朝食に果物を食べよう

「朝の果物は金」ということわざがある。
一日の生活を始めるにあたって必要な栄養素が摂取できるというのがその理由だ。
不足しがちな栄養素を補えるほか、加熱調理する必要がないので、忙しい現代人の朝の時間帯でも比較的食べやすい。
朝食に果物を食べる様々なメリットについて検証してみた。


朝食を英語で「ブレックファスト(=断食を破るの意)」というように、私たちは朝食によって、睡眠中は口にしていなかった食べ物を、数時間ぶりに口にすることになる。
女子栄養大学の香川靖雄副学長は「朝は消化管の活動が鈍いので、吸収されやすい果物は朝食に適している」と言う。
果物に含まれるのは主に水分と炭水化物。
寝ている間に汗などで失った水分を補うことができ、エネルギー源となる炭水化物も摂取できるからだ。

忙しい朝に便利
日本人に不足しがちな栄養素である食物繊維やカリウムが豊富に含まれているのも果物の特徴だ。
カリウムはナトリウムを排出し、血圧を下げる効果があるとされる。
一日のうちで、血圧が最も上がりやすい時間帯は朝なので、「高血圧の人は朝食に果物を食べるといい」(香川副学長)。
<私的コメント>
カリウム含有の多い果物をとればすぐに血圧が下がる、というデータが実際にあるのでしょうか。


食物繊維は便通の改善にも役立つ。

果物は調理がいらないので、忙しい朝の食事に便利だ。
20歳代の男性では3割以上が朝食を食べないといわれ、朝ご飯を食べない人が増えていることが問題になっている。
「時間がない」「食欲がない」というのが主な理由だが、例えばバナナのように手で皮をむいて食べられる果物ならば、手間がかからない。
最近は、コンビニエンスストアなどでもカットフルーツを売っているので、利用したらいいだろう。

朝食を取らずに出勤すると、脳のエネルギーとなるブドウ糖が不足し、集中力が低下する恐れもある。
不足した栄養を挽回しようと、昼、夜に食べる量が増えるので、肥満になりやすいという調査結果もある。
理想的なのは、ごはんにみそ汁、焼き魚、あるいは、パンに卵とサラダといった栄養バランスのとれた朝食だが、余裕がなければ果物を口にするだけでも、ずいぶん違う。

食物に含まれる酵素に着目して、患者への食事指導をしている鶴見クリニック(東京都中央区)の鶴見隆史院長は、「起きたばかりで活動が鈍っている胃腸に負担をかけないため、朝食には果物を食べた方がいい」と助言する。
食べ物を消化する際、体内ではアミラーゼなどの消化酵素が使われるが、生の果物に含まれる酵素がその働きを助けるという。

「朝は食事をする時間というよりも、前の日に摂取した食品のかすを排せつする時間と考えたい」(日本リビングフード協会のいとうゆき代表)という意見もある。
朝に重い食事をすると、エネルギーが消化に使われ、排せつがスムーズにいかなくなる場合があるという。
消化しやすい生の果物は「消化器官に負担を与えないので、朝食にお薦め」(いとう代表)という。
<私的コメント>
同様な考えで、中国や台湾では朝食は(二日酔いでもないのに)胃腸に負担をかけないように朝粥という風習があるようです。
私はある程度のボリュームのある食事が排便を促し、カロリーも日中の活動で消費されるものと思っていました。
朝食を食べない、ないしは軽食で済ます人が午前中に交通事故に遭うと救命率が低い、という記事を以前に読んだことがあります。
「朝の果物は金」というよりは「朝食は金」というのが私の意見です。

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栄養学の観点からは1日200グラムの果物を食べることが推奨されているが、現代人が実際に摂取しているのは半分の110グラムほど。
200グラムの目安は、桃やナシ、リンゴなら1個、ブドウは1房、ミカンは2個程度。どんな果物を食べるかは好みで選べばいいが、「旬の時期に採れた果物は、各種の栄養素が豊富に含まれている」(茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科の山田康輔助教)。


夜食は肥満注意
「朝の果物は金」ということわざは、「昼は銀、夜は銅」と続くが、「これについて科学的に検証した文献はない」(山田助教)。
必要な栄養素を取るという意味では、昼、夜に食べても効果は同じだという。
<私的コメント>
「科学的に検証した文献はない」といいながらも「昼、夜に食べても効果は同じだ」といわれても。

ただし、朝や昼に比べ、夜、特に深夜にものを食べると、脂肪として蓄積されやすくなる。
肥満防止の観点からは、朝のほうが適していると言えそうだ。

朝の果物には利点が多いが、特定の病気の人などには注意が必要なケースもある。
腎疾患のある人は、血液中のカリウム値が高くなりすぎると体に負担がかかる恐れがあるので危険だ。
糖尿病の人も、血糖値が上がりすぎないよう、食べ方について、かかりつけ医の指示を受けたほうがいいだろう。


