腰痛 あきらめない(2)

体内で脊髄に電気刺激

7年前から腰痛や足のしびれに苦しんできた新潟市のHさん(49)は、現在、脊髄刺激療法という治療を受けている。

おなかに埋め込んだ電気刺激装置から、痛みがある部位と関連する脊髄神経にリード線を延ばし、電気で刺激する。
痛みの神経信号が伝わるのを遮ることで、痛みを抑える仕組みだ。


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腹部に埋め込んだ電気刺激装置は、体外からリモコン(手に持っている装置)で操作できる



左足や腰に歩けないほどの痛みが出たのは2004年10月。
以来、入退院を繰り返したが、原因ははっきりしない。
鎮痛薬や、神経の働きを麻酔で抑えるブロック注射も、ほとんど効果がなかった。

背骨の椎骨の間の椎間板がはみ出して神経を圧迫する腰椎椎間板ヘルニアとの診断で、手術もした。
痛みは一時消えたが、3か月でぶり返した。

別の病院では「すべて思い込み。痛くても痛くないと思えばいい」と言われたこともある。
薬をすべて中止してみたが、症状は悪化した。

08年、脊髄刺激療法を知り、NTT東日本関東病院(東京・五反田)ペインクリニック科を受診、同年末に刺激装置を埋め込んだ。

左足のひざ下、太ももの付け根、腰の3か所の痛みを遮断できるように設定。
刺激の強さなどは、おなかの外から、リモコンで変えることができる。星野さんは基本的に24時間スイッチを入れておき、痛みが強い時は刺激を強めるようにしている。

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「痛い部分を体の中からパンパンとたたいてくれる感じ。すごく気持ちいい。痛みが強い時は1時間ほど強く刺激すると、フッと痛みが消える」という。勤めていた変圧器の製造工場は退職し、今は実家の商売を手伝っている。

10年9月には、ヘルニア手術をした部分の神経に炎症が見つかり、その部分を注射器で注入した生理食塩水で洗う神経ブロックの一種「硬膜外洗浄」で症状が改善することが分かった。
脊髄刺激療法と並行して、痛みが強くなった時には、この治療も受けている。

同科医長の豊川秀樹先生は「薬や神経ブロック、さらには手術でも腰痛が治らない人もいる。
そんな時、脊髄刺激療法は痛みを全部とるわけではないが、支障なく生活できるようにするための非常に効果的な手段です」と話している。

脊髄刺激療法は保険がきく。
大学病院などを中心に行われている。

出典 YOMIURI ONLINE yomi.Dr. 2011.11.11(一部改変)
版権 読売新聞社