認知症は予防できるか

この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。


認知症は予防できるか

人と交流 で趣味を持つのも効果的
認知症を防ぐ効果的な手法を探る研究が少しずつ進んでいる。
体をよく動かし、ボランティアなどの活動に積極的に取り組み、できるだけ買い物なども自分の力でやるよう心がけるのがよいという。
人間関係をどう築き、計画を作り実行に移していくかを考える習慣が、認知機能の衰えを防止するようだ。

板橋区のプログラムは東京都健康長寿医療センター研究所が作成。
ウオーキングの習慣が認知症の予防に効果があるかどうかを検証する事業の一環だ。
65~79歳までのアンケート調査などで公募した約140人が対象。認知症の前段階とされる軽度認知症障害(MCI)の人も含む。

昨年9月から実施、毎日7000~8000歩のウオーキングなどを3カ月続ける群と講話会だけの群で比べた。
3カ月後、認知機能がやや低下した人ではウオーキングをしたグループがしないグループに比べて認知機能が改善した。
まだ検証途中だが、同センター研究所の高橋龍太郎副所長は「ウオーキングを習慣づけると一定の予防効果が期待できそうだ」と話す。

話し合って計画作り
このプログラムのポイントは、数人でグループを作り自主的に活動する点。
連絡や記録の確認などは仲間同士で実施、定期的に開く合同ウオーキング会のコース決めもする。
「同じ目的をもつ仲間が集まり、目標や計画を立て、実行するという習慣も認知症の予防に役立つ可能性が高い」(同研究所の宇良千秋客員研究員)

世界でも例のないスピードで高齢化が進む日本。
アルツハイマー病など認知症の患者は2010年には208万人だが、25年には323万人に増えるともいわれている。
根本的に治療できる薬の開発はメドがたっておらず、予防に期待が集まる。

人との交流や趣味などが認知症を防ぐことにつながるとの研究結果が増え始めた。

星城大学の竹田徳則教授と日本福祉大学の近藤克則教授らは愛知県の65歳以上の男女約9700人を対象に、行動や生活環境などの違いで3年後に認知症になりやすいかどうかを調査した。

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趣味がない人はある人より男性で2.2倍、女性で1.5倍なりやすかった。
趣味のサークルや地域活動に参加していない人は、している人に比べて男性で2.1倍、女性で1.7倍なりやすかった。

男女差があるものも多い。
例えば趣味の種類。
男性は園芸や庭いじり、作物栽培をしない人はする人に比べて2倍近く認知症になりやすかった。
一方、女性で差がでたのは、散歩、ジョギングなどのスポーツ。やっていないと2倍近く認知症になりやすかった竹田教授は「園芸では計画性や実行力が鍛えられ、スポーツは有酸素運動が認知機能の低下を防ぐ」と話す。

編み物のような手先を使う作業は、今回の調査で予防効果はみられなかったという。


健康格差の拡大も
近藤教授らが神奈川歯科大学と実施した調査によると、歯を失うと認知症の発症リスクが高くなることがわかった。
65歳以上で自分の歯がほとんどなく入れ歯も使っていない人は、歯が20本以上残っている人に比べて認知症になるリスクが1.9倍になった。
差が出る背景を、近藤教授は「健康格差の拡大も無関係ではない」と指摘する。

例えば、所得でみると男性では年収が200万円未満の人は200万円以上に比べて1.5倍ほど認知症になりやすい。
受けた教育年数でも差が出る。10年未満の人は10年以上の人に比べて1.9倍ほどなりやすかった。
「男性は高学歴で経済的に裕福な人ほど認知症になりにくい傾向がみられる」(近藤教授)

教育年数や所得の差などは本人の責任と片付けてしまいがちだ。
趣味やボランティアなどの活動も住んでいる地域によって参加しやすさに差がある。
近藤教授は「認知症の発症予防を個人の努力だけに任せるのは無理。社会全体で取り組んでいくことが重要だ」と話す。

出典 日経新聞・朝刊 2011.2.27
版権 日経新聞



<番外編>
礼儀正しい被災者に感銘=東北に派遣の米救援隊員
東日本大震災で、米国救援隊の一員として東北地方に派遣された日系4世の消防士アツシ・ウエハラさん(42)が29日、ロサンゼルス市内で救援活動についての報告会に出席、災難のさなかでも礼儀正しい被災者の姿に感銘を受けたと語った。
 
