腰痛スパイラルから抜け出そう・その1(1/4)

一言で腰痛といっても原因は様々です。
しかし腰痛のタイプを知ることは、それぞれの解消法を知ることにつながり、そして原因を知り納得することが腰痛解消につながることもあるのです。

自分の腰痛タイプを知り、自分の症状に合った解消法を行いましょう。
自分の腰痛の症状をよく理解すること、日常生活や体の変調をきちんと把握することが、腰痛の治療と悪化させないための二次予防につながります。

あなたの腰痛のタイプをチェック!
あなたにあった解消法がわかります!
                 (福島県医大 整形外科 大谷晃司准教授)

各タイプ別解消法を見る前に・・・
腰痛治療の基本となる、痛みを改善するための対症療法として「保存療法」があります。

保存療法とは?
保存療法とは腰痛治療の基本となる痛みを改善するために対症療法のこと。
以下のような方法で痛みに対して対処していきます。
対症療法をしても、変形などが元通りに治るわけではありませんが、手術をするよりも対症療法で痛みをとって、日常生活に支障をきたさないようにすることでほとんど問題はなくなります。
■消炎鎮痛剤や貼り薬などの「薬物療法
■特殊な機械で腰椎を引っ張る「牽引療法」
■コルセットなどの「装具療法」
■腹筋や背筋を維持するために体操や運動を行う「体操療法」
■痛みが起こっているところに局所麻酔薬を注射し、痛みの伝達を遮断する痛みの伝達を遮断する痛みの伝達を遮断する「神経ブロック」
■温熱療法や電気刺激を患部に与える「理学療法

大谷先生が腰痛で悩んでいる皆さんに伝えたいこと
腰痛スパイラルからは必ず抜け出す!
腰痛を治すことをあきらめないでください

一生のうち70%以上の人が腰痛を患うと言われています。
それにもかかわらず、原因の分かる腰痛はたったの15%、残りの85%以上は腰を調べても痛みの原因がわからない腰痛だといわれているのです。

しかし近年その「原因がわからない腰痛」の研究が世界中で進み、その原因の一つがわかってきました。
実は、心の問題が腰痛に深く関わっていることが分かってきたのです。
その他にも腰痛に関する新しい事実は続々とわかってきています。

※ヨーロッパの診療ガイドラインには、『原因が特定できるものは約15%。
特定できないものは約85%に及ぶ』と記されている。Deyo RA.et al.JAMA.1992)

腰椎椎間板ヘルニアとは?

腰椎椎間板ヘルニアは働き盛りの10代~60代に多く見られるもので腰痛の原因となる腰椎の代表的な病気の一つです。
多くはお尻から足にかけてに痛みを伴います。

椎骨と椎骨の間にあるのが「椎間板」で、椎間板の外側には繊維輪というしっかりした組織に囲まれ、内側に髄核というゼリー状の組織が入っています。
老化や腰をひねったりなどの日常のちょっとした動作、スポーツなどにより強い負荷がかかることによって、外側の繊維輪が切れ、髄核が脊柱管内に内に飛び出してきて神経を圧迫するのです。
するとその周辺に炎症が起こり強い痛みが発生します。

症状の特徴 ~下肢の強い痛みと前屈で出るしびれ~
椎間板ヘルニアの症状は、ヘルニアの脱出の程度、脱出の部位、圧迫された神経の状態、 年齢などによっても様々です。
しかしほとんどの椎間板ヘルニアの代表的な症状は、激しい腰、下肢痛の痛みです。

下肢の痛みは時に下肢に響くような痛みやしびれになります。
そして前かがみになったりイスに座った時に痛みが増します。
前かがみになると、椎間板の内圧が高くなったり、ヘルニアが後方の神経をより圧迫するためです。
ひどくなると、下肢の筋力低下やまれに排尿・排便障害が現れることもあります。

解消法
ヘルニアによる下肢の痛みやしびれはほとんどが保存療法で回復します!
痛みに応じて対処をしていきましょう。
痛みが激しい時期は、椎間板に負担をかけないように、楽な姿勢で安静を心がけます。
消炎鎮痛剤や、筋弛緩剤、また痛む箇所への神経ブロックも有効です。
治まってきたら、日常生活に早く戻れるように努力をしてください。
過度な安静は禁物です。

家庭でできる解消法 ~良い姿勢で背骨をサポート~
腹筋や背筋は背骨を支えるという重要な役割を果たしています。
その筋肉が弱ってくると、当然ですが、背骨も不安定になるためヘルニアによる腰痛も 起こりやすくなります。
痛みが治まってきたら、痛みのない程度に動きましょう。
動かないでいると治りが遅くなってしまいます。
また前屈や中腰、イスに座ったまま前かがみになる姿勢にも気をつけましょう。
掃除機をかけるような動作は、椎間板内の圧力を高めるので注意が必要です。

ヘルニアは放っておくと消滅する!?
以前は、椎間板ヘルニアで飛び出した髄核が飛び出したら、手術で摘出しないと治らないと考えられていました。
しかし、飛び出した髄核が自然に吸収される例が多いことが明らかになってきました。
この「吸収されて消滅する」というメカニズムは、ヘルニアの強い痛みにカギがあります。
炎症反応があり痛みが強いということは、白血球中のマクロファージが活発だということです。
マクロファージは異物を食べる働きを持つことから、飛び出した髄核を異物とみなして、食べて吸収してしまうと考えられています。
また、自然に消滅せずとも、飛び出した髄核による炎症が軽減してきて、画像上の椎間板の出っ張りが残存していても痛みがとれるという場合も数多くあります。

