新型インフルエンザ対策としてのβグルカン・乳酸菌

##新型インフル:北大が研究「乳酸菌などで死亡率ダウン」
新型インフルエンザ対策として、抗がん剤に使われる多糖類「β(ベータ)グルカン」と乳酸菌を一緒に服用すると死亡率が大幅に下がり、重症化を防ぐ効果もあることが3日、北海道大人獣共通感染症リサーチセンターの宮崎忠昭教授(分子生物学)の研究で明らかになった。
抗インフルエンザ薬「タミフル」より高い効果が見られたといい、新薬開発につなげたい方針。

研究グループによると、新型インフルエンザに似た亜種のインフルエンザを感染させたマウスに
(1)βグルカンと乳酸菌を併用した培養液
(2)タミフル水溶液
(3)生理食塩水
--をそれぞれ与えた。
その結果、(3)のグループの生存率はゼロ、(2)は50%だったのに対し、(1)は75%に達した。
体重の減少もあまり見られず重症化しにくいことが確認された。

パン酵母やキノコなどに含まれるβグルカンと乳酸菌は高い免疫作用を持つことで知られる。
事前に服用すれば感染予防にも役立つとみられ、宮崎教授は「βグルカンの免疫効果の研究をこれまで行ってきたが、乳酸菌と組み合わせることで免疫機能が非常に高まることが今回の動物実験で分かった」と話している。
出典 毎日新聞 2009.12.3
版権 毎日新聞社
<コメント>
ウイルス増殖を抑えるタミフルなどの抗インフルエンザ薬と異なり。免疫まど生体防御力を高める作用がみられるということです。
その点が新薬開発につながるとして期待されるところです。
生存率の比較が一番重要なところですが、統計処理で有意差はどうだったのでしょうか。
またタミフルより有効で、副作用がないとすれば素晴らしいことです。
今までタミフルについては異常行動との関係がはっきりしないままとなっています。
この実験系などではっきりさせることはできないのでしょうか。
不思議といえば不思議です。
<参考>
βグルカン
http://www.elson.co.jp/glucan.html
βグルカン(ベータグルカン)をはじめとする多糖類を含有している健康食品には、大きく分けてキノコ類、酵母類、海草類などがあります。
キノコ類には、アガリクスハナビラタケメシマコブ、 マイタケ、カバノアナタケ、 霊芝、椎茸などがあり、酵母類では、パン酵母、黒酵母、オーツ麦、大麦などがあり、藻類ではフコイダンなどが挙げられます。


<番外編 その1>
新型インフル入院1万人超える 8割が14歳以下
厚生労働省は2日、新型の豚インフルエンザに感染して入院した累計患者数が1万人を超えたと発表した。
調査を始めた7月下旬から今月1日までに1万487人が入院し、そのうち14歳以下が8929人で85%を占めた。
現在も約2千人が入院中とみられる。
入院患者のうち、持病のある人は35%の3697人。
病気別では、ぜんそくなどの慢性呼吸器疾患が最も多く、続いて慢性心疾患や糖尿病など。妊婦は36人だった。
男女比は、男性(6708人)が女性(3779人)の1.7倍だった。
厚労省は「男性が多い理由は不明」としている。
一方、インフルで休校や学年・学級閉鎖をした保育所や小中高校などは、11月28日までの1週間に全都道府県で1万5656施設だった。
大半は新型インフル患者とみられる。
前週(1万5682施設)とほぼ同じ。
1週間の患者数は約23万2千人だった。
http://www.asahi.com/national/update/1202/TKY200912020431.html
出典 asahi.com 2009.12.2
版権 朝日新聞社
<コメント>
入院は重症者を意味します。
14歳以下に多く、持病では慢性呼吸器疾患に多く、何よりもこのニュースで興味深いのは男性に多いということです。
重症化と死亡のリスクとは異なるかも知れませんが、今までの死亡例での検討でも男性に多かったのでしょうか。
そして入院についてですが、どのような病棟に入院となったのでしょうか。
感染病棟や個室が確保されているのでしょうか。


<番外編 その2>
鳩山首相長妻厚労相の対応批判…事業仕分け
鳩山首相は3日、行政刷新会議による事業仕分けの評価結果の一部を長妻厚生労働相が受け入れないと表明したことについて、「よほどきちんとした理屈をたてなければ、事業仕分けの努力が報われなくなる」と批判した。
長妻氏は2日、仕分け対象となった厚労省所管の51事業のうち、診療報酬など19事業について「評価結果通りの対応は困難だ」とする見解を発表した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091203-00000998-yom-pol
出典 読売新聞 2009.12.3
版権 読売新聞社
<コメント>
これって首相の丸投げではないですか。
あまりにも乱暴な手法です。
何より「仕分け」する際に基本方針がないのが寂しいです。
基本方針は「削減」のみです。


<番外編 その3>
#「決まったものの復活はほぼ考えられない」―仕分け結果で藤井財務相
藤井裕久財務相は12月1日の閣議後の記者会見で、11月30日の行政刷新会議で大筋で了承された事業仕分けの評価結果について、「財務省としては、(廃止や見直しなどと)決まったものを復活することはほぼ考えられない」との考えを示した。
その上で、「各大臣と一緒に(行政)刷新会議の結論を世の中の人に見える形で、予算編成で決定していく」と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091201-00000005-cbn-soci
<コメント>
財務省厚労省の対立が浮き彫りになってきました。
医療関係者として、どちらが正しくどちらが間違いか、そしてどちらが味方でどちらが敵かはっきりしました。
結局各省の頂点に財務省があります。




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