新型インフルエンザの感染力

とうとう当院でも一昨日、新型インフルエンザが発生しました。
詳しくは、1日遅れの昨日に紹介先の病院から新型インフルエンザウイルスが検出
されたというFAXが届きました。

ことの顛末は
  血清クレアチニン低値と2型糖尿病
  http://wellfrog3.exblog.jp/d2009-06-29
に書きました。

きょうの朝刊で当院のケースが報道されました。

昨今、新型インフルエンザはさほど珍しくもないのですが、いざ遭遇してしまうと
困惑してしまいます。
15年の間に2度ほど抽選で豪華景品が当たったことはありますが、こんなことには正直
当たりたくはありませんでした。


当院では以前から、患者さんの受付時間と診察時間をカルテに記入しています。
それを見れば、新型インフルエンザの方と空間を同じくした患者さんを知ることが出来
ます。
きょうは早速これらの方々に電話連絡をとって今後の対処を説明するつもりです。

一昨日の時点で、職員にも早速リレンザを渡して予防のために使ってもらっています。

さて、今更ですがやっぱり感染力が気になります。

早速調べてみました。


出典は
日経新聞・夕刊 2009.6.13
です。

■神戸や大阪の高校生を中心に広がった日本の新型インフルエンザで、1人の感染者から
うつる人数は2.3人と推定されることが13日、オランダ・ユトレヒト大の西浦博研究員
(理論疫学)らの分析で分かった。
WHOの研究チームによるメキシコでの推定値1.4~1.6人よりも大きい。
(欧州の感染症専門誌ユーロサーベイランスで発表)
■未成年者間に限ると2.8人とさらに大きかった。
■インフルエンザは学校で広がりやすく、流行拡大の端緒になることは経験上知られている
が、「初めて客観的に示すことができた」としている。
■感染力を示すこの人数は「再生産数」と呼ばれ、流行初期の感染者数の増え方から算出
する。
■通常の季節性インフルエンザでは、1.1~1.4とされる。

<コメント>
メキシコの例に比較して、日本では「感染力が強いが病原性は弱い」という結論になる
のでしょうか。


新型の感染力「通常のインフルエンザ以上」…政府諮問委見解

政府の新型インフルエンザ対策本部の専門家諮問委員会は13日、新型ウイルスの感染力
について「通常のインフルエンザと同じかそれ以上」という見解でほぼ一致した。

通常の季節性インフルエンザでも毎冬、約1000万人が感染しており、尾身委員長は
「(新型ウイルスは)より感染しやすい可能性もあり、注意が必要だ」と訴えた。

一方、病原性について米サイエンス誌は、致死率を(通常のインフルエンザの約4倍に
あたる)0・4%とする報告を掲載したが、同委員会は国内で発生した4人の患者の病状
なども踏まえ、「0・4%までは高くないだろう」とした。



新型インフルエンザ 関連サイト>

新型インフル、国内の感染者1000人超す…世界で8番目

長崎、福島、茨城の3県は25日、新たに計4人の新型インフルエンザの感染者を確認
したと発表した。

これで国内の累計感染者数(成田空港での検疫などを含む)は同日午前11時時点で、
38都道府県の1003人となった。

厚生労働省などによると、5月9日に成田空港での検疫で初めて確認されてから、これ
まで重症化した患者の報告はない。
世界保健機関(WHO)によると、感染者数が1000人を超えたのはアルゼンチンに
次いで8か国目。


新型インフル、感染第3の山突入か

国内における新型インフルエンザ感染者は、世界保健機関(WHO)が4月27日に
初めて警戒レベルを引き上げてから約2か月で1000人を超えた。

感染は今も収まる兆しを見せておらず、政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問
委員会の尾身茂委員長は「今後も感染が急拡大する南半球からのウイルス流入は避け
られず、夏場も今のような状況が続くだろう」と指摘している。

発症日ごとの流行状況をまとめた厚生労働省の集計によると、国内の感染者は兵庫県
大阪府の高校で集団感染があった5月17日に67人とピークを迎えたが、休校措置の
効果が出て下火になった。
しかし6月上旬に福岡市の小中学校などで新たな感染が確認されると、同月10日に
42人が発症し、2度目のピークを記録。その後も東京都内の高校などで感染が相次い
だほか、海外からの帰国者の発症も増えている。同省が集計を週1回に切り替えた19
日以降も感染者は1日40~50人ほど確認されており、流行は第3の「山」に入って
いる可能性がある。

同省によると、感染者の約7割は10代以下の若い世代。これまで重症化の報告はない。
同省の担当者は「海外渡航歴などもなく、感染源が全く分からない感染者が一定の割合
で出てきているのは確か」と徐々に感染が広がっていることは認める一方、「感染者の
7~8割はすでに完治し、患者が急増しているわけではない」と強調する。

政府は当面、行動計画を現在の第2段階(国内発生早期)から第3段階(まんえん期など)
に引き上げず、流行の第2波が予想される秋以降に向け、妊婦や持病がある人など重症化
する恐れがある患者の治療を最優先する医療体制の整備などを急ぐ方針。

WHOの発表(24日現在)によると、世界の累計感染者数は5万5000人を超え、
最も多いのは米国の2万1449人。冬場に入る南半球でチリが4315人、オーストラ
リアが2857人などと急増中で、死者も世界全体で238人出ている。



新型インフルの全患者調査、7月中旬に中止…厚労省

厚生労働省は、新型インフルエンザの患者全員について報告を求める「全数調査」を7月
中旬に中止することを明らかにした。

今後は抜き出し調査に変更する。
学校や職場などで複数の患者が出た場合の届け出は求め、集団発生の早期把握に重点を置く。


<コメント>
これだけ騒がれた新型インフルエンザ。
病原性は比較的低いということわかってきました。
来院された方も一見元気そうでした。
今後は、普通の「季節性インフルエンザ」として毎年流行を繰り返すようになるので
しょうか。
今秋からが心配です。

<コメント>
季節性インフルエンザもそうですが、簡易試験によって診断がしっかりつくのはごく
一部と考えた方がよさそうです。
今回の場合も同学年の他の発熱している生徒も新型インフルエンザの診断はついて
いません。
この時期、「簡易試験でA型と判定されれば新型インフルエンザを疑うべし」という
教訓を得ました。