超悪玉コレステロール

##「悪玉コレステロール測定法は不適当」 学会が声明
日本動脈硬化学会は26日、健康診断で心筋梗塞などの危険度の判定に使われている悪玉(LDL)コレステロールについて、「現行の直接測定法には問題があり、今のまま診療や健診に用いるのは適当でない」とする声明を発表した。
国や検査試薬メーカーには、特定健診(メタボ健診)の検査項目の追加や、測定方法の標準化などを求めていく。

コレステロールは脂質で、細胞膜やホルモンなどの原料になる。
肝臓などで合成されるが、卵、肉などの食物にも多く含まれている。
ただ、悪玉コレステロールが血中で増えすぎると、血管内壁にへばりついて動脈硬化の原因になる。
これに対して善玉(HDL)コレステロールは血管の壁から悪玉を取り除く働きがある。

同学会は2007年に、脂質異常症を診断する新しい指針を公表。
コレステロール値を診断の基準にするのはやめ、悪玉コレステロール値などで判断するようにした。

それまでは総コレステロール値から、善玉の値を引くなどして算出していたが、新指針に伴い、悪玉を直接測定する試薬が普及。
厚生労働省が08年に始めた特定健診のプログラムでも、悪玉コレステロールの測定法を「直接法」と定め、多くの健診で使われている。

しかし、試薬によって、測定結果にばらつきがあり、すべての判断を直接法に頼るのは危険だということがわかってきた。
学会は声明で、一般診療の場では、総コレステロール値から算出する従来の手法を基本とするよう要望。
来年度からの特定健診でも、総コレステロール値を測定項目に加えるよう求めた。

同学会は「現状では、異常な悪玉コレステロールの値を正常だと見誤ってしまう恐れがある」と指摘している。 (小坪遊)
http://www.asahi.com/national/update/0426/TKY201004260443.html
出典 朝日新聞 2010.4.26
版権 朝日新聞社




##悪玉中の悪玉コレステロール 脳梗塞の引き金、判明
「悪玉中の悪玉」とも呼ばれるコレステロールが、心筋梗塞だけでなく、脳梗塞も起こしやすくするらしいことが、国立循環器病研究センターなどの調査で分かった。
大阪府民約2300人を調べた。
改善のかぎは禁煙という。

調べたのは、酸化LDLコレステロール
ふつうの悪玉であるLDLコレステロールは、心筋梗塞の危険を高めるが、脳梗塞とは関係ないとの見方が強かった。
酸化LDLは、LDLが活性酸素にさらされてできる。
ただ、測定法は確立していない。

1994~95年に男女約2300人を対象に生活習慣病などをたずね、血液を供してもらった。
対象者を調べると、07年12月までに60人が脳梗塞を起こしていた。

センターの沢村達也血管生理学部長が、人の体内での酸化LDLの働きの強さをみる新しい指標と分析法を開発。
この強さに応じて、参加者を四つのグループに分けて、脳梗塞との関係をみた。
すると、このコレステロールの働きが最も弱いグループでの発症者は6人だったが、最も強いグループでは17人いた。
統計解析すると、発症のリスクは3.2倍だった。
これまで、脳梗塞との関係が深いと考えられてきたのは、高血圧と喫煙だった(田村健二)。
出典 朝日新聞 2010.7.27
版権 朝日新聞社
<私的コメント>
「人の体内での酸化LDLの働きの強さをみる新しい指標と分析法を開発」がどんなものであるかが一番興味のあるところです。
文章を読む限りでは血液だけで調べることが出来るようです。
なお、この記事では「四つのグループ」に、高血圧や喫煙に差がなかったかどうかはわかりません。




##超悪玉コレステロール心筋梗塞
コレステロールの中で最近、注目を集めているのが悪玉中の悪玉である”超悪玉コレステロール”(スモールデンスLDL・小型で比重が重いLDL)です。
コレステロールはそんなに多くなくても、超悪玉コレステロールが多いと、心筋梗塞になる確率がはね上がり、30代、40代で突然死を招く原因になっているのです。

健康診断や人間ドックの検査結果で、動脈硬化の指標として最も気になるのが、コレステロール値です。
そして、心筋梗塞との関係で、一気に注目を集めているのが「超悪玉コレステロール」なのです。
心筋梗塞というと、総コレステロール値やLDLコレステロール値が高く、HDLコレステロール値が低いと考えるのが一般的ですが、必ずしもそうではないということなのです。

コレステロール値やLDLコレステロール値の2つの値がそれほど高くなくても、心筋梗塞で突然死することがあるのです。

心筋梗塞を起こしてあやうく助かった50代のある男性は、総コレステロールが180(基準値130~219)、LDLが110(基準値50~139)、HDLが440(基準値40~99)、中性脂肪値が160(基準値30~149)でした。
血圧も高くありませんでした。
動脈硬化を起こす危険因子として考えられるのは、ヘビースモーカーであることくらいだったのです。

しかし、精密検査を受けたところ、正常サイズのLDLが少なく、「超悪玉」が半分以上もあったのです。日本人では心筋梗塞を起こす人で総コレステロール値が高い人は、2割しかいないといわれています。

しかし、LDLコレステロールに着目すると、粒子径が小さく比重が重い超悪玉コレステロールを多く持つ“パターンB”と言われる人は、正常粒子径のLDLを多く持つ“パターンA”の人より心筋梗塞発生率が3倍高かったのです。

そして、心筋梗塞発症例の7割以上が、超悪玉コレステロールが約半分以上の“パターンB”だったと報告する論文もあるのです。

LDLコレステロールの粒子径は、健康診断のできる総合病院で、精密検査として、測定する事ができます。




<関連サイト>
”オリーブ油”で悪玉コレステロールを減らす
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2009/02/14




たけしの家庭の医学:新型の超悪玉コレステロールとは?
http://choi-mote3.seesaa.net/article/151845094.html


超悪玉コレステロール|たけしの家庭の医学 6月1日
http://ameblo.jp/metabolic-metabo/entry-10551668549.html




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2010.7.18撮影 東京駅・丸の内口 「改装中の東京駅」




<今日の一曲>
アマポーラ  ロス・インディオス・タバハラス
http://www.youtube.com/watch?v=d_nRCxbzuPU&feature=fvw



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