脳ドック検診

脳ドック検診 血管のこぶ探して予防

頭の病気を見つけて予防につなげる脳ドックが人気だそうです。
4月、プロ野球巨人コーチの木村拓也さんが37歳でくも膜下出血で亡くなった影響もあるようです。
木村さんと同い年の私(記者)も初めて受診してみました。

 ***

「体を動かさないで。それでは検査を始めます」。
東京都小平市の「ながしま脳神経・頭痛クリニック」で、MRI(磁気共鳴断層撮影)装置の中で仰向けになった私に臨床検査技師が声をかけた。

しばらくすると、「ガタ、ガタ」と工事現場のような大音響。
10秒ほど休み、再び音が鳴る。
そういう状態が約30分続いた。

脳ドックは画像診断が普及し始めた1980年代後半に始まった日本独特の検診だ。
日本脳ドック学会によると、全国で600以上の医療機関が実施している。

目的は脳卒中認知症の兆候、脳腫瘍の発見などだ。
木村さんを襲ったくも膜下出血では、脳の動脈に異常なこぶ(脳動脈瘤)がないかを確認する。
自覚症状のない脳梗塞(無症候性脳梗塞)を見つけて、深刻な症状の予防につなげることもある。

私の場合、心電図検査や眼底の血管撮影もあった。
最後に長島正院長から、撮影したばかりの脳の断面図を見ながら結果を聞く。
少し緊張する瞬間だ。
「異常は見つかりません。血管の動脈硬化もないようです」。
約2時間半の脳ドックは無事に終わった。

学会が受診を勧める対象は中高年層のうち、高血圧や肥満、喫煙など脳卒中の危険性が高い人だ。
ただ、脳動脈瘤の出来やすさは先天的な要素があり、家族の病歴も重視される。
長島さんは「家族歴がある場合は若くても一度、受診してみてほしい」と話す。

それでは、いったいどれくらいの人に症状が見つかるのだろう。
国内で最も早く脳ドックを始めた新さっぽろ脳神経外科病院で08年末までの約20年間に受診した約3千人のうち、無症候性脳梗塞が8.1%、脳動脈瘤は7.3%の人にあった。

ただ、無症候性脳梗塞の場合や脳動脈瘤が小さい場合は経過観察になることがあり、治療を求める受診者が不安になりかねない。
逆に必要のないと思われる手術を受けさせられた結果、医療事故で訴訟になったケースもある。

そうした問題を背景に、日本脳ドック学会は今年、所定の検査を実施していることを条件に、134の医療機関を認定施設として公表した。
同学会の端(はし)和夫施設認定委員長は脳ドックが乱立気味だと認めたうえで、「受診の目安にしてほしい」と話す。

 ***

ところで、脳ドックは保険が適用されず費用は高額だ。
平均約5万円と言われ、私も5万4600円を支払い、健康保険組合の補助を受けた。
そうした独自の補助制度を持つ健保組合もあるが、年度ごとに人数制限をしている場合があり、事前に確認した方がいい。

高額なだけに、受診の頻度の目安も気になるところだ。
端さんによると、「異常がなければ5年に1回で十分」。
それならば、5年後に向けて貯金を始めることにしよう。 (野瀬輝彦)


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●インフォメーション
日本脳ドック学会の施設認定の条件は、最新の2008年版のガイドラインに沿った検査を実施している
▽年間50人以上受診する
▽直径3ミリ以上の脳動脈瘤を検出できる機器がある
脳神経外科や内科医による画像診断をしている
――など。
134の認定施設は学会ホームページ
http://www.snh.or.jp/jsbd/nintei_list.html
で確認できる。




<関連サイト>
「健康」でも発症 くも膜下出血 たばこ・高血圧が危険因子
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2010/07/12



<きょうの一曲>
Unchained Melody [SaX]
http://www.youtube.com/watch?v=evdrIC6_NpY&feature=related



読んでいただいて有難うございます。
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