足がつる

痛ッ!“足がつる”に隠れた危険な病とは?

ふくらはぎがつる、痛~い「こむら返り」。
「すぐに痛みは治まるし、命には別状ないから、しかたがない・・・」と思いがちですが、実はそれは大間違い!
こむら返りが命に関わる病気をいち早く知らせてくれるサインである場合もあることが最近の研究でわかってきました。

なんと、放置しておくと足を切断しなければならなくなる可能性もあるというのです!

自分のこむら返りは大丈夫なのか?
それを自宅で簡単に見分ける方法や、足を元気に復活できるちょっと変わったウオーキングなど、最先端の医療現場でも実践されている驚きの対策があります!

(「こむら」とは「ふくらはぎ」のこと)

まさか…こむら返りで足切断!?
夜中に足がつることが多くなったAさん。
病院に行ってみると、なんと即入院!
医師からは「放置すると足を切断しなければならない可能性がある」と告げられました。
Aさんの足に一体何が起きたのでしょうか?

この謎を解明すべく、まずは健康な人で、足がつった時の筋肉の状態を徹底的に分析しました。
まず、つった瞬間の筋肉を超音波でとらえたところ、細かく震えていました。
さらに、筋電計の波形を見ると、本人が力を入れていないにも関わらず、筋肉の一部分だけが収縮を続けていることがわかりました。
つまり、「足がつる」というのは「本人の意思に反して筋肉の一部だけが異常に収縮している状態」だとわかったのです。
では、なぜ筋肉の異常収縮が起きてしまうのでしょうか?

徹底解明!足がつるメカニズム
足がつるメカニズムを探るため、「冷え」「運動」「脱水」の3つの状況を設定し、足がつりやすくなるかどうかを確かめました。
結果、3つともつりやすくなることがわかりました。
一体、私たちの足に何が起きているのでしょうか?
鍵を握るのがアキレス腱。
人間の足は、ふくらはぎの筋肉が縮むとアキレス腱が伸びる構造になっています。
筋肉が縮むとき、アキレス腱にある腱紡錘(けんぼうすい)という器官が働き、腱の伸びすぎを防ぐため、筋肉に「それ以上縮むな!」と指令を出します。
「冷え」「運動」「脱水」は腱紡錘の働きを弱めます。
この時、何かのきっかけで縮んだ筋肉が異常に収縮を続けてしまうと、足がつるのです。
寝ているときも、ふくらはぎの筋肉は少し収縮した状態になっていることが多く、しかも腱紡錘の働きが低下しています。
このため、睡眠中は足がつりやすいのです。

危険なこむら返りの見分け方
足の切断にまで至る可能性がある危険なこむら返りを起こすのは閉塞性動脈硬化症という病気。
足の太い血管が動脈硬化を起こして詰まってしまい、血流が悪くなる病気です。
実はこの病気、簡単に見分ける方法があります。
Aさんと同じ症状を持つ患者さんの実際の診察に立ち会わせていただくと、両足を上に挙げ30秒~1分ほど足首を動かしていました。
すると・・・なんと、片方の足の色が真っ白に!足の先まで十分に血液が通っていないのです。

※見分け方の詳細は「今回