遠隔操作可能な大腸検査用カプセル型カメラ

大阪医大グループが遠隔操作可能な大腸検査用カプセル型カメラを開発

大腸内視鏡検査に代わり、遠隔操作(リモートコントロール)が可能なカプセル型カメラを用いて大腸内をスキャンする新しい技術の実現性が新しい研究で示された。
日本の研究グループが開発した、肛門から挿入する「自己推進式カプセル内視鏡」を用いた臨床試験によるものである。

米国がん協会(ACS)のDurado Brooks博士によると、現在、小腸の検査には同様のカプセル型カメラが使用されているという。
患者が飲み込んだカプセルが食物と同じように消化器システムを移動しながら腸管内の画像を記録するというものだが、大腸には襞(ひだ)や隙間が多数あるため、カプセル型カメラでは十分な機能が得られなかった。
また、大腸は小腸に比べ直径が大きく、360度全体の視界を得るのがさらに難しいほか、現在使用されるカプセル型カメラは消化管を移動するのに時間がかかるため、腸内洗浄によって大腸内を空にしても、カプセルが到達するまでに排泄物が作られ視界が不明瞭になってしまうことがある。

今回の新しい研究では、まず肛門内に水を注入し、次にカプセル型カメラを挿入。
バイスをリモコンで操作し、リアルタイム・モニタリングシステムを用いて画像を取得した。
カプセルは大腸内を円滑に移動し、容易かつ安全に肛門から取り出すことができたという。
「今回の試験で、覚醒状態のヒトの腸内でカプセルを操作し、誘導することが実行可能であることが示された」と、研究著者である大阪医科大学高槻市)第二内科の倉本貴典氏は述べている。
この知見は、シカゴで開催された米国消化器病週間(DDW2011)で発表された。

Brooks氏はこの知見を「原理の証明(proof of principle)」であると述べ、次のステップは、このカプセルが大腸の状態を正確に評価できるものかどうかを判定することだとする一方、カプセル型カメラは大腸内視鏡に代わるものとはならないと指摘している。
内視鏡でポリープなどの異常が検出された場合には、医師がその場ですぐにポリープを切除することが多いが、カプセルではそれができないため、後に内視鏡による治療や生検を行う必要があるためだという。

米国消化器学会(AGA)のJoel Brill博士は、大腸がんスクリーニングの忍容性を向上させる可能性があるどのようなデバイスの開発も好ましい動きであるとし、「研究グループが指摘しているとおり、次のステップは、この方法の商品化が実際に可能なのか、また研究の場以外でも実施可能なのかを検討することである」と述べている。

出典 Health Day News 2011.5.10
版権 Health Day (ヘルスデージャパン)


<私的コメント>
水中カメラ?
小腸検査用カプセル型カメラは口から飲んで肛門から排出ということでディスポーザルです。
大腸検査用は肛門から挿入ということでリサイクル出来るのでしょうか。
検査の精度がよければいいのですが、ルーチンの検査での見逃しがあるようなら普及も難しいのではないでしょうか。



<自遊時間>
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