このことから現在では、強い麻痺や疼痛が生じている場合を除き、最低3ヶ月間は経過を観察するのが主流となっています。

手術を考えるとき ~生活上に困るようなら手術~
治療の基本は保存療法ですが、以下の場合は手術も考えます。
ヘルニアの手術を考える時
■ 足に強い痛みやしびれがでている時
■ 膀胱直腸障害(排尿や排便の障害)がある時
■ 下肢の筋力低下が著しい場合
■ 保存療法を行って3ヶ月以上症状が改善しない時
■ 早期に疼痛を軽減し、社会復帰を希望する時

手術は飛び出した髄核を摘出し神経への圧迫を取り除きます。
近年では、内視鏡手術や顕微鏡下手術など、切開部分がより小さくてすむ方法もあるので、状況に応じて安全で適切な方法を担当医と話し合って決めましょう。

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心因性腰痛

3ヶ月以上治らないその腰痛、もしかして「心因性腰痛」かも!?
3ヶ月間治療を続けたのに、痛みがなかなか引かない治りにくい腰痛の背後には、最近「心の問題」がかかわっているケースが多いことが分かってきています。

心因性腰痛とは?
心因性腰痛とは、心の問題によって腰痛の痛みがひどくなっている状態です。

心が腰痛に関係あるの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、近年原因不明の腰痛、治りにくい腰痛の背後に、心の問題が関わっているケースが多いことが分かってきました。

検査を行っても腰痛を引き起こすような骨の異常や病気が見当たらない、また画像検査で骨の異常が見つかっても、必ずしも訴えている腰痛の症状と一致しないこともよくあります。
このように原因が不明のまま、3ヶ月以上も続く慢性的な腰痛を訴えるケースが数多くなるのです。
そんな原因不明とされてきた慢性腰痛の中に「心因性腰痛」がかなりふくまれているのです。

慢性腰痛を訴える患者さんの約80%に抑うつ状態が見られるともいわれ、ストレスや心の問題が腰痛に大きく影響していることが分かっています。
人は、絶望感・恐怖・怒り・不安・無力感・抑うつ感などを感じている時、痛みをより感じやすい状態になっています。
また、このような感情的なものではなく、体が非常に疲れている・眠れない・不快・孤独・運動不足など肉体的な理由のある場合も、通常より痛みを感じやすい状態といえます。

腰痛の原因となるストレスも個人個人によって本当に様々です。
人間関係のストレス、仕事の忙しさ、私生活における孤独感、親の離婚や再婚など家庭内の不和、引越しなどの精神的ストレスが腰痛という形で現れるのです。



解消法
腰痛改善への道は、痛みの原因となっているストレスにうまく対処すること!
このような心因性腰痛の場合もまずは痛みをとる消炎鎮痛剤などの薬物療法を行います。
そして整形外科からの薬物療法と並行して、心理療法やカウンセリングなど、心療内科や精神科での治療を行ったほうが良い場合もあります。
腰痛の原因となっているストレスや心の問題をカウンセリングによって丁寧に取り除き、合わせて精神科方向からの薬物療法抗不安薬抗うつ薬、抗てんかん薬などの薬を上手に組み合わせると治療の効果が出てきます。

例えば、抗うつ薬は、うつ病に効く薬と思われがちですが、痛みにも効く薬でもあります。
多くの論文でもその効果は取り上げられており、痛みをコントロールするだけでなく、不眠や食欲不振、やる気が出ないなどうつ症状にも効果的に作用するので、痛みを含めた全体の症状が改善されることにもつながります。

最近では整形外科でも積極的にこういった精神科で扱う薬でうまく痛みをコントロールすることで治療の効果をあげています。


福島県立医科大学病院のリエゾン治療
リエゾン」とはフランス語で「連携」という意味。
福島県立医科大学では整形外科と精神科が連携し、体と心、2つの面から患者にアプローチし腰痛を治療しようという日本初の画期的な腰痛治療を行っており心因性腰痛の治療に大きな成果をあげています。
●整形外科サイドからは・・・
薬や注射などで痛みを和らげる治療を行うと共に、腰痛で長期間動けず、筋力が低下した人に、リハビリ療法で筋力の回復を図る。
●精神科サイドからは・・・ 
心理的なストレスを軽減するために薬物治療に加えて、「認知行動療法」という心理療法が行われる。

認知行動療法とは
何か困ったことにぶつかったとき、本来持っていた心の力を取り戻し、さらに強くすることで困難を乗り越えていけるような心の力を育てる方法として、いまもっとも注目を集めている精神療法です。
「現実の受け取り方」や「ものの見方」に働きかけて、心のストレスを軽くしていきます。
何かの出来事があった時に瞬間的にうかぶ考えやイメージがあり、それがいわゆるその人の「受け止め方のクセ」です「受け止め方のクセ」によって、いろいろ気持ちが動き行動することになります。
ストレスに対して強い心を育てるためには「受け止め方のクセ」に気付いて、ストレスへの対処法(行動)を変えることで心理的ストレスを軽くします。





<自遊時間>
菅直人首相は15日午前の閣僚懇談会で自らが表明した「脱原発依存」について、「私個人の考えだ」と説明した。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/kan_cabinet/

精神鑑定は必要ないでしょうか。
松本龍前復興相でさえ「気分障害で軽度のそう状態」と入院先の病院で診断されています。