インフルエンザワクチンの新接種制度

(福島)新接種制度悩める市町村 費用に地域差/住民に不公平感

新型インフルエンザの再流行に備えようと、10月から全国でスタートするワクチンの新接種制度に、準備を始めた県内の市町村から困惑の声が上がっている。
制度の変更で、全国一律の接種費用は市町村が個別に決めることになり、自治体間で費用が大きく異なる事態も想定されるからだ。
8月中には地元医師会などと交渉して決める運びだが、担当者らは「スケジュール的にも厳しい」と不安を募らしており、円滑に進むかは微妙な情勢だ。

新型インフルエンザの「世界的大流行」は終結したと世界保健機関(WHO)が宣言した前日の8月9日、県は市町村の担当課長らを集め、新制度の説明会を開いた。
概要をはじめ、市町村が取り組む準備事項やスケジュールの流れを示した。

県などによると、新制度では市町村の役割を拡充する。
住民が負担する接種費用は、国が昨シーズンに3600円(1回)と一律に定めたが、今回は国が示した基準額をもとに、市町村が医療機関を束ねる各医師会などと協議した上で設定。
接種に協力する医療機関を選定して確保する責任も担うことになった。

県内の市町村をみると、接種費用は県内で統一された方が、医師会などと交渉する負担は軽減され、都合が良いとする意見が目立つ。

住民への影響を心配するのは本宮市の担当者。
南部の市民の生活圏に郡山市が入っている地域事情も踏まえ、「近隣の自治体と費用が大きく違ってしまうと戸惑いや不公平感を与えたりするのでは」と話す。

こうした意見に対し、県は国の判断を踏まえて「市町村が協議して費用を統一化するとなると、独占禁止法の観点から不当な取引などとみなされ、実現はかなり厳しい」と指摘する。

大都市などの動向をうかがう「様子見」の自治体も多い中、医師会との交渉を気にかけているのは福島市
費用積算の参考に昨シーズンの3600円の積算根拠を示してもらうよう県を通して国に要望している。
担当者は「かなりのエネルギーを必要とする医師会との協議では、根拠のある積算資料は役に立つ」と話す。

一方、県医師会の「新型インフルエンザ対策会議」の星北斗委員長(常任理事)は、昨シーズンのワクチンの接種や取り扱いを巡って方針が二転三転するなどし、結果的に余剰在庫を招いた行政の対応に「不信感を覚え、今も『爪跡』が残っている」とする。

ただ、医師会などの意見が接種費用に反映される仕組みは評価し、「こちらの立場もしっかりと主張し、互いに歩み寄っていければ」としている。(野村順)

出典 読売新聞 2010.8.23
版権 読売新聞社

<私的コメント>
要するに各市町村毎に公定料金を設定するということです。
はあまりにも「丸投げ」ですが、どうしていままで通りの自由な料金設定ではいけないかという説明を国側はしなければいけません。
国側は今まで医師会に対して言っていた公取法違反を勧めるという矛盾があります。
いつものことですが、金は出さないが口は出すという考え方です。

今度は市町村が公取法違反を犯す番です。

実は、今回の県別の一定料金設定は正直なところ当院にとってはうれしい話です。
というのも、従来から当院のワクチン料金はかなり安く設定しているため「有り難い話」なのです。


<番外編 その1>
#スーパー細菌、感染疑いの通報要請…厚労省
抗生物質がほとんど効かない新型耐性菌(スーパー細菌)の感染や死亡例が欧米などで報告されている問題で、厚生労働省都道府県などに対し、菌が検出された場合は通報するよう求める通知を出した。

新型耐性菌はNDM1という遺伝子を持ち、感染すると臓器に重い炎症を起こす恐れがある。
インドやパキスタンが発生源とみられ、これまでにベルギーで1人が死亡したが、国内での報告例はない。

通知では、感染疑い例があったとき、国立感染症研究所への通報を要請。医療機関には、他の患者に感染が広がらないよう対策をとるとともに、海外渡航歴などの聴取を求めた。

出典 読売新聞・朝刊 2010.8.20
版権 読売新聞社


<番外編 その2>
#新型耐性菌の拡大防止へ、WHOが初の勧告
ほとんどの抗生物質が効かない新型耐性菌(スーパー細菌)の感染や死亡例が欧米などで報告されている問題で、世界保健機関(WHO)は20日、感染拡大防止に向け、感染状況の監視に加え、抗生物質の適切な使用などの対策を講じるよう各国政府に初めて勧告した。

抗生物質の安易な使用が耐性菌の発生につながることから、WHOは、医療従事者や一般市民に対する使用法の教育、抗生物質の販売規制を要請。
また、よく知られた感染予防策でも感染を効果的に減らせると強調し、医療機関などで、手洗いなどを徹底するよう呼びかけた。




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