ノロウイルス患者急増

ノロウイルス患者急増、ペースは09年の倍

ノロウイルスなどが原因で嘔吐や下痢を引き起こす感染性胃腸炎の患者が急増していることが24日、国立感染症研究所の調査でわかった。
昨年の2倍以上の増加ペースで、過去10年で2番目の多さという。
患者は例年12月に最も多くなるため、同研究所は手洗いの徹底などを呼びかけている。

冬季の感染性胃腸炎は原因がノロウイルスとみられ、乳幼児に多い。
同研究所は全国約3千の小児科を定点調査しており、患者数は今月8~14日の1週間で1施設あたり7.7人と今シーズン最多となった。
4週連続の増加で、7割が7歳以下、6割が5歳以下だった。

都道府県別では大分県が1施設あたり30人と最も多く、これに山形、新潟、山口、長崎、福岡の各県が続いた。佐賀を除く46都道府県で前週より増えた。

ノロウイルスによる感染性胃腸炎は同ウイルスに汚染された二枚貝などを食べると起きることが知られている。
患者や無症状の感染者と接触したり患者の嘔吐物などを誤って吸引したりすることで感染することもあり、保育園や幼稚園などの集団発生の原因になっている。

健康な成人は感染しても無症状なことが多いが、免疫の低下した人や高齢者は注意が必要。
同研究所は感染拡大防止のため
(1)手洗いの徹底
(2)嘔吐物など患者の排せつ物の適切な処理
――などの対策を講じるよう呼びかけている。

出典 日経新聞 Web刊 2010.11.24
版権 日経新聞




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ノロウイルス流行防げ 大阪、奈良などで昨年の2~10倍に
ノロウイルスなどが原因で激しい下痢や嘔吐を起こす感染性胃腸炎が全国的に流行の兆しを見せている。西日本でも大阪市奈良県などで、11月末までの発症者数が前年同期の2~10倍に急増。
例年12月に本格的な流行を迎えるため、ホテルや飲食店、病院などでは消毒・洗浄の徹底をはじめ、感染拡大の食い止めに懸命だ。

全国約3千の小児科を対象にした国立感染症研究所の調査によると、ノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎の患者数は先月8~14日の1週間で1施設あたり7.7人と前年同時期の倍以上になった。

関西でも感染は急拡大。
大阪市では10~11月、市内の8保育所・幼稚園に通う0~5歳の児童と職員計231人にノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎の症状が確認された。
前年同期の倍以上という。
大阪府のまとめでは11月の府内(大阪、堺、高槻、東大阪の各市を除く)の発症者数は前年同月の約5倍の533人に急増した。

奈良県でも発症者数は約277人(11月末時点)と前年の約10倍。
県保健予防課の担当者は「大流行した2006年と同規模になるかは分からないが、例年以上のペースで感染が拡大している。感染者が急増する12月は一層注意が必要」と警戒を強める。

ノロウイルスの感染急拡大を受け、ホテルなどは対策を急ぐ。

ザ・リッツ・カールトン大阪大阪市北区)の調理場では30分おきに、サイレンの音とともに天井の青色回転灯が点灯。
従業員が作業を一旦中止し手指を消毒する合図だ。
今年は「危機感をより高めるため」(広報担当者)、毎朝のミーティングで全国の感染状況を報告し消毒徹底を呼び掛けている。

まいどおおきに食堂」などを全国展開するフジオフードシステム大阪市北区)は11月中旬、ノロウイルスの特徴や対策を列挙した全従業員向けの文書を各店長宛てに電子メールで送付した。

昨年1月に患者ら16人が集団感染し、1人が死亡した神石高原町立病院(広島県)では先月、約15分でウイルス感染の有無が分かる簡易検査装置による検査を開始。以前は隣接する福山市の施設で検査をしていたため感染確認に時間がかかった。同病院の衛生担当者は「発症の兆候を迅速にとらえ、感染拡大を少しでも抑えたい」と話している。

出典 日経新聞 Web刊 2010.12.2
版権 日経新聞

<私的コメント>
このようなホテルの取り組みは評価出来ます。
しかし、料理に生ガキを出していては意味がありません。
生ガキを食べると、かなりの確率でノロウイルス感染を起こします。
タバコのパッケージに書かれているように、メニューに「カキにあたっても自己責任」と書いた方がよいかも知れません。
高級ホテルのカキはあたらない、という思いは「勘違い」です。
「新鮮なカキほどあたりやすい」ともいえるからです。
新しいカキはノロウイルス、古いカキは細菌性食中毒で潜伏期間でもある程度は見当がつきます。


ノロウイルスか、2人死亡 新潟・上越介護施設
新潟県は13日、同県上越市西城町の介護老人保健施設で、入所者34人と職員10人の計44人が、嘔吐や下痢を発症し、うち入所者の男性(90)と女性(85)の2人が12日に死亡したと発表した。
ノロウイルス感染が原因とみられる。

