音楽が高齢者の脳の健康を維持

音楽のレッスンが、高齢者の脳の健康の維持に有用であることが、新しい研究で示された。

カンザス大学メディカルセンター(カンザスシティ)の研究グループは、60~83歳の健康な高齢者70人を音楽の経験に基づき分類し、音楽経験のない群、1~9年レッスンを受けた群、10年以上習っていた群の3群に分けた。
楽経験のある人は半数以上がピアノを習った経験があり、約4分の1がフルートやクラリネットなどの木管楽器、その他は弦楽器、打楽器または金管楽器などの演奏経験者であった。

被験者(いずれも健康状態および学歴に差がなく、アルツハイマー病はなかった)にいくつかの認知力検査を実施した結果、最も音楽経験の豊富な群は、知力検査の成績が最も優れており、次いで音楽経験の比較的少ない群、全く経験のない群の順であった。
楽経験のない人に比べ、経験の多い人は視空間記憶(visuospatial memory)、物品呼称、新しい情報に対する脳の適応力(認知的柔軟性)などの認知力検査の成績が大幅に高かった。
このベネフィット(有益性)は、今は楽器の演奏を行っていない人にも認められたという。
この研究は医学誌「Neuropsychology(精神心理学)」オンライン版に4月5日掲載(印刷版は2011年5月号掲載)された。

研究を率いたBrenda Hanna-Pladdy氏は「生涯を通しての音楽活動はやりがいのある認知運動となり、脳を活発にし、加齢による問題に対応する能力を向上させる」と述べている。
現在は米エモリー大学(アトランタ)医学部助教授である同氏は、「楽器を習うには何年もの練習と学習が必要であるため、脳に新たな経路が作られ、加齢による認知力の低下を代償できると思われる」と述べている。

原文
Music Training May Help Keep Aging Brain Healthy
Older people with the most musical experience scored highest on cognitive tests, study shows
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=652159

出典 Health Day News 2011.4.25
版権 Health Day


<番外編>
毎日新聞の社説「生肉食中毒 まず原因の徹底究明を」から抜粋
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110507k0000m070150000c.html?inb=yt

現行の衛生基準は、生食牛レバーによる集団食中毒の発生を受け、98年に策定された。
だが、罰則がないため、有名無実化している。

厚労省によると、少なくとも07年度以降、国内で生食用として出荷された牛肉はないという。
にもかかわらず、ほとんどの焼き肉店はユッケや刺し身などの生肉をメニューとして提供している。
なぜ、こうした実態が放置されていたのか。
厚労省の食中毒統計によると、病原性大腸菌が原因の食中毒は05年度から昨年度まで計134件発生し、患者数は1578人に上る。
こうした状況を見ても、レバーや牛肉などを生で食べることの危険性を消費者に周知徹底する啓発活動は十分だったのか疑問がぬぐえない。

今回死者が出たことで厚労省は重い腰を上げた格好だ。
新たな規制強化策として、一歩踏み込んで、飲食店に対して生食用か加熱用かの商品表示を義務付けるべきだろう。
<私的コメント>
文中の「病原性大腸菌が原因の食中毒は05年度から昨年度まで計134件発生」というのはまったくのウソです。
当院でも年に数件は見つかります。
統計がいかにいい加減かがわかります。
この原因の一部に保健所があります。
食中毒が発生した場合には、医療機関は保健所に届け出ることになっています。
しかし、保健所は土日や祝日や時間外はまったく対応してくれません。
当院のある保健所の電話番号は時間内と時間外が同じ電話番号がかかれています。
まったく危機管理がされていません。
役所の婚姻届けが24時間なのも不思議です。
食中毒こそ24時間迅速な対応をするべきではないでしょうか。
届けた後の手続きも複雑で、患者さんにも迷惑をかけてしまいます。
もちろん、医療機関の診療もその間止まってしまいます。
食中毒は現場の食品(サンプル)をまず抑えることが一番大切です。
金曜日の時間外に発生した場合には、届け出は月曜日の朝まで待たなければなりません。
こんなことから当院では余程のことがない限り、年に数回は発生する病原性大腸菌感染例も届けないのが実態です。
蛇足ですが、結構な数の食中毒は医療機関で「胃腸かぜ」として見過ごされています。




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