新型インフルエンザワクチン

朝夕少し涼しくなって来ました。

特に朝などは肌寒いくらいです。

今年の秋は例年とは違います。

それは新型インフルエンザの更なる流行や強毒化が懸念されるからです。

新学期が始まれば、この懸念に拍車がかかります。


諸外国は、このワクチンにどれだけ重点をおいているのか知りませんが、日本は「新型インフルエンザワクチン」を過信していないでしょうか。

季節性インフルエンザの有効性についても十分検証されていないのに、「新型インフルエンザワクチン」がさほど効果があるとも思えません。

ワクチンは一種の「水際作戦」です。

一種の幻想です。

現実的には米国のように、人工呼吸器の配備を充実させるほうが現実的と思うのですが。

きょうは「新型インフルエンザワクチン」をとりあげました。


新型インフルエンザワクチン

新型インフル予備費使いワクチン輸入
河村官房長官河村建夫官房長官は23日夜、新型インフルエンザのワクチンを09年度予算の予備費の一部で輸入する方針を明らかにした。

国内製造分では十分に適応できないと判断したためで、25日の閣議麻生太郎首相が指示する方向で調整している。


河村長官は「(ワクチン接種は)妊婦、小さな子ども、持病のある人を優先にしないといけない。国内生産が間に合わないなら輸入すればいい。予備費で十分対応できる」と述べた。
http://mainichi.jp/select/science/news/20090824k0000m040054000c.html
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毎日新聞・朝刊 2009.8.23(一部改変)


新型インフル:「親子」にワクチン優先接種、被害最小限に
通学年齢の子供と、その親の世代に当たる30代成人にワクチンを優先接種すると、新型を含むインフルエンザによる社会全体の被害を最小限に抑えられるとする試算結果を米エール大のグループがまとめ、20日付米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。



研究チームは、過去に新型インフルエンザが流行した時のデータや、個人がどの年齢層と接触する機会が多いかの調査結果を基に、どの年齢層に優先的にワクチンを接種すれば効率的に感染拡大を防げるかを試算した。


その結果、新型インフルエンザの感染力が現状程度で、毒性も1957年のアジア風邪と同等、米国内で3700万回分以上のワクチンが供給されたと想定した場合は、5~19歳の子供と30~39歳の成人に優先接種すると最も感染者や死者が少ないことが分かった。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090821k0000e040024000c.html
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毎日新聞・朝刊 2009.8.21





新型インフル:ワクチン接種10月に開始 
英政府
英政府は13日、新型インフルエンザ用ワクチンの接種を10月に開始すると発表した。
BBC放送が伝えた。
政府は約6000万人の全国民が2回接種できる量を購入する契約を医薬品会社と結んだが、健康な人にも接種するかどうかなど対象は未定で、冬までに見極めたいとしている。



記者会見した保健当局者によると、まず30万人分が今月供給され、当局の認可後、妊婦や65歳以下で健康に問題を抱えている人、それに医療関係者に最優先で接種。

12月までに1300万人が接種を受ける。

英国は南北米州以外では新型インフルエンザがもっとも流行している国の一つ。

これまでに感染者49人が死亡した。

http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20090815k0000m040090000c.html
毎日新聞 2009.8.14





新型インフル:妊婦や若年層の接種が争点に 
ワクチン順位
国内で新型インフルエンザワクチンの接種を巡る議論が始まった。

海外でも重症化のリスクが高い人や医療関係者に優先的に接種する方向で議論が進んでいるが、国内では新型の重症化のリスクが高いとされる妊婦や、若年層への接種が議論の争点になりそうだ。



世界保健機関(WHO)が7月に出した勧告では、新型のワクチンについて「必要な医療体制を維持するため」として、優先順位の筆頭に医療従事者を挙げた。

その上で妊婦や慢性的な持病がある生後6カ月以上の人などを考慮するよう提案した。

しかし、国内で安全性に対するデータの蓄積が不十分だとして、国は妊婦に季節性インフルエンザのワクチン接種を勧奨していない。

また、若年層については、季節性ではあまりみられない入院例が相次いでいるため、「ワクチンで発症数を抑えなければ、現場の医療機関がパンクする」との懸念が出されている。

