肺腺がん

フィルターたばこ、がんリスク同じ 「腺がん」罹患率上昇

健康被害を少しでも減らそうというフィルター付きのたばこが数十年前から普及し、肺がんの一種「扁平上皮がん」は減ったものの、同じ肺がんの「腺がん」が増加し、肺がん全体が減少しない一因になっていることが、愛知県がんセンターの研究グループの調査で分かった。

たばこはかつては両切りスタイルだったが、発がん物質を含むタールなどが問題視され、吸い口にフィルターを付けたタイプが1950年代から米国で、60年代から日本で普及した。
 
この研究グループは、フィルターたばこの普及後も、肺がん全体の罹患率があまり減っていないことに着目。
米国立がん研究所の73~2005年の登録データ28万人分と、滋賀、福井県など9府県市の75~03年の登録13万人分を分析。
肺がんの大部分を占める腺がんと、扁平上皮がんになる割合の変化を調べた。
 
日本人男性の人口10万人当たりの罹患率を見ると、扁平上皮がんはフィルターたばこの普及後、94年の15・9人をピークに減少。
一方で腺がんは75年の8・2人から、98年には18・2人に増加した。
 
米国でも扁平上皮がんは、82年をピークに減少。
喫煙率の激減によりフィルターたばこ消費量が大幅に減少し始めてからは腺がんの罹患率も下がり始めたが、扁平上皮がんほどには減っていない。
 
扁平上皮がんの原因物質は粒子が比較的大きく、フィルターで除去されるとみられるが、腺がんの原因物質は粒子が小さく、すり抜けて肺に付着するものがあると考えられるという。
フィルターたばこでも肺がんを起こすリスクは変わらない。
国民全体の喫煙率を低下させる対策が必要だ。
 
ある専門家は「腺がんの発症とたばこに関連があることは、国立がんセンターの研究などでも示されているが、今回の発表で日米に共通する傾向が見られたことは、こうした研究の裏付けを強めることになったのではないか」とコメントしている。

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出典 中日新聞・夕刊 2009.9.17
版権 中日新聞社


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出典 朝日新聞・朝刊 2009.9.18
版権 朝日新聞社


家庭での受動喫煙、妻の肺腺がんの危険性2倍以上に

夫が家庭内でたばこを吸う女性は、そうでない女性に比べ、肺腺がんになる危険性が2倍以上に高まることが12日、厚生労働省の調査でわかった。

自身はたばこを吸わない女性患者の約4割は、夫からの受動喫煙がなければ、がんにならなかった可能性があるという。

調査は、40~69歳のたばこを吸わない女性2万8千人を対象に、1990年代の初めから約13年間にわたって実施。
この間に肺腺がんと診断された82人について、喫煙など夫の生活習慣との関係を調べた。

この結果、夫がたばこを吸わない女性に比べ、夫が現在も吸っているケースでは2倍、過去に吸っていた場合は1・5倍も肺腺がんになる確率が高かった。
夫が吸っているたばこの本数調査では、1日あたり20本未満の場合は1・7倍、それ以上の場合は2・2倍と、本数が多いほど、危険性が高まることも判明した。

家庭内で夫が吸っていなくても、職場での受動喫煙だけで肺腺がんになる危険性が1・2倍高まることもわかった。

受動喫煙肺腺がんの関係について、数万人規模の女性を対象に追跡調査したのは国内初。研究班の倉橋典絵・国立がんセンター研究員は「受動喫煙では、喫煙者がフィルターを通じてたばこの煙を吸い込むのとは違って、いったん空気に広がった煙を、呼吸とともに肺の奥まで吸い込むため、肺腺がんになる可能性が上がるのではないか」と指摘している。
出典 読売新聞 2007.12.12
版権 読売新聞社


肺癌
http://ja.wikipedia.org/wiki/肺癌#.E8.82.BA.E8.85.BA.E7.99.8C
■肺腺癌(はいせんがん、Adenocarcinoma)は、肺の腺細胞(気管支の線毛円柱上皮、肺胞上皮、気管支の外分泌腺など)から発生する癌。
発生部位は肺末梢側に多い。喫煙とも関連するが、非喫煙者の女性に発生する肺癌は主にこの型である。病理組織学的検査では、がん組織が腺腔構造(管腔構造)を作っていることが特徴的である。
血液検査ではCEA(癌胎児性抗原)、SLX(シアリルルイスX抗原)などが腫瘍マーカーとなる。


