新型インフルエンザの家庭内感染

年末年始をはさんで新型インフルエンザの話題はすっかり影を潜めました。
幼稚園や学校が冬休みに入っていることも関係がありそうです。
新学期が始まればまた深刻な事態が起きそうです。
昨日も大学受験の浪人生が来院し簡易検査でA型陽性(おそらく新型インフルエンザ)という結果が出ました。
センター試験まで残り半月です。
思わず「今のタイミングでかかって良かったね」といってしまいました。

さてきょうは、「新型インフルエンザの家族内感染」の話題をとりあげてみました。


##新型インフル、家庭内感染率は低め…米調査
新型インフルエンザの家庭内での感染率は、季節性に比べて低いとする調査結果を米疾病対策センターCDC)など米英の研究者がまとめ、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン最新号に発表した。

研究チームは、昨年新型インフルの患者が出た米国の216世帯の記録を調査した。
その結果、二次感染した家族は全体600人のうち13%に当たる78人だけで、156世帯では二次感染がなかった。
過去の研究では季節性の家庭内感染率は10~40%とされ、比較すると新型の感染率は低い。

ただ、新型インフルに対する啓発活動が行き届いた結果、看病する家族がふだんより手洗いを励行したり、患者を別の部屋に離したりした効果があった可能性もある。
新型ウイルスの感染力が本当に弱いかどうかは分からない。

家庭内に患者が出ても家族にうつるとは限らず、米専門家は「『家族がかかったから予防接種は不要』ということにはならない」と指摘している。

出典 読売新聞 2010.1.4
版権 読売新聞社

<コメント>
従来、新型インフルエンザは季節性インフルエンザに比べて感染力が強いといわれて来ました。
当院でも家族全員(4人)や3世代家族で3世代にわたってかかったケースも経験しました。
個人的印象では季節性よりも感染力が強い印象を持っています。
米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンは医学界では最も権威のある医学誌の一つで統計処理があいまいでは採用されないので有名です。
一定の信頼性のある論文なのでしょうが、人種差や各国の事情による差についえはこの論文では言及されていないようです。



##家族発症まで平均2.6日=新型インフルの家庭内感染-子供はリスク2倍・米調査
家庭内で新型インフルエンザ患者が最初に発生してから、家族の誰かにうつり発症するまでの期間は平均2.6日だったことが、米国の統計分析で分かった。
英の大学インペリアル・カレッジ・ロンドンと米疾病対策センター(CDC)の研究チームが、4日までに米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表した。
 
この分析は、昨年6月からの半年間にCDCに報告があった新型インフルエンザ患者216人と、患者が接触したその家族600人のデータに基づく。
家族のうち、78人(13%)が急性呼吸器疾患、60人(10%)が発熱とせきやのどの炎症を発症した。
 
家族の年齢別では、18歳以下の子供が感染・発症する確率は、19~50歳の家族より2倍高く、4歳以下の乳幼児に限ると3.5倍に上った。
一方、51歳以上の家族は4割にとどまった。
 
研究チームによると、過去のインフルエンザの大流行時より、新型が家庭内で感染する確率は低い。家庭内感染の大半は、最初の患者が発症して間もない時期か、その直前に起きると考えられる。 

出典 時事通信 2010.1.4
版権 時事通信社



##新型インフルエンザの家庭内での感染対策 :インフルエンザ対策
http://makinodow.jp/influenza/cat0001/1000000002.html
■出来ることなら患者とは別の部屋で過ごします。
新型インフルエンザに感染したことがはっきりしたら、家庭内でもうがい・手洗いはマメに行い、看病する時にはマスクをするようにします。
■鼻をかんだティッシュ、嘔吐物の片付けには特に注意が必要です。
ウイルスが含まれるので、一番感染しやすい立場にあるので、ゴム手袋などを使用して直接手で処理しないように注意します。
■トイレやドアノブなどは新型インフルエンザ患者も健康な家族も皆が触れる場所です。
トイレやドアノブなどに接触することでウイルスが付いてしまうのが不安です。
■除菌スプレーやアルコールなどで拭くと殺菌できますから、触れたところはグッズを使ってウイルスを退治するようにします。
■食器類や衣類も心配ですが、食器類はきちんと洗浄し、乾燥させれば特別な洗剤がなくても消毒できます。衣類も洗濯をしっかりすることです。
新型インフルエンザにかかった本人も他の家族にうつさないような対策を心掛けることが必要です。
咳やくしゃみは周囲約2mに広がるとされますから、マスクは必ずし、咳などをする際も手やティッシュで覆って飛沫が飛ばないようにして殺菌を忘れずに行います。
熱が下がっても感染力はあるとされていますので、解熱後2日間程度は対策をしたまま安静を保ちます。


##新型インフルエンザ 家族に感染者が出た場合の対処法を検証しました。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00155644.html
(動画が見れます)


##[PDF] 個人、家庭及び地域における 新型インフルエンザ対策ガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/09-12.pdf
厚生労働省のHPです)

##新型インフルエンザについて(東京都感染症情報センター)
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/swine-flu/swine-flu.html




<番外編>
『トクホ』は廃止を! 「体に良い」は根拠あいまい
http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/society_091228.htm



<きょうの一曲> 「美しき青きドナウ」
ウィーンフィルニューイヤーコンサート2009 ワルツ「美しき青きドナウ」
http://www.youtube.com/watch?v=bhmXIn0j5VI&feature=related



読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
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