子どものワクチン 優先度は

新型インフルエンザワクチンがだぶつく懸念が出てきています。
在庫が十分あるうえ、流行のピークが過ぎて接種を見送る人が増える可能性があるためです。
私の診療所でも余剰在庫があります。
昨年中に予約された方に電話で連絡しても来院していただけないのが現状です。
当方としては、予約された方を優先ということで新規の予約は今年に入ってからはお断りして来ました。
世の中、需要と供給の関係でなりたっているのだな、とつくづく思いました。
最近は、どこの薬剤卸業者も電話さえすればすぐにワクチンを持って来てくれるようです。

余ったワクチンを身内に接種したとか廃棄処分にしたとかで報道されたことがウソのようです。
あの狂想劇的な報道に接した時は、日本のマスコミの幼稚さ、程度の低さ、横暴さを大いに感じました。
報道された医療機関もさぞかし困惑したことと思います。
「一億総○○化」とはこのことです。

熱しやすく冷めやすい。
各報道が同じような瑣細なニュースソースに群がる。(いかにも島国的)
そして曖昧なまま過ごす。
過去の歴史に学ばない。
これこそがいかにも日本的なところです。

マスコミはあの過激な頓珍漢な報道を反省しません。

かつてエッセイストの故山本夏彦氏は、「事件は最初からあるわけではない。マスコミが報道した時点で事件になる」、と看破していました。
まさに、マスコミが事件を作っているわけです。



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出典 朝日新聞・朝刊 2010.2.10
版権 朝日新聞社





<番外編 その1>
#千葉・新型インフルで中3男子死亡
県は8日、新型インフルエンザに感染した印旛保健所管内の中学3年生男子(15)が死亡したと発表した。
死因は新型インフルエンザウイルスによる急性心筋炎。
男子生徒に基礎疾患はなく、ワクチンは未接種だったという。
新型インフルエンザによる死亡は県内3例目。
県健康危機管理対策本部によると、男子生徒は1月11日に発熱とのどの痛みを発症。
12日に呼吸停止し緊急搬送され治療を受けたが、2月8日に死亡した。
感染経路は特定できていないという。
出典 毎日新聞・朝刊 2010.2.9 
版権 毎日新聞社
<コメント>
マスコミは、「ワクチンが未接種だった」といいます。
以下の記事でも「ワクチンは接種していなかった」と報道しています。
最近こそ報道されていませんが、ワクチン接種に関連すると思われる死亡例は、たしか100例を越えています。
そして、このケースもワクチンを接種していれば死亡しなかったかどうかはわからないのです。

<番外編 その2>
#長野の70代女性が死亡 県内4人目 新型インフルエンザ
長野市保健所は8日、新型インフルエンザに感染した長野市在住の70代女性が死亡したと発表した。死因はインフルエンザによる心不全
女性はうっ血性心不全心室細動など基礎疾患があり、主治医の判断でワクチンは接種していなかった。
新型インフルエンザの感染(感染疑いを含む)による死者は県内で4人目。
市保健所によると、女性は昨年から市内の病院に入院しており、1月23日に発熱し、24日にいったん下がったものの、28日に再び38.2度まで上がった。
簡易検査でA型インフルエンザに陽性反応が出たため、タミフルを投与し解熱したが、翌29日に症状が悪化、市内の別の病院に転院し、人工呼吸器を付けて治療した。
2月2日にはPCR(遺伝子)検査で新型インフルエンザの陽性反応が出て、症状が回復しないまま7日に死亡した。
医師などの病院関係者や他の入院患者、家族らからインフルエンザ感染は報告されておらず、感染経路は不明という。
出典 毎日新聞・朝刊 2010.2.9 
版権 毎日新聞社
<コメント>
私が主治医だったとしても、ワクチンは勧めなかったと思います。
ワクチン関連の死亡例は最優先順位である「合併症のある患者」に集中していたことを思い出すべきです。
<番外編 その1>では抗ウイルス剤の投与については触れられていますん。
<番外編 その2>はタミフルは効果がありませんでした。
それにしても1月23日に発熱して、随分時間の経過した2月2日にPCR検査で陽性になるのも不思議です。
1月28日に簡易検査陽性ということも1月23日発症のインフルエンザとは思えません。
何らかの発熱うを起こす病気にかかっていて、その後にインフルエンザを合併したのではないでしょうか。


<番外編 その3>
#最悪期脱したか判断へ=新型インフルで月内に緊急委-WHO
世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長特別顧問(新型インフルエンザ担当)は11日の電話会見で、今月下旬に各国の専門家で構成する緊急委員会を開き、新型インフルエンザの世界的な大流行(パンデミック)が最悪期を脱したかを検討する方針を明らかにした。今月最終週になる見通し。
緊急委が最悪期を脱したと判断すれば、昨年6月にチャン事務局長が宣言した新型インフルエンザのパンデミックは、終息に向け一歩を踏み出すことになる。 
出典 時事通信 2010.2.11
版権 時事通信社




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