ストレスを感じやすい人、感じにくい人

日頃の行動パターンで分かる ストレスを感じやすい人、感じにくい人

ストレスを受ける環境下に置かれた時、心に大きな負担をかけてしまう人と、そうでない人がいる。
ストレスを切り口にした人間の3つのタイプを知り、自分の行動や考え方を見直そう。

ストレスを「感じやすい人」と「感じにくい人」は何が違うのか。
それは、日頃の行動や考え方を見れば分かる。
例えば、注文した料理がなかなか来ない、大混雑しているレストラン。
「すみません! 料理が来ないんですけど!」と店員にイライラした顔で文句を言う人がいる。
一方で、遅いのを気にしながらも、黙って自分の気持ちを抑えている人もいる。
両者はどちらも、ストレスを感じていることが分かる。

では、ストレスを感じていない人はどういう人か。
何事もないかのように、料理を待ちつつ、外の景色を眺めながら物思いにふけったりする人である。
このように、同じシーンでも人によってストレスの度合いは異なる。

■タイプAとCが危険
ストレスに関係する行動や考え方は、分類すると3つのタイプに分かれる。
ストレスを感じやすいのは、競争心が強くてせっかちな「タイプA」と、何でも我慢しがちな「タイプC」だ。
レストランで店員に文句を言うのはタイプAで、我慢するのがタイプCである。
何事もなかったかのようにマイペースな人は、「タイプB」に分類される。

それぞれのタイプには、特徴的なパターンが見られる。
主なものを以下のリストにまとめたので、まずはチェックしてみよう。
当てはまる項目が多かったものが、あなたのタイプだ。

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タイプA いわゆる「せっかち」
時間に対しての切迫感があり、何でも素早くこなせた方がいいと考える。
短気な性格。
貪欲で競争心も高いため、仕事を処理するスピードが速い。
一方で、他人に対して厳しく、リラックスして人とつき合うことができない一面も。
漠然とした不安感や焦燥感も持ち合わせる。
真面目で優秀なビジネスパーソンに多いタイプだが、ストレスを抱え込んで心の病になるケースも少なくない。
check!
 □ せかせか歩き、食べ、早口で話す。
 □ 他人の怠慢行為や些細なミスに耐えられない。
 □ 様々な出来事の進行速度にイライラする。
 □ 同時に2つ以上のことを考えたり、実行しようとする。
 □ 休暇を取っても、何もしないと漠然とした罪悪感を覚える。
 □ たくさんの予定を入れ、ハードなスケジュールで行動する。
 □ 競争心が強い。特に自分と似たタイプに負けたくないと感じる。
 □ 何でも数字に換算して考えたり、評価したりする。

タイプB いわゆる「マイペース」
心からくつろいだ状態で生活していて、過剰な競争心を抱かない。
周りの人と楽しくつき合い、自分の感情も適切に表現できる。
ストレスをあまり感じないタイプ。
マイペースなので、“できるビジネスパーソン”には見えないが、オン/オフの切り替えがうまく、集中的に仕事に取り組めるため、優れた実績を残せる人も少なくない。
check!
 □ 時間に追われてせかせかしない、苛立たない。
 □ 些細なことで相手に敵意を見せない。
 □ 怒りなどの感情を適切に表現する。
 □ 自分の築いた功績や実績を自慢の材料にしない。
 □ 自分自身を笑える余裕がある。
 □ 会話においていたずらに反論しない。
 □ 自分が優れていることを誇示しない。
 □ 興奮しないで働けて、リラックスして休める。

タイプC いわゆる「いい人」
感情を抑え、愛想よく振る舞い、不平を言わない。
受動的かつ自己犠牲的。
感情を吐き出すのが下手で、特に人づき合いでストレスをため込みやすい。
本音を表に出さないため、自覚症状がないまま、心の奥で、怒り、不安感、絶望感を抱えやすい。
我慢強くて、とても「いい人」だが、心のバランスが突然大きく崩れる危険性がある。
check!
 □ めったに怒らず、何事も冷静に受け取る。
 □ 自分のしたいことより、相手の要求を優先する。
 □ 頼まれたら断れず、頼み事もしにくい。
 □ 権威のある人に立ち向うのが難しい。
 □ いつも受け身で控えめである。
 □ どちらかというと、元気のないことの方が多い。
 □ 様々な競争に対して尻込みする。
 □ “いい人”と思われていることを自覚している。


■タイプを知り、行動を見直そう
「タイプAの人は、仕事の効率を重視し、短い時間にたくさんの仕事をこなそうとします。1日の予定もびっしり詰める傾向があり、他人の遅い行動にもイラつきを隠せません。悪く言えば『せっかち』ですが、『真面目な頑張り屋』とも言えます。現代の向上心の高いビジネスパーソンに多いタイプですね」と解説するのは、産業カウンセラーの大美賀直子さん。

常に時間に追われているような不安を持ち、生産性や効率性にばかり目がいき、思うようにならないとイラつく。
ひどい場合、怒りの感情を爆発させて人間関係を壊してしまうこともある。
心臓疾患にかかりやすいとも言われているので注意が必要だ。

一方のタイプCは、ケガをしていても、我慢して走り続けてしまう人。
「他人に嫌なことを言われてもぐっと我慢。自分より他人の意見を優先するなど、協調性のある行動を取りますが、その裏でストレスを多くため込みます。いわゆる“いい人”なのですが、突然、心のバランスを大きく崩してしまう危険性があるので要注意」(大美賀さん)。
タイプCの人は、我慢強い一方で、ガンになりやすいという研究報告もある。

タイプBは、ストレスをあまり感じない。
周りの人と楽しくつき合いながら、時には自分の意見や感情も適切に表現できる。
無理をせずに、仕事だけでなくプライベートも充実できる人が多い。

「自覚するだけで大きな進歩」と大美賀さんは語る。
どのタイプか分かれば、そのタイプの顕著な行動や考え方を自然と控えるようになる。
日頃の自分を振り返り、振る舞いなどを見直すきっかけにしてほしい。
日経ビジネスアソシエ 上岡隆)
[日経ビジネスアソシエ2011年9月20日号の記事を基に再構成]

出典 日経新聞 Web刊 2011.12.12
版権 日経新聞


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