インフルエンザウイルスどう増える

新型インフルエンザについては、9月の新学期になってから学校での爆発的な流行が予想されました。
しかし現時点では、大方の予想に反して実際はそれほどでもありませんでした。

当院では昨日、タイから帰国したばかりの20代の女性が高熱で来院され簡易検査でA型陽性でした。
こういった症例に接すると、新型インフルエンザは身近でかつグローバルなものであることを感じさせます。

きょうは5月の新聞記事から、インフルエンザにかかったら体内でどのように増えるかというお話のエッセンスの紹介です。



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■インフルエンザウイルスの大きさは直径1万分の1ミリ。
たんぱく質でできた殻の中に、リボ核酸RNA)という遺伝子が入っています。
新型インフルエンザは、人や鳥、豚などの感染して大流行を起こすことがあるA型です。
<コメント>
この表現は「A型で大流行するインフルエンザ」という定義になってしまい少し疑問です。
■ウイルスの特徴を決める遺伝子は8本あり、うち2本がヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)というウイルス表面の2種類の突起状のたんぱく質をつくっています。
この2種類の突起がウイルスの重大な特徴を決めています。
■HAは16種類、NAは9種類あり、組み合わせで「H1N1」など計144種類に分けられます。
HAの種類で人や鳥、豚、馬など感染できる動物の範囲が決まります。


出典 朝日新聞・朝刊 2009.5.12
版権 朝日新聞社


<番外編 その1> 
サイトカインストームという言葉を聞かれたことがありますか?
実はインフルエンザと関係がある言葉なのです。
インフルエンザにかかると、高熱が出たり、関節が痛くなったりします。
これはサイトカインがウイルスから体を守ろうとしてサイトカインが働くからです。
このサイトカインとは、人間の体の中で作りだされる分泌因子で、免疫細胞、つまり白血球やリンパ球の働きを強めたり弱めたり調節する物質です。
普段は免疫を適度な状態に保って、外敵を攻撃して自分を守ってくれます。

このサイトカインについての詳細については
http://ja.wikipedia.org/wiki/サイトカイン
をご覧下さい。

強毒性の新型インフルエンザではサイトカインが暴走するのではないかと言われています。
今回の新型インフルエンザは「弱毒性」といわれていますが死亡例をみるとそうでもないようです。

この体の免疫の過剰反応の状態をサイトカイン・ストームと言い、サイトカイン・ストームになると呼吸不全や多臓器不全などを起こし、死に至る場合もあるのです。

サイトカイン・ストームの最悪な点は、若くて健康な人ほどなりやすいことです。
健康であるがために過剰に反応してしまうというわけです。
スペイン風邪の時も老人よりも青年層に死者が多く出ました。


(いわゆる)サイトカイン・ストーム
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1206111266

サイトカイン・ストームってなに?
http://www.biological-j.net/blog/2009/06/000789.html


<番外編 その2>
H2B 打ち上げ成功 鹿児島
宇宙航空研究開発機構JAXA)と三菱重工は11日午前2時1分、鹿児島県・種子島宇宙センターから、国産新大型ロケット「H2B」1号機を打ち上げた。
約15分後、国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶ無人補給機(HTV)の1号機を分離し、打ち上げは成功した。


イメージ 2

ごう音とともに打ち上げられるH2Bロケット1号機=鹿児島県南種子町種子島宇宙センターで2009年9月11日午前2時1分、金澤稔撮影
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090911-00000003-maip-soci
毎日新聞 2009年9月11日2時38分配信


読んでいただいて有難うございます。
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