エコー検査で 「主膵管の拡張」

新聞に掲載された健康相談の記事からです。

Q エコー検査で 「主膵管の拡張」
腹部エコー検査で「主膵(すい)管の拡張の疑い」と言われ、「要経過観察」と指示されました。
自覚症状は何もありませんが、このまま経過観察でよいのでしょうか。(43歳男性)

A 膵臓に病変のサイン 専門医へ
膵臓には二つの大きな働きがあります。
一つはインスリンなどのホルモンを作ること、もう一つは膵液という消化液を作ることです。
膵液はすべて膵臓の中心にある主膵管と呼ばれる管に流れ込み、最後は十二指腸に行き着きます。

主膵管の太さは、正常の成人では直径1ミリ以下です。
一般的な超音波検査で、かろうじて見える程度の太さなので、超音波検査ではっきり見えたら、「主膵管の拡張」と判定されます。
拡張が進むと、腹痛などの症状が表れます。

拡張するのは、主に二つの原因が考えられます。

一つは、主膵管に膵液の流れをせき止めるような変化が起きる場合です。
主膵管に小さな腫瘍ができたり、狭い領域に膵炎が起こったりして生じます。
膵液がせき止められると、主膵管は太くなります。

もう一つは主膵管の中を流れる膵液がねっとりした流れにくい状態に変化し、主膵管の中の圧力が高くなって太くなる場合です。
これは、膵臓内の管の壁の細胞が粘液を作る細胞に変化した結果起こります。
変化した細胞は、腫瘍化することが多く、時間がたつとがんになることもあります。

「主膵管の拡張」は、膵臓に何らかの病変が生じていることを示す最初のサインです。
精密検査で小さな早期の膵臓がんが見つかることもあります。
専門医に相談し、造影剤を使ったCT(コンピューター断層撮影法)やMRI(磁気共鳴画像)などの検査を受けることをお勧めします。
土井隆一郎 大津赤十字病院副院長(肝胆膵外科)(大津市
出典 読売新聞 2010.11.24
版権 読売新聞社



糖尿病の関係遺伝子発見、治療薬に期待 京大教授ら
京都大学ウイルス研究所の増谷弘准教授、大学院生の吉原栄治さんらは、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が原因でなりやすい「2型糖尿病」の発病や悪化に関係する遺伝子を見つけ、英科学誌に発表した。血糖値を調節する「インスリン」の分泌を抑える仕組みにかかわっていた。
治療薬の開発につながると期待される。

糖尿病患者の大半は2型。
小児期に発症し、ウイルスや免疫異常で膵臓の細胞が破壊されインスリンをつくれなくなる「1型糖尿病」とは違い、生活習慣が主な原因だ。

グループは、遺伝子の異常で肥満になるマウスに注目。
このマウスは、インスリンの分泌が悪くなるだけでなく、インスリンが効きにくくなって2型糖尿病とそっくりな症状が出る。

この肥満マウスでTBP2という遺伝子の働きをなくしたところ、肥満になってもインスリンの分泌が減らず、インスリンが効きにくくなることもなく、血糖値も上がらなかった。
この遺伝子はインスリンの分泌にブレーキをかける分子の働きを調節していることがわかった。

これまでに知られていなかったインスリン分泌を制御する仕組みとみられ、増谷准教授は「TBP2の働きを抑える新しい糖尿病治療薬が開発できる可能性がある」と話している。(瀬川茂子)

出典 朝日新聞・朝刊 2010.11.27
版権 朝日新聞社



<2010.11.29 記事を追加しました>'
ワクチン・治療薬──インフル 今年の備え方
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