肺がん | がんの知識 | がん・医療サポートに関するご相談 | 癌研有明病院
http://www.jfcr.or.jp/hospital/conference/cancer/about/lungs.html
一番多いのは腺がん
■腺がんは肺の末梢に発生するがんの代表的なもので、非喫煙者の女性もかかるがんです。
肺がんの60%の多くを占め、肺がんでは最も頻度の高いがんです。
しかも近年この腺がんの増加が著しいことが問題となっています。
腺がんははっきりした原因の判っていないがんと考えられていましたが、近年この腺がんにも喫煙と関係のないがんと、喫煙が関係しているがんがあることが判って来ました。

■腺がんは比較的小さなうちから転移をおこしやすいのが困りものです。
また末梢発生のため、肺を包んでいる胸膜に近い場所に発生しやすく、そこから胸膜播種(胸膜の上にがん細胞がパラパラとこぼれ落ち、種をまいたように転移を形成すること)という転移をおこし、がん性胸膜炎という、手術では治せない進行した状態になりやすいのも困りものです。



<インフルエンザ関連サイト>
「感染疑い」でも治療薬投与を…厚労省通知
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090918-00000949-yom-soci
新型インフルエンザに感染して死亡した横浜市の小学6年の男子児童(12)がタミフルなどの治療薬を投与されていなかったことを受け、厚生労働省は18日、感染の疑いがある患者については、感染が確定していなくても医師の判断でタミフル等の治療薬を投与できることを改めて周知する通知を都道府県などに出した。
出典 読売新聞 2009.9.18
版権 読売新聞社

<コメント>
余計なお世話というものです。
私は従来から簡易検査で陰性でもインフルエンザが強く疑われる場合には抗ウイルス剤を投与してきました。
簡易検査は原則1回しか出来ません。
来院が早すぎると当然インフルエンザの方でも陰性となります(偽陰性)。
発症後48時間以内に投与しないと効果がないために「見切り発車」は当然のことです。
新型インフルエンザも当然のことです。

「感染が確定していなくても医師の判断でタミフル等の治療薬を投与できる」・・・今までも出来ていました。相変わらずの「上から目線」です。
そして、そもそも10代には原則タミフルを投与してはいけないという指示をしたのは厚労省です。
混乱してパニックになっていませんか。

蛇足ですが、PCR検査による新型インフルエンザの確定診断は「お役所」に独占されています。
現時点では集団発生(定義は曖昧)しないと検査してもらえません。
そしてその手続きも煩雑で依頼する気にもなりません。


新型インフル>簡易検査で陰性でもタミフル投与を 厚労省
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090918-00000105-mai-soci
■簡易検査は発症初期段階では陽性と判定されないことも多い。これまでの15人の死亡例のうち、簡易検査が陰性だったのは男児のケースを含め4例あるといい、厚労省は改めて早期治療を呼び掛けることにした。
<コメント>
そもそも抗ウイルス剤で救命できたかという疑問を持つべきです。
11例は抗ウイルス剤を投与しても死亡したわけですから。
私は昨日、ある抗ウイルス剤を販売している製薬メーカーの学術にその点について文書で質問状を出しました。


新型インフルエンザ:ワクチン同時接種容認へ--厚労省
厚生労働省は18日、新型インフルエンザワクチンの専門家会合を開き、医師の判断に基づき、季節性と新型ワクチンの同時接種を認める方針を示した。

通常、異なるワクチンの同時接種は副作用が生じた場合、原因解明が難しくなるため避けられている。だが、厚労省は季節性、新型ともに流行が拡大する冬季を前に容認姿勢を示し、医療機関の負担を軽減するとともに、利用者の通院回数を減らし医療機関での感染拡大を防ぐことにした。
出典 毎日新聞・東京朝刊 2009.9.19 
版権 毎日新聞社

<コメント>
厚労省にしては随分思い切った方針を打ち出しました。
安全であるという医学的根拠は全くありません。
この方針決定に医学専門家が関与しているかもはっきりしません。
私見ですが省内の厚生医務技官は医学専門家ではありません。


<きょうの一曲>
Puff: Mary Travers of P.P.M passed away today.
http://www.youtube.com/watch?v=YKIFEuwH4RY&hl=ja


読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
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