冷え症に効く生活改善

この季節、特につらい冷え症。私は大丈夫、と思っている人も要注意です。
冷えは生活習慣やストレスが影響するとみられ、誰にでも現れます。
体調不良の原因にもなります。
鍵を握るのは「血行」「食事」「筋肉」。

■まずは外から温めよう
冷えは、誰にでも起こりうる望ましくない状態。
体質ではありません。
 
冷えが続くと免疫力が低下し病気になりやすくなる。
内臓の働きも落ちる。
「足が冷えて眠れない」などの訴えは女性に多いが、最近は男性や子どもの冷え症も珍しくない。

冷え症かどうかは自覚の有無では決まらない。
判断するにはまずわきの下に手をはさむ。その手でおなか、お尻、太もも、二の腕の下側に触れてみよう。
わきの温度は内臓に近い。
そこと比べて、1カ所でも冷たければ冷え症。

体内で熱をつくるには、食事や筋肉量がものをいう。
その熱を運び、体の末端や表面まで温めるのは血流の役割だ。

血行のよしあしに大きくかかわるのが自律神経。
緊張時に優位になる交感神経と、休息時に優位になる副交感神経があり、副交感神経が優位だと血行がよくなる。

だが、現代人は交感神経優位の時間が長い。
いちばんの原因は、副交感神経が優位になる睡眠時間の不足。
さらに、宵っ張りの生活や早食い、ストレスも一因になって、冷え症を招き寄せている。

冷え症が見つかったら、まず外から温めること。
湯たんぽがよい。
わきの下と比べて冷たかった箇所に当てよう。
寒いとき、体は生命維持に大切な部分から温めようと内臓周辺に血液を集める。
外から内臓や太ももの大きな筋肉を温めると、足先など末端まで血液が回りやすくなる。

入浴も大切だが、コツがある。
冷えている部分を湯たんぽで温めてから入る。
体には冷えている場所と温かい場所が混在していて、風呂で体をいっぺんに温めようとすると、冷えがとれる前にのぼせやすいからだ。
入浴剤も温熱効果を高める。

体の保温にも気を配ろう。
フェースタオルを四つ折りにしたり、クッキングペーパーを二重にしたりして、冷たい部分の洋服と下着の間にはさむと、空気の層ができて温かい。

気持ちよく眠りにつくためにも湯たんぽが効果的。
まず、布団に入る前に、お尻の当たる辺りに置いておく。
横になったら、おなか、足の付け根、太ももの前側、二の腕の下側の順に当てていく。
内臓の周りの血液が温まって手足の先までまわり、深部体温が下がって人は眠りにつく。その変化を人工的に作り出すイメージだ。

寝室の環境にも気をつけたい。
15度以下にならないように。
節電の冬、エアコンだけに頼らない工夫をしよう。
敷布団を二重にする、カーテンを床までの長さにして窓からの冷気を遮断する、風呂の残り湯を入れた2リットル入りペットボトルを10本ほど並べる。
これだけでも体感温度は上がる。

出典 朝日新聞 2012.1.13
版権 朝日新聞社


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