県や上越保健所によると、9日に入所者の女性が嘔吐し、10日から入所者が次々と下痢などの症状を訴えた。
11日、患者2人の便からノロウイルスが検出された。
13日以降、重症者は出ていないという。

嘔吐物などから感染が広がった可能性が高いとみられる。
県が死亡した2人の死因を詳しく調べる。

同施設は11日、保健所に集団感染を報告。
保健所が施設を調査し、消毒などの指導を行った。

出典 日経新聞 Web刊 2010.12.14
版権 日経新聞

<私的コメント>
介護施設でのお年寄りの死亡はノロウイルスだけでなくインフルエンザでも例年報道されます。
介護施設医療機関ではありません。
したがって補掖などの初期治療がされていない可能性が考えられます。
そのあたりもマスコミは検証すべきです。


名古屋「Yちゃん」で21人食中毒 ノロウイルス
名古屋市は16日、居酒屋チェーン「世界のYちゃん 女子大店」(同市中区)で今月10、11日に飲食した21人が下痢や吐き気などを訴え、少なくとも2人からノロウイルスを検出したと発表した。

同市によると、21人は30~60歳代の男女で、手羽先やポテトサラダ、巻きずしなどを食べた。
店員の1人からもノロウイルスが検出されたことから、市は16日から同店を営業禁止処分とした。

出典 日経新聞 Web刊 2010.12.17
版権 日経新聞


乳児患者にノロウイルス 宮崎大病院、死亡
宮崎市は19日、宮崎大病院(同市)に心臓と肺の持病で入院していた県内に住む生後11カ月の女児がノロウイルスに感染し、18日死亡したと発表した。
同病院では今月、女児を含む3人からウイルスを検出したという。

市保健予防課によると、女児は6月に入院。
17日に下痢の症状が出て検査した結果、ノロウイルスが検出され、18日に死亡。
市は「ウイルスと死因との因果関係は不明だが、影響はゼロではないと思う」としている。

出典 日経新聞 Web刊 2010.12.20
版権 日経新聞

<私的コメント>
介護施設」で初期治療の遅れの可能性を指摘しました。
今回のケースは基礎疾患があるため治療が困難だったのかも知れません。
しかし、入院中の患児だったため初期治療がよほど遅れたということはないはずです。
「影響はゼロではないと思う」という微妙な市のコメントですが、このケースも検証結果(治療を含めた全経過)を公表すべきではないでしょうか。
それでなければ、マスコミ(口の悪い人はマスゴミと言います)はノロウイルスに対する恐怖感を煽るだけになってしまいます。


感染性胃腸炎から身を守る
イメージ 1

強い感染力をもつノロウイルス(愛知県衛生研究所提供)
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2010/10/26


<番外編>
喫煙者は食事に偏り 大阪府立センター調査
たばこを吸う人は食事内容に偏りが多いことが、大阪府立健康科学センターの中村正和部長らの調査で分かった。
禁煙すると食習慣は改善した。
メタボリック(内臓脂肪)症候群に当てはまる喫煙者は「禁煙のための治療を優先することが生活習慣や肥満の改善の近道になる」としている。

同センターで健康診断を受けた20歳以上の男女5629人に食事や運動習慣を聞き、傾向を分析した。
男性は「喫煙」「過去に吸っていた」「吸わない」が約3分の1ずつで女性はそれぞれ約1割、1割、8割だった。

喫煙者は「砂糖入り飲料を毎日とる」「味付けが濃い」「しょうゆ・ソースをかける」「果物や大豆・乳製品が少ない」「1日1合(日本酒換算)以上酒を飲む」といった食生活の傾向が非喫煙者の約1.5~3倍強かった。
味覚機能が低下し塩分の取り過ぎなどにつながりやすいという。

男性の喫煙者は運動が不足しがちで睡眠障害も多かった。
禁煙すると食事の偏りや運動不足、酒の飲み過ぎが年々減る傾向があった。
中村部長は「喫煙と食事や運動習慣の乱れは相互に結びついている。たばこを吸うことを優先すると体を動かす時間などが減り、減量が難しくなっている可能性もある」としている。

出典  日経新聞 Web刊 2010.12.18
版権  日経新聞

<私的コメント>
喫煙者は、「喫煙をする」という健康にとってネガティブなことをしているわけです。
したがってそれだけで「健康に気を配っている」と言えなくなっています。
逆に「健康に気を配っている」人は喫煙はしません。

よく「禁煙すると体重が増えてしまう」と言います。
今回のデータは、そういった意味で興味深い記事でした。





他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
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井蛙内科開業医/診療録(3)
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があります。