中高年の登山

夏といえば海と山。

昨日は「高山病」をとりあげました。



今年は観測史上稀といっていいほどの長梅雨だったこともあり、とりわけ夏も短くなります。
今週のお盆を過ぎれば早くも秋の気配。
海山も静かになります。

夏も意外と短いものです。
といったわけで、今日も登山の際の健康管理をとりあげてみました。



北海道・大雪山系トムラウシ山(標高2141メートル)と美瑛岳(2052メートル)で相次いだ遭難事故は記憶に新しいところです。
天候悪化を突いての山行であり、「引き返すか否か」の決断が生死を分けました。
パーティーは50代から60代の男女で、いわゆる中高年による「ツアー登山」でした。


以下は医師向けの「Medical Tribune」という定期専門誌からの紹介です。
杏林大学医学部(東京都)の大野秀樹教授(公衆衛生学)が、安全に留意して楽しむ中高年の登山術を書かれています。

#中高年の登山術
森林浴でリラックス、減量も期待
-ただし、心電図検査を受けて-
● 感動とリフレッシュ
「登山の喜びは、頂上を極めたときに『気持ちがいい』と感動することと、達成感によって、精神的にリフレッシュできることです」と話す大野教授は、日本登山医学研究会の幹事も務めている。
 
森林浴の効果も大きいという。人間は進化の過程で森と深くかかわってきたため、緑の中にいると心が休まり、非常にリラックスできるといわれている。
 
「森林浴を行うとストレスホルモンのコルチゾールの量が減少するほか、緊張がほぐれたり、怒りが収まったり、疲労が軽減したりするといった、実験結果が発表されています」
 
肥満の改善にも役立つ。呼吸がゼーゼーするような激しい運動では脂肪は燃えにくいが、安静時の五割増ぐらいの量の運動をすると基礎代謝が活発になり、体重が減少するという。


● 水を飲み、つえを使う
中高年が登山をする上での留意点として、大野教授は次の点を挙げる。



登山の前に心電図検査を受ける
登山中は小まめに水を飲む
下山の際はつえを使う
低体温症対策をしっかり行う


 
「心臓への過剰な負担による突然死を避けるためにも、40歳以上の登山者は、一度、心電図検査を受けることを勧めます」
 
また、体調を知る目安に尿の濃さがある。脱水症状が進むと尿が黄色くなってくる。
 
「防止策は、1時間ごとに大量の水を飲むよりも、5分から10分置きに、小まめに水を口にするのがこつです」
 
1分間の心拍数も目安にしたい。厚生労働省が定めた「健康づくりのための運動所要量」では、目標心拍数を40代は120、50代は115、60代は110としている。この数値を超えない範囲で運動するのが望ましい。
 
下山時には、ひざを痛めないために、つえを1、2本使うことが不可欠。
低体温症は死につながることもあるので、下着は木綿をやめて、化繊やウールを選ぶなど、「十分な準備と対応で登山を楽しんでください」と、大野教授はアドバイスしている。

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<参考および引用サイト>
http://www.medical-tribune.co.jp/kenkou/200311211.html



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出典 日経新聞・朝刊 2009.7.25
版権 日経新聞




<関連サイト>
中高年の登山者が招く事故やトラブルとは?
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/special/57/

中高年者&初心者のための登山講習
http://www.naganoken.jp/smc/guidance/chukonen/index.html



中高年登山のリーダー・岩崎元郎さんの“登山不適格者”
http://www.flintstone.co.jp/20030810.html


中高年登山 魅力の裏に潜む危険性認識を
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200908051605.html

ガイドが明かす「重圧」…中高年山岳ツアー“難しさ”
http://www.zakzak.co.jp/top/200908/t2009080635_all.html

山岳遭難多発、中高年が8割=夏山「病気」「転倒」増加-頑張らず、引き返す勇気を
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200907/2009071800211
■山岳遭難は昨年に件数、人数、死者・行方不明者ともに過去最多となり、8~9割は40歳以上の中高年だった。

北アルプスに緊張の夏 遭難警戒、登山口にヘリ待機も
http://www.asahi.com/national/update/0725/TKY200907250121.html
■警察や行政機関のヘリの救助出動はすべて無料だが、これには批判的な声も上がる。
遭難者は県外者が圧倒的に多く、ヘリの整備・運航のコストを負担する県民の納得を得られない部分もあるからだ。
■日本登山医学会の増山茂理事は「高齢者は、体熱を作ったり異変を察知したりする能力が若い人より低下している」と警告。状況によっては途中で引き返したり、登山中止を考えたりするべきだと指摘する。

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アルプス・前穂高岳で遭難者の救助活動をする長野県警ヘリ=07年8月、長野県警提供




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年齢別山岳遭難者数

出典 asahi.com 2009.7.25
版権 朝日新聞社



<きょうの一曲> 「手紙~親愛なる子供たちへ~」
樋口了一/手紙 ~親愛なる子供たちへ~
http://www.youtube.com/watch?v=VIys43kR5S0


手紙 - Amado Filho
http://www.youtube.com/watch?v=AB_QqU1Pudw





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デユフィ

Culture Jammer いのちの旅
http://imhere8128.seesaa.net/category/3202374-1.html
より引用


<自遊時間>
最近、ラウル・デユフィの絵にはまっています。
そんな中、ある新聞で谷川晃一画伯がこの画家をとりあげていました。
鎌倉大谷記念美術館所蔵の「ドーヴィルのレガッタのあと」というタイトルの絵についての解説です。

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出典 日経新聞・朝刊 2009.7.30
版権 日経新聞

とても戦前に描かれた絵とは思えないモダンなタッチです。
素晴らしい色彩感覚はシャガールを思わせます。
そして心地よいリズム感とダイナミズムを感じます。
何よりも大胆な筆遣いには生命感があります。

音楽も好きだったようで、さまざまな動きや音を絵に描き止めようとしたのではないかと私は思っています。


文中にある「描き過ぎない、塗り過ぎない、説明し過ぎない」とう解説は、私の感じ方と同じです。
俳句や書に近いというのはあながち言い過ぎではないと思います。

欧米には珍しい画家かも知れません。


<鎌倉大谷記念美術館 関連サイト>
ヴラマンク展」 鎌倉大谷記念美術館
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/0325f2ad2f87154b48820a83c2a68e6e

デュフィ展 at 鎌倉大谷記念美術館~青春の鎌倉再訪記 Vol.1(予告編)
http://nora-p.at.webry.info/200708/article_11.html


鎌倉大谷記念美術館
http://30min.jp/place/54421

デュフィ大好き!」展、鎌倉大谷記念美術館にて開催
http://dufy.air-nifty.com/blog/2004/06/040615ja.html



<内容を一部追加しました>
あなたが今、禁煙したら?
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2008/08/28



読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
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