◇            ◇

たんぱく質も摂取を
何をどのくらい食べるか、だけでなく、食べる時間による影響を研究する「時間栄養学」によると、「朝食には炭水化物とたんぱく質を摂取するのがいい」(香川副学長)のだという。

人の体内時計は1日約25時間の周期で働くが、朝の光や朝食を食べることで時間をリセットしている。
その際、炭水化物のみの朝食やたんぱく質のみの朝食では、調整が不十分になり、炭水化物とたんぱく質をバランス良く摂取した場合には、必要な調整が行われるという。

朝食に果物を食べれば、炭水化物を取ることはできるが、たんぱく質は不足する。
「果物だけでなく、卵やヨーグルト、チーズなど、良質なたんぱく質を合わせて食べたほうがいい」(香川副学長)。
三大栄養素をバランス良く取るという観点からも、果物で不足する、たんぱく質や脂質との組み合わせは相性がいい。
<私的コメント>
前半の話は「朝食としての果物のすすめ」でしたが、後半は「栄養バランスの良い朝食を」という無難なまとめ方になっています。

出典 出典 日経新聞・朝刊 (日経プラスワン) 2011.9.3
版権 日経新聞

<関連サイト>
果物を食べよう
http://blogs.yahoo.co.jp/miracle3634/6287595.html
以下引用。
・りんご  (皮ごと食べるのがおすすめ)
おなじみのりんごは、ビタミンやカリウムなどがバランスよく含まれる食べ物。
昔から疲労回復のために食べられてきました。
皮には便秘予防などによいとされる水溶性食物繊維のペクチンや、抗酸化作用(細胞の老化を防ぐ働き)を持つポリフェノールが豊富です。
200g・・・1個
 
・柿   (干せばさらに栄養豊富に)
秋の代表的な果物、柿はビタミンCも多く、大きめのものなら1個で1日の必要量をほぼまかなうことができます。
また、粘膜を丈夫にして体の抵抗力を高めるとされるβカロテンや食物繊維もより多く摂れます。
200g・・・2個  (大きめのものは1個)
 
・バナナ   (朝やスポーツ前のエネルギー補給に)
人類最古の栽培作用とされるバナナ。
脳をはじめ全身のエネルギー源となる糖質が多く、消化・吸収がよいため、エネルギー補給に適しています。
たんぱく質代謝神経伝達物質の合成にかかわり、肌荒れや不眠によいとされるビタミンB6も多く含まれています。
200g・・・2本
 
・梨   (のどの痛みやせきのときにも活躍)
疲労回復をサポートするアスパラギン酸や、肉類の消化を助ける消化酵素を含んでいます。
さらに解熱作用、せきを鎮める作用もあるとされ、風邪や扁桃腺炎でのどが痛むときや、せきが止まらないときは、しぼり汁でうがいをするとよいとされています。
200g・・・1個
 
・レモン   (ビタミンCだけじゃない栄養成分)
レモンといえばビタミンCというイメージですが、血管を丈夫にして動脈硬化を予防するといわれるビタミンP、ナトリウムの排泄を助けるカリウムも含まれています。
酸っぱい成分はクエン酸で、エネルギー代謝を助け、疲労回復に効果を発揮するといわれています。
*レモンは一度にたくさん食べないため、200gのめやすを省略します。
 
キウイフルーツ   (手軽に食べられ、ビタミンたっぷり)
ビタミンCやβカロテンが多く含まれているほか、便秘を予防しブドウ糖コレステロールの吸収を抑える作用があるとされる水溶性食物繊維のペクチンが豊富。
酸味成分の中にはクエン酸やりんご酸が含まれており、疲労回復にもよいといわれています。
200g・・・2個
 
・オレンジ   (消費量は世界一、みんなのビタミン補給源)
ビタミンCのほか、βカロテンやビタミンEを含んでおり、風邪予防やしみ予防などの効果が期待できます。
皮やスジには血管壁を強くする作用があるとされるビタミンPの一種、ヘスぺリジンという成分も含まれており、毛細血管の破損や眼底出血の予防が期待されます。
200g・・・2個
 
・ぶどう   (病気予防のための栄養も豊富)
脳のエネルギー源となる糖分のほか、血圧上昇の原因となる余分なナトリウムの排出を促すカリウムが豊富。
赤いぶどうは、皮にアントシアニン、レスベラトールといったポリフェノールが含まれており、体内の活性酸素を除去し、病気や老化を予防する働きが期待されています。
200g・・・1房 
(マスカット、巨峰など大粒のぶどうは1/2房、デラウエアなどの小粒のぶどうは2房)

(続)
高齢者の貧血に注意
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2011/09/08