新型インフルエンザワクチンは打つべきか

いよいよ医療関係者から新型インフルエンザワクチンの接種が始まりました。
医療機関の接種希望者が余りにも多く。実際には一部の最前線の医師やナースに接種されているのが現状のようです。
「1回の接種でいいのか」「副作用が大丈夫か」といった疑問に対して厚労省は明確な回答が出来ません。
新型インフルエンザのため答えられないのは当然といえば当然です。

私はここまで不確定なワクチンを流行がすでに始まっているのに本当に意義のあることかと常々疑問に思って来ました。
少し冷静になって考えればわかることです。
季節性インフルエンザワクチンだって接種しても毎年かかってしまう方がいます。
ましてや新型は感染力がより強力です。
重症化や死亡を防ぐとも言っていますが、新型に関してデータがあるはずもありません。
従来の季節型でさえ十分な根拠がありません。
あったら教えてもらいたいぐらいです。

当院にも私やナース分の新型インフルエンザワクチンが配給(といってもしっかり請求書がついています)されました。
もちろん真っ先に患者と接触する事務の分はありません。
(考えてみれば診察室の介助にナースがつかなければ接触するのは受付と医師です。)
注文した覚えもなくただ医療従事者の人数を回答するアンケートが来ただけです。
これでは押し売りです。
接種するのが当然というスタンスです。

届いた新型インフルエンザワクチンは院内には私を含め接種希望者がないため保冷庫に眠ったままです。

さて前置きはこの位にして新着の週刊誌に興味深い記事が出ていました。

免疫学の権威 安保徹教授が断言
新型インフルエンザ「ワクチンを打ってはいけない!」
週刊朝日 2009.11.13

です。




この記事から少しポイントを抜粋してみます。

新潟大学大学院の安保徹教授(62)は白血球の自律神経支配メカニズムを解明した免疫学の権威です。

新型インフルエンザは季節性インフルエンザより毒性が低いことがわかっています。
■ワクチンの必要性は、その病気の危険性によって決まります。
季節性インフルエンザでは10万人に1人、少なくとも50万人に1人に重い副作用が出ています。
■病気で命を失う危険性とワクチン接種による危険性が近い場合、ワクチンのメリットはありません。
むしろ、かかってもたいしたことないのに、ワクチンを接種することで、副作用のリスくを負ってしまいます。
■高齢者はリンパ球が減るが、これまでさまざまなウイルスと闘ってきたため免疫ができていて感染しにくい。
一方、まだ免疫のない子供は感染しやすいが、リンパ球が多いのでウイルスと闘えるのです。
(私のコメント;しかしこの過剰な免疫反応がサイトカインストームとして死因として問題となっているのです。)
■今回のような弱毒性だと、過剰な防御は不要っです。
むしろ子供は今が免疫を作るチャンスです。
まずは、人ごみに出たらその日だけは手洗い・うがいを休みましょう。
公園で遊んだら手を洗わずに、雑菌を取り込むのも効果的。
マスクも要りません。
(私のコメント;寄生虫学で有名な藤田教授も同じようなことを提唱しています。わざわざかかりましょうというのは乱暴な話でいかにも基礎医学の先生のお話です。それに雑菌とウイルスの関係がよくわかりません。)
■あまり清潔な環境で育つと、細菌やウイルスに過敏に反応する弱い体を作ってしまいます。
(私のコメント;たしかに医療最前線の私やナースはインフルエンザに今の所かかりません。周囲の先生方もかかったという話は聞きません。いつもマスクをしているあるナースだけは毎年のようにインフルエンザにかかっています。学校の先生もベテランになるほどインフルエンザにかからないようです。これは私の経験則で根拠はあまりありません。)

大体、以上のような内容です。
インフルエンザを研究する学者や臨床医にもそれぞれ得意な専門分野があります。
真実の一部でしょうが、これはすべてではありません。
安保教授は基礎医学の学者で実際に患者さんを診察しているわけではありません。
一つの考え方として参考にして下さい。

あなたはどうっするって?
しばらくワクチンを自分自身に接種する気はありません。
何よりも安全性がまだはっきりしていませんから。

イメージ 1

出典 週刊朝日 2009.11.13
版権 朝日新聞社
<コメント>
新型インフルエンザの死亡者数37人はかなり信頼性のある数字ですが、感染者数はあまりあてになりません。
もっともらしい数字がどうやって出されたのでしょうか。
季節性インフルエンザの1万人という死亡者数には実感がありません。
本当でしょうか。
季節性インフルエンザの数字の信憑性はともかくとして、両者の死亡率の差はこれからもっと開いていくのではないでしょうか。
感染者の増加の方が死亡者の数よりはるかに多いことが予想されるからです。
きょう来院された方も、あれっと思うような症状の軽い方が、簡易試験で陽性に出てしまいました。
腸炎症状の方もあるようです。
報道に出てくる偉い先生方もごく一部の先生を除いては、新型インフルエンザの患者さんの診療を実際にはしていません。


<関連サイト>
新型インフルエンザワクチン
http://wellfrog4.exblog.jp/12799829/

新型インフルエンザワクチン接種後の副反応
http://wellfrog4.exblog.jp/12769657/

新型インフルエンザA(H1N1)のワクチン接種回数
http://wellfrog4.exblog.jp/12737724/


新型インフルエンザにどう対応すべきか
http://wellfrog4.exblog.jp/12646327/


<番外編>
新型インフルで3人死亡=最年少2歳女児も、計43人に
盛岡市は1日、新型インフルエンザに感染した同市の2歳女児が死亡したと発表した。
厚生労働省によると、新型インフルの死者で最年少。
また兵庫県伊丹市の小学2年の女児(8)が、京都市右京区の30代前半の女性会社員が、それぞれ死亡したと発表。
国内の新型患者の死者は疑い例も含め計43人となった。
 
盛岡市保健所によると、女児は先月29日夜に発熱。
呼吸が停止したため、同日、市内の病院に入院した。
リレンザ投与などを受けたが、1日朝に死亡した。
死因は多臓器不全で、基礎疾患はなかった。
 
兵庫県によると、女児は先月31日朝に発熱し、タミフルを処方され帰宅したが、午後3時ごろにけいれんを起こして心肺停止状態に。
同4時半に市内の病院で死亡が確認された。
基礎疾患はなく、死因は心不全と推定。
女児は30日は元気に登校していたという。
 
また京都市によると、女性は先月30日昼に発熱があり診療所で風邪薬などを処方された。
熱が続いたため31日夕にタミフルの処方を受けたが、同日夜、歩行困難となり1日朝病院で死亡した。基礎疾患は調査中だが、先月にぜんそくで病院を受診したという。
市は病理解剖して死因を調べる。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091101-00000052-jij-soci
出典 時事通信 2009.11.1
版権 時事通信社


盛岡市兵庫県のケースはあまりにも早い経過に驚きます。
そして最年少記録も更新(?)されてしまいました。
京都市の症例は30代前半の健康な方であったことにショックを覚えます。

ワクチンを接種していればどうだったかと誰でも思ってしまいます。
しかしこれは永遠に答えの出ない難問です。




読んでいただいて有難うございます。
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