、病期は高くなります。
一方、UICCは転移の「数」を重視します。

日本では転移の場所に応じて治療法を決め、よりきめ細かく手術をしているとも
いえます。
 
日本の胃がん手術の成績は世界的に評価が高く手術の治療計画を作る際は、取る
リンパ節の数ではなく範囲を考えます。
この日本の考えは世界にも受け入れられつつあるということです。

それでは、日本の分類がベストなのかというと、そうとも言い切れないようです。
防衛医科大など複数のグループの研究を通して、リンパ節転移の「場所」よりも
「数」の方が、患者の生存期間を見通すうえではより意味が大きいことがわかって
いるのです。

治療法を考えるなら日本基準、将来の見通しを予想するなら国際基準。
胃がんについては、目的に応じて使い分けるのがいいようです。

胃癌学会はこれまでの規定を見直して、UICCの分類を取り入れる作業を進めて
います。
病期の分類は国際基準に合わせつつ、治療法の選択には日本のいまの考え方を生
かせるよう、ガイドラインで補う動きがあります。

出典 朝日新聞・朝刊 2009.6.16 (一部改変)
版権 朝日新聞社

<病期 関連サイト>
全がん協施設、病期別の5年生存率を公表
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/report/1030_01.html


頭頸部癌のTMN分類および病期分類
http://homepage1.nifty.com/jibiaka50/toukeibugantnmbunnrui.htm


(その他、臓器別に病期を紹介したサイトが数多くあります)


ダリダ : Il venait d'avoir 18 ans 18歳の彼
http://blog.livedoor.jp/aara/archives/cat_50044089.html