新型インフルエンザ   2010.1.9

##新型インフルエンザ:スペイン風邪と同じ構造 「高齢者に免疫」裏付け
新型インフルエンザが人に感染するかどうかを左右するウイルスの構造が、スペイン風邪など20世紀前半に流行したウイルスと同じだったことが、科学技術振興機構の西浦博・さきがけ研究員らの研究で分かった。
新型ウイルスでは高齢者に感染者が少ないことが知られているが、その原因の一つが解明されたことになる。
また、日本で1人の感染者から広がるのは1・21~1・35人で、感染力は季節性インフルエンザと同じか弱いことも判明した。7日付の英医学誌2誌に発表した。

ウイルスの表面にはヘマグルチニンという突起があり、この突起を使ってヒトの細胞に侵入する。
研究チームは、新型と同じH1N1型の過去のウイルスで、ヘマグルチニンの先端構造を比較した。

その結果、1918~40年代前半に流行したスペイン風邪や同時期の季節性インフルエンザのウイルスは、先端の構造が同じだったことが分かった。
これに対し、77年以降は同じ構造を持つウイルスが、ほぼなくなっていた。このため、60歳代以上では新型に免疫を持つようになったと考えられる。

さらに、確定患者約3500人を対象に感染のしやすさを調査。20~39歳を1とした場合、19歳以下は2・7倍、40~59歳が0・56倍、60歳以上は0・17倍となった。

西浦さんは「再流行が起きても、小規模な流行にとどまるのではないか」と話す。
http://mainichi.jp/select/science/news/20100108dde041040018000c.html

出典 毎日新聞 2010.1.8 夕刊
版権 毎日新聞社



群馬県のニュースです。
##季節性インフル消えた? 今季の検出報告ゼロ
新型インフルエンザが流行する中、県内では、今季のインフルエンザシーズンの昨年8月31日以降、季節性インフルエンザウイルスの検出例が8日現在、報告されていないことが分かった。
県保健予防課は、流行期は年ごとに異なるとしつつも、「例年では考えられない状況」と話している。

同課によると、新型が流行する前の2008年11月中旬と12月初旬には、それぞれA香港型とAソ連型といった季節性のウイルスが確認された。
一方、県内で新型患者が確認された昨年6月下旬以降は、季節性の検出例はない。

国立感染症研究所(東京都新宿区)によると、全国で検出されるウイルスの大半が新型となった昨年7月初旬~12月中旬に検査した1万8568件のうち、新型の検出率は99.17%に及んだ。
同研究所調整課は「例年ならば、今の時期に季節性の流行がピークに達していてもおかしくないが、今季はほとんどない」と驚いている。

ただ、検出例がない理由は明確でなく、県衛生環境研究所(前橋市)は「科学的根拠のある説明はできない」とする。
同研究所によると、南半球では、昨年の流行期でも季節性の検出が非常に少なかった。

出典 読売新聞 2010.1.9
版権 読売新聞社


##子どものこんな症状注意…新型インフルでリスト
厚生労働省と日本小児科学会は、子どもが新型インフルエンザにかかった時に注意すべき症状のチェックリストを作った。

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出典 読売新聞 2009.12.28
版権 読売新聞社


#【仏国ブログ】新型インフルエンザ、余剰ワクチンに高まる批判の声
フランスでは新型インフルエンザのワクチンを大量に購入したが、接種者数が想定されていたより少なく、余剰気味であるという。仏フィガロ紙のウェブサイトでは「フランス政府は9400万回分のワクチンを発注していたが、うち5000万回分の発注を取り消した」と伝えている。

さらに、取り消し後も約4000万回分の在庫を抱え込むほか、「(フランス政府は)発注取消料を減らしてもらうため、製薬会社との交渉に追われることになる」と記していた。

これについてフランス政府は「(取り消しすることにより)3億5000万ユーロ(約465億5000万円)以上の出費を抑えられた」と発表しているが、その詳細な経緯や内訳は明らかにされていない。

また、これまで接種希望者は接種会場に出向く必要があったが、来週から一般医でも接種を受け付け、接種へのアクセスを容易にするなど損失を最小限に抑えようとしている。しかし、大幅に判断を誤った政府へ国民からの批判の声が高まっている。

この記事に寄せられたコメントには、損失額が明確ではないことを指摘するものが多く、「3億5000万ユーロの出費が抑えられたというが、この数字が算出された経緯などがまったくわからない」「国民は、損失も含めて政府の収支を知る権利があるのではないか」といった声も上がっていた。

判断の誤りに対しても「歴史に残るスキャンダルだ」「フランス国家はすでに負債をかかえているが、さらに負債が増えるのだろう」と政府を批判する意見が多く寄せられている。

http://www.jpeds.or.jp/influenza/hogosya_poster.pdf
<コメント>
我が国でも今後導入が決定した輸入ワクチンは不人気です。
この記事のフランスの部分をを日本に置き換えれば1か月後の日本の状況となります。
もっとも日本国民はおとなしいのでこういった国民の声にはならないと思います。
せいぜい井戸端会議や飲み屋での話題にとどまるものと予想されます。


##新型インフル:ワクチン接種後に呼吸困難や血圧低下46件
厚生労働省は8日、新型インフルエンザワクチンの接種後に、呼吸困難や血圧低下に陥る「アナフィラキシー」を起こした例が46件報告されていることを、専門家会議で明らかにした。
報告の頻度は10万件当たり0.6件で、一般的な発生率とされる10万件当たり1件より低いことなどから、専門家会議は「重大な懸念はない」と結論付けた。

アナフィラキシーはアレルギー症状の一種で、注射で起こる代表的な副作用。

厚労省によると、ワクチンは昨年12月末までに約830万回接種され、医療機関からアナフィラキシーの報告が102件あった。
専門家が検討した結果、このうち46件は接種との因果関係があると判断された。
意識を失うなど入院相当のケースも20件含まれていたが、いずれも回復しているという。

このほか、今月5日までに脳炎・脳症で7件、神経まひなどを起こすギラン・バレー症候群で5件の副作用報告があったが、これらも季節性のワクチンと比べて際立った危険はないと判断された。

昨年末までに接種されたワクチンはいずれも国産だが、カナダでは日本が輸入を予定し承認手続き中のワクチンを巡り、約17万本の接種で7件のアナフィラキシーの報告があったため、使用が中止されている。





<きょうの一曲> 喜歌劇「こうもり」
Vienna New Years Concert 2010, Johann Strauss Die Fledermaus Overture
http://www.youtube.com/watch?v=QROR4LioU-8&feature=related



読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
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