糖尿病・変わる薬物治療

糖尿病は、疑いのある人まで含めると、日本人の7人に1人がかかっています。
大人だけに限ってみるともっと多いことになります。
一度なってしまうと完治することは難しいとされてきましたが、ここ数年で治療
法は大きく新歩しました。

変わる薬物治療 早期にインスリン投与

軽症の2型糖尿病患者に対する治療の基本は従来、インスリン分泌を促す経口薬で、
膵臓の分泌能力を上げていました。
ところが最近の研究で、こうした治療を10年以上続けると、インスリン分泌細胞
(β細胞)の数や機能が低減し、血糖値が下がらなくなることがわかってきました。

糖尿病の専門医らが最近すすめているのが、発症から比較的早い段階で短い期間
インスリンを投与する治療法です。
インスリンを補うことで、β細胞を一度休ませ、働きを温存するという考え方です。
しかし実際の問題は、インスリン治療への抵抗が患者さんはもちろん医師にもあって、
早期からの開始がなかなか難しいところにあります。

インスリンの早期投与と並んで、専門医らが注目しているのが腸から出るホルモン
「インクレチン」を介してインスリン放出を抑制する新薬です。

米国ではすでに1種類の私用が始まり、日本でも万有製薬ノバルティスファーマ
などが相次ぎ製造販売の承認申請をしました。
三和化学研究所も臨床試験(治験)第2相に入っています。

こうした新しい薬は血糖値が低い時はインスリン分泌を促進しません。
したがって従来の経口薬やインスリン注射と違って低血糖は起こしにくくなって
います。
食欲抑制効果やβ細胞の保護効果もみられます。

<参考および引用記事>
出典 日経新聞・夕刊 2008.11.18
版権 日経新聞






<関連サイト>
2型糖尿病における基礎insulin
http://wellfrog2.exblog.jp/8588939/

群馬大学秋田大学連携グローバルCOEプログラム
http://www.imcr.gunma-u.ac.jp/gcoe/jpn/organization/members/yamada/index.html
(以下はこのサイトからの引用。一部改変)

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GLP-1は、その受容体が膵β細胞以外に、中枢神経系や胃などに発現しています。
インスリン分泌促進・食欲抑制・胃運動抑制作用はいずれも血糖降下に繋がることから、糖尿病治療薬としての開発が進んでいます。
GIPとGLP-1が違った生理的な役割があることが明らかになっています。


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糖尿病治療薬の新たなカテゴリーとして注目されるインクレチン関連薬は、インクレチン・ミメティクス(GLP-1受容体アゴニスト、GLP-1シグナルを増強)とインクレチン・エンハンサー(DPPIV阻害薬、GIPとGLP-1シグナルをいずれも増強、Diabetes 2004)に大別されます。