インフルエンザワクチン、秋から1種類に

最近の新聞にインフルエンザワクチンに関する記事が出ていました。
他の医療機関でもそうでしょうが、当院でも余剰在庫をかかえて困っています。
予約がまったく意味をなしません。
世の中の需給関係をひしひしと感じている今日このごろです。
他の開業医の先生と、手付金をとっておかないとといった冗談ともいえない話をしています。
きょうは久しぶりにインフルエンザワクチンの話題を取り上げてみました。


##インフルワクチン、秋から1種類でOK 国産で確保可能
国内のインフルエンザワクチンが今秋、1種類にまとめられる見通しになった。
世界保健機関(WHO)が18日、来季のインフルワクチンに新型の豚インフルを組み込むことを推奨すると発表したからだ。
今季のように季節性と新型の2種類のワクチンを打つ必要がなくなる。例年約4千万人にものぼる接種希望者の負担が軽くなる。

今季の季節性ワクチンはAソ連型、A香港型、B型の3タイプのウイルスを対象にしてつくられた。
インフルワクチンは1種類で最大3タイプのウイルスにしか対応できない。
このためこれとは別に新型のワクチンもつくった。特に1~12歳の子どもは季節性と新型を2回ずつ計4回も打つことになった。

国立感染症研究所のまとめでは、昨年8月末から今年2月中旬までに全国の定点医療機関などを受診した患者から採取され、地方衛生研究所で分析されたインフルウイルスのうち新型が1万8076件。
これに対し、Aソ連型はゼロ、A香港型は15件、B型は9件と、圧倒的に新型が多かった。
世界的には、B型が日本より多い地域もあるが、おおむね似たような傾向だ。

過去のパンデミック(世界的大流行)では、新型の流行に取って代わられる形でそれまで流行していたウイルスが世界的に姿を消している。
理由はまだわかっていないが、今回も同じことが起きた。

18日に電話会見したケイジ・フクダWHO事務局長特別顧問は「パンデミックが終わったというわけではない。秋以降も新型がインフル流行の中心になると予測される」と強調した。

国内では今季、インフルワクチンをつくっている4社が季節性(成人換算で約4千万人分)と新型(同約5400万人分)の両方を製造しなくてはならなかった。
このため、国産だけでは新型が足りなくなるという予測から外国産の新型(予定で同9900万人分)も輸入された。
来季は、1種類のワクチン製造だけで済むため必要量を国産でまかなえる可能性が高い。

国内では感染研が今後、WHOの推奨などを踏まえて専門家の検討会議でワクチンのもとになるウイルス株を選び、最終的には厚生労働省が決める。
来季ワクチンが、新型とA香港型、B型という組み合わせになるのは確実だ。

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出典 朝日新聞・朝刊 2010.2.19
版権 朝日新聞社
<コメント>
インフルワクチンは例年、WHOの推奨を受けて「Aソ連型」と「A香港型」、「B型」の3種類の季節性ウイルスを混合して作られています。
WHOはこの混合ワクチンに新型を加えるように推奨したわけです。
ただし、1本のワクチンには3種類までしかウイルスが入れられないため、Aソ連型を外し、代わりに新型を入れることを勧めることとなりました。
ソ連型は今シーズン、世界中でほとんど確認されていません。
ただ、WHOの予想に反してAソ連型が流行した場合、ワクチンは効かないことになります。


新型インフルエンザワクチン 関連記事>
#輸入ワクチン接種始まる=卵アレルギーの人たち-名古屋
外国メーカー製の新型インフルエンザワクチンの接種が19日、名古屋市名鉄病院で始まった。
輸入ワクチンの接種は全国で初めて。
 
同病院では、鶏卵で培養している国産ワクチンを使えない卵アレルギーのある人たちに向け、イヌの細胞で培養したノバルティス社(スイス)のワクチンを使用した。
 
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010021900680

出典 時事ドットコム 2010.2.19
版権 時事通信社



#新型ワクチン接種後に死亡
http://www.shinmai.co.jp/news/20100210/KT100210FSI090007000022.htm
出典 信毎WEB 2010.2.10
版権 信毎毎日新聞
■県内の80代男性が新型インフルエンザワクチンを接種した約6時間半後に死亡し、接種した医師が厚生労働省に死亡とワクチンに関連があると報告していたことが10日までに分かった。
同省によると、新型インフルエンザのワクチン接種に関する同様の報告は県内初で、国内3例目。
同省は因果関係があるかどうか専門家に検証を依頼する。
■ワクチン接種後に患者が死亡したものの、医療機関が「関連なし」「評価不能」と報告した事例は5日現在、全国で計122人。
同省は都道府県別の数は公表していない。
県内では少なくとも80代の男女2人について死亡したとの報告が昨年11月にあったが、ともに専門家の検証で「持病の悪化などによる死亡の可能性が高く、接種との明確な関連はない」とされた。

<インフルエンザワクチン豆知識>
○1歳以上6歳未満の幼児に対する発病阻止の効果 「20-30%未満」
○ワクチン接種による予防効果の持続期間    「5か月」
○最近の論文では、成人の場合、1回接種だと予防効果が64%、2回接種だと94%
(ここでいう予防効果とは、十分な予防効果を持つ抗体が作られる可能性です)
○成人の場合、インフルエンザに罹患したときの死亡予防効果は1回接種でも80%であると言われている
○授乳婦はインフルエンザワクチンを接種しても支障ない
○重症な健康被害として、ギラン・バレー症候群が有名だが、発症率は1/10万



読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
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