胃がん増殖助長する遺伝子発見

胃がん増殖助長する遺伝子発見、新治療薬期待

胃がんの増殖を助ける遺伝子を、横浜市立大や東京大などのグループが見つけた。
この遺伝子を働かなくしたマウスは胃がんができにくくなった。
胃がんの新しい治療薬の開発に役立つと期待される。

横浜市立大の前田愼教授らが66人の胃がん患者のがん組織を調べたところ、ASK1という遺伝子が活発に働いていた。
この遺伝子はもともと、侵入してきた細菌やウイルスに対抗するために炎症を起こしたり、傷ついた細胞をがん化する前に殺したりする働きがある。
しかし、胃がんでは細胞分裂を促して増殖を助けていることがわかった。

ASK1働かなくしたマウスに胃がんになる薬を飲ませたところ、正常なマウスに比べて、できた胃がんの数が3分の1ほどに減り、胃がんの大きさも半分以下に抑えられたという。
前田教授は「ASK1の働きを抑える薬ができれば、胃がんの新しい治療薬になりそうだ」と話す。
成果は米科学アカデミー紀要に掲載された。
(福島慎吾) 
出典 asahi.com 2011.1.6 (一部改変)                    
版権 朝日新聞

<私的コメント>
ASK1は他の癌でも助長因子として働くのでしょうか。
それとも胃がんだけの話なのでしょうか。
また胃がん予防薬として期待されるのか治療薬として期待されるのかも知りたいところです。





咽頭結膜熱に幼児ご注意 すでに流行期、入念な消毒肝心

熱が出てのどが赤く腫れ、結膜炎などの症状が出る「咽頭結膜熱」の患者が増え、流行期を迎えた。
患者は5歳以下の子どもが8割。
この時期としては1999年に現在の調査方法になって以来最多。
国立感染症研究所は「保育園や幼稚園で集団発生の恐れがある」と、注意を呼びかけている。

感染研によると、12月12~19日の1週間で、全国3千の小児科での受診患者は1機関あたり0.67人と、流行期入りの水準になった。
都道府県別では、富山(3.21)、石川(1.48)、山形(1.43)、大分(1.25)など。

今年(2010年)は夏に大きな流行がなかったため、免疫を持たない子が多く感染が大きく広がる可能性がある。
主にアデノウイルスの感染で起き、症状は発熱、のどの赤みや痛み、結膜炎や目の充血が中心。
感染後5~7日の潜伏期間があり症状が出るのは3~5日間といわれる。

プールで目から感染することもあり「プール熱」とも呼ばれるが、せきやくしゃみ、唾液からもうつる。感染者が触れたドアや手すり、エレベーターのボタンなどにウイルスが付着して広まることもある。
症状が消えても1カ月間、尿や便からウイルスが出るため、拡大予防が難しい。

感染研感染症情報センターの安井良則主任研究官は「塩素系消毒剤でドアノブなどをこまめに消毒し、子どもの集団生活の場では、タオルの個人使いを徹底してほしい」と話している。
                                        (熊井洋美)
出典 asahi.com 2010.12.30 (一部改変)                    
版権 朝日新聞社

<私的コメント>
ご存知のように、本来「咽頭結膜熱」は夏に流行するウイルス感染症です。
インフルエンザと同じように、大流行がなく免疫を持たなくなるとその後で大流行を起こします。
ウイルスの強(したた)かさが実感出来るニュースです。


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