糖尿病治療に新薬 インクレチン

日本でも食事の急速な欧米化を背景に糖尿病患者が増加しています。
これは日本だけの問題ではありません。
アジア各国で糖尿病が急速に増えているのです。
アジア人では欧米人などに比べインスリンの分泌が低い体質の方が多く、高度な肥満でなくても糖尿病の有病率は高くなるのです。

日本では治療を受けている患者の6割以上が良好な血糖コントロールを得られていないという報告もあります。

そんな中で昨年12月、インクレチン関連薬が発売となりました。
GLP-1は「DPP-4」という酵素によって分解され活性を失います。
このDPP-4を阻害しGLP-1の作用を持続させる薬剤「DPP-4阻害薬」です。

インクレチンは食後に腸管から分泌されるホルモンの総称です。
食事をすると血糖値が上昇します。
インクレチンは血糖値のレベルに合わせてインスリンの分泌を促し、また膵臓のα細胞で作られ血糖値を上げる働きをするホルモンであるグルカゴンの分泌を抑え、血糖値を下げる働きをします。
 
代表的なインクレチンには、「GIP」と「GLP-1」があります。
GLP-1の受容体は膵臓以外にもあり、胃に作用すると食物排出のスピードを抑え、食後高血糖の改善にも役立ちます。
中枢神経に働いて食欲を抑制するほか、心臓に対する保護作用もあるとみられています。
 
インクレチンは日本人の2型糖尿病にとって福音になると期待されています。
 
いずれにしても、糖尿病と診断された初期から効果的な治療により血糖をコントロールすることが必要です。


<参考および引用サイト>
糖尿病治療の最前線 インクレチンに注目
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2009/05/008254.php

<関連サイト>
インクレチンとは
http://www.banyu.co.jp/content/hcp/science/incretininfo/index.html
■体内では、インスリンとグルカゴンなどによって血糖値が調節されています。
小腸でのグルコース吸収や肝臓からのグルコース放出により血糖値が上昇すると膵臓でのインスリン分泌が増加し、筋肉や脂肪組織などでのグルコース取り込みが促進され血糖値が低下します。
一方低血糖時にはインスリン分泌が減少するとともに、グルカゴンあるいはアドレナリン、成長ホルモン、糖質コルチコイドなどが増加して血糖値が上昇します。
このような血糖調節のしくみにインクレチンというホルモンが深く関与していることがわかってきました。

インクレチン関連薬 国内初の「DPP-4阻害薬」が発売
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2009/12/009548.php
万有製薬は、2型糖尿病治療薬「ジャヌビア錠」(一般名:シタグリプチンリン酸塩水和物)が薬価基準収載されたことを受け、12月11日に発売した。
ジャヌビアは、日本で初めて承認された「DPP-4阻害薬」で、国内では10年ぶりの新しい作用機序をもつ経口2型糖尿病治療薬となる。
■「インクレチン」は、消化管から分泌される、インスリン分泌を促すホルモン。
栄養素が消化管にとりこまれると、インクレチンである「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」などが、小腸上部や小腸下部から分泌され、膵β細胞に作用しインスリンが分泌される。
しかし、インクレチンは血中などに多くある酵素「DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)」によってすぐに分解されてしまう。
DPP-4の活性の働きを阻害すれば、インクレチンの働きでインスリン分泌が強まり、血糖コントロールが容易になる。
そこで開発されたのがDPP-4の活性を阻害するDPP-4阻害薬だ。
■インクレチン関連薬としては、インクレチンの分子構造を一部変えて分解されにくくした「GLP-1アナログ」の開発も進められている。
DPP-4阻害薬は経口薬(飲み薬)で、GLP-1アナログは注射剤という違いがあるが、いずれも国内で数種類の開発が進められており、近い将来に治療に使えるようになる。
GLP-1アナログについては、週1回の注射で済むタイプの開発も進められている。
■今回承認されたシタグリプチンは、優れた忍容性をもち、低血糖を起こしにくく、体重増加が起こらないことが特徴となる。
食事の影響を受けないので、1日1回いつでも服用ができる。
患者にとっても付き合いやすい薬だ。
■インクレチン関連薬は、高血糖のときのみに作用するので、低血糖を起こしにくい。
また、膵β細胞への作用だけでなく、胃からの食物の排出を遅らせたり、食欲を抑えて肥満を抑制する作用もある。
■また、β細胞量を改善する効果もあるのではないかと考えられている。

<コメント>
このDPP-4阻害薬は万有製薬が「ジャヌビア」、小野薬品工業が「グラクティブ」の名前で昨年12月に発売されました。
副作用として低血糖がまったくないわけではありません。
従来の糖尿病薬との併用も可能です。


<自遊時間>
鳩山首相「引退したら農業やる」 食料イベントで小学生に
「この世界から足を洗ったら農業をやりたい」。
鳩山首相は21日、都内で開かれた小学生が食料自給率について考えるイベント「こども食料セッション」で、小学生から「最近の農業ブーム」について質問されてこう答え、政界引退後は農業に従事したい考えを示した。
もっとも「すぐ足を洗うというわけではありません」と付け加え、会場の笑いを誘った。
イベントには全国から選ばれた小学生約20人が出席した。
http://www.excite.co.jp/News/politics/20100221/Kyodo_OT_CO2010022101000276.html
<コメント>
「宇宙人」と今までいわれて来ました、この言葉には国民もビックリ。
「やる」ではなく「やりたい」だから、やらなくても何の問題もありません。
しかし、一国の首相としては言葉が軽過ぎます。
私には「虚言癖」と写ってしまうんですが。
マニフェストも守って貰いたくないものもあります。
そういったマニフェストは「虚言」で済まして下さい。


読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
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