しかし若年層を接種対象に含めれば必要なワクチンの量が大幅に増えるため、輸入の是非も含めて確保策が議論になる。


一方、米疾病対策センターCDC)は「初期段階では限られた量しかワクチンが利用できない可能性がある」として


▽妊婦

▽6カ月未満の乳児の同居者

▽患者と接する医療従事者

▽6カ月~4歳の小児

▽5~18歳までの慢性の持病を持つ小児


--の優先接種を勧告した。


さらに65歳以上の高齢者は新型の感染リスクが若者より低いとして、「若年者への供給が満たされたときに65歳以上に提供すべきだ」と指摘している。


この他、独や韓国は警察、消防、救急隊員も対象者に挙げた。
http://mainichi.jp/select/science/news/20090821k0000m040099000c.html
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毎日新聞 2009.8.20





新型インフル:糖尿病患者らワクチン優先接種へ 
厚労省新型インフルエンザのワクチン接種を巡り、厚生労働省は20日、専門家らとの意見交換会を開き、妊婦や乳幼児、基礎疾患(ぜんそく、糖尿病、腎機能障害など)のある患者など重症化しやすい人に優先接種することで大筋合意した。

患者を診る医療従事者も接種対象とする。

関係学会などからも意見を聞いたうえで、政府が9月中に対象と優先順位を決め、10月下旬にも接種が始まる。


ワクチンの接種対象について、政府は08年9月、警察や消防など社会機能の維持などに携わる97業種の従事者を5段階に分ける案を示していた。

しかし、当時想定していたのは高病原性の鳥インフルエンザ由来だったため、現状に合った方針を改めて考えることになった。


臨床の医師や患者代表らが参加した意見交換会では、ワクチン接種の第一の目的を、重症化や死亡の防止とすることで一致。

そのため、重症化するリスクが高い層と、感染者と接触する医療従事者が、優先的な接種対象に挙がった。

重症化しやすい基礎疾患の範囲は、27日に学会などが加わって議論する。


一方、見解が割れたのが、現在入院患者の約6割を占める未成年者(乳幼児を除く)の扱い。

「感染拡大防止が目的ではないので、感染しても数日で回復する人には必要ない」との意見の一方で、「未成年者の入院が相次げば医療機関がパンクする」との懸念も出た。

また、子供と接触する機会が多い親や学校関係者、季節性ワクチンの接種を勧奨している65歳以上などに、配慮を求める声もあった。



また、ワクチン接種の法令上の位置付けについて、厚労省の上田博三健康局長は、行政が勧奨しない任意接種が適当だとする考えを示した。


厚労省によると、新型インフルエンザのワクチンは7月中旬から国内生産が始まり、最初のワクチンは10月下旬に完成する予定で、年内に最大1700万人分、来年2月までに最大3000万人分を確保できる見通し。
不足する場合の輸入も検討している。
<コメント>
疾病対策センターCDC)の勧告とはかなり異なるようです。

「基礎疾患(ぜんそく、糖尿病、腎機能障害など)のある患者など重症化しやすい人」の認定は結構難しいと思うのですが。





新型インフルエンザワクチン>
毒性をなくしたウイルスを有精の鶏卵で培養して作る。

接種すると体内にウイルスを中和する抗体ができ、感染しても速やかに治る効果がある。

発症をすべて抑えられるわけではなく、季節性ワクチンでは有効率80%とのデータがある。

副作用として、発熱や局所的なしびれなど、ごくまれに神経まひなどの重い症状が出る場合もある。

<コメント>
「季節性ワクチンの有効率80%」は俄には信じられません。


イメージ 1



(画像をクリックすると大きくなります)

出典 日経新聞・朝刊 2009.8.22

版権 日経新聞


<追加>
最終的に確認された情報ではありませんが、今シーズンの季節型インフルエンザワクチンは生産量が例年の8割くらいに減産されるようです。
これは新型インフルエンザワクチンの生産にラインがまわされるためといううわさがあります。
さらには値上げの動きがあります。
それはワクチン用のガラス瓶が新型インフルエンザワクチン用にまわされるためプラスチックシリンジの製品になるためということのようです。
このシリンジは成人接種のための0.5mlのみとなるため、0.1mlを接種する場合にも成人と同じコストがかかり、かつバイアルよりシリンジの方がコストがかかるためです。
しかし、未確認情報のため間違った情報かもしれません。





<自遊時間>
昨日の甲子園の全国高校野球勝戦すごかったですね。
9回2死からの日本文理の5点。
勝った中京大中京の選手が泣いて、負けたチームが笑顔。
あまり「甲子園」は観戦(もちろんTV)しませんが、歴史に残る名勝負をたまたまTVで「目撃」できました。





読んでいただいて有難うございます。
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