肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチン

新型インフルエンザ(H1N1型)は国内でも蔓延しつつあります。

今のところ弱毒性で、死亡者も少ない状況ですが毎日のように死亡例が報告されるようになって来ました。
今後どのようにウイルスの毒性が変化していくかはまったく予測できません。

新型インフルエンザで重症化する場合は、脳症以外には肺炎の合併が問題となります。
この肺炎の多くはウイルス性肺炎で短期間に急激に呼吸不全に陥ります。

あくまでも私の個人的印象ですが、今回の新型インフルエンザには少し特徴があります。
それは長年経験して来た季節型インフルエンザと異なり局所症状が少ないことです。
つまり、発熱や全身倦怠感や冷感頭痛などの全身症状は共通の症状ですが、その後に季節型インフルエンザで見られる咳や鼻水などがほとんどなくて「すんなり」治ってしまうケースがほとんどなのです。
このことを報道で聞いたことはありません。

厚労省は大学教授などの有識者を集めて知恵を絞り合っています。
しかし考えてみれば会議に出席するような方々はほとんど実際に患者さんを診ていないのです。
私も大病院や大学病院へ勤務した経験がありますが、風邪はおろかインフルエンザの患者さんはほとんど診た覚えがありません。
それは当然のことです。
そんな患者さんはわざわざ大病院には行きません。
医療最前線のわれわれ開業医が対応しているのです。
私も開業してから「風邪やインフルエンザの奥深さ」を初めて知りました。
鑑別するべき病気が数多くあるのです。


新型インフルエンザがこじれて(二次感染)細菌性肺炎になる老人がどれだけいるのかといったことを検証した論文はまだみたことがありません。
私は感染後数日間でウイルス性肺炎にかかって呼吸不全を起こすというパターンを想定しています。

以上のように、老人の新型インフルエンザ対策としての肺炎球菌ワクチンの効果についてはいささか懐疑的です。


以下は最近の新聞記事からの紹介です。

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出典 日経新聞・夕刊 2009.9.25
版権 日経新聞



 
<関連サイト>
新型インフルエンザ情報室 肺炎球菌ワクチン
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