ウエハラさんは地震翌日の3月12日、ロサンゼルス郡消防局の同僚73人と共に青森県の米軍三沢基地に到着後、1週間にわたって岩手県大船渡、釜石両市で活動。
被害の甚大さを目の当たりにし、両親ゆかりの広島に行った経験から「原爆投下後の広島を連想した」というほど驚いた。
 
そんな中で「倒壊したカラオケ店のそばにいた女性オーナーが、『何もありませんが』と言って煎餅を差し出してくれた」ことに最も強い印象を受けたという。
 
ウエハラさんは「ベストを尽くし6遺体を見つけたが、生存者は一人も発見できなかった」と肩を落とす。「将来また東北を訪れ、復興した姿を見たい」というのが願いだ。 
時事通信 3月30日(水)18時8分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110330-00000136-jij-int

東日本大震災義援金99億円に 米赤十字
米国赤十字社のマッケルビーンハンター理事長は29日、在米日本大使館藤崎一郎大使と会談し、東日本大震災に対して寄せられた義援金が1億2000万ドル(約99億円)に達したと報告した。

すでに送金された義援金の一部は国連世界食糧計画WFP)の支援物資提供や米国市民の帰国支援にも回ったが、大半は日本赤十字を通じ、被災地支援に充てられる。

当面は救援物資提供や医療支援が中心となり、その後、復興支援に移行する予定。
制度上、実際に日本側に渡るのは運営経費などを差し引いた義援金全体の91%になるという。

理事長は記者団に「米国民は、同時多発テロ(01年)、ハリケーンカトリーナ(05年)で苦しんでいた時、日本人から寄せられた善意を忘れてはいない。今度は私たちが支援する番です」と語った。
毎日新聞 3月30日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110330-00000017-mai-int

東日本大震災イスラエル医療チームが診察 宮城・南三陸
宮城県南三陸町の避難所に29日、イスラエル政府の医療チームが診療所を設置し、診察を始めた。
東日本大震災で、日本が海外政府の医療チームを受け入れるのは初めて。

同町では全医療機関津波の被害を受け、大半の医療機器が使用できなくなった。
厚生労働省は、大災害時には外国人医師による医療行為も許容されるという見解を示し、被災県に連絡している。

イスラエル軍の医師や看護師ら計約60人は、町スポーツ交流村の避難所前にプレハブの仮設診療所6棟を設置。日本人医師の指導を受けながら、エックス線検査や血液検査、分娩など、幅広い診療を行う。
他の避難所への訪問診療も行う予定。

最初にエックス線検査を受けた佐藤仁町長は「町内では9000人以上が避難所生活を送っている。大きな助けになる」とあいさつ。オフィル・コヘン医療チーム隊長は「被害は想像以上。幅広い診療を行い、少しでも力になりたい」と語った。
毎日新聞 2011年3月29日 
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110330k0000m040080000c.html?inb=yt

東日本大震災:世界のアーティストが応援
ジョン・レノン(故人)やロックバンドU2など有名ミュージシャンの曲38タイトルを集めたチャリティーアルバム「ソングス・フォー・ジャパン」が25日、発売された。
世界の大手音楽会社が協力、アーティストたちも印税を放棄し、収益はすべて日本赤十字社に寄付される。

マドンナ、エルトン・ジョンらベテランから、レディー・ガガビヨンセ、リアーナ、ジャスティン・ビーバーら人気アイドルまで幅広いアーティストが参加。

米国のトップグループの一つ「ブラック・アイド・ピーズ」は、「私たちの曲の一つをアルバムに寄付しました。日本を応援しよう!」とインターネット上で呼びかけた。

アルバムはインターネットの音楽購入サイト「iTunes」でダウンロード販売
4月上旬には、2枚組みのCDも発売される。
毎日新聞 2011年3月26日
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110326k0000e040045000c.html?inb=yt



他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
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(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
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井蛙内科開業医/診療録(2)
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井蛙内科開業医/診療録 
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(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
「井蛙」内科メモ帖 
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葦の髄から循環器の世界をのぞく
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(循環器専門医向けのブログです)
「葦の髄」メモ帖
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(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版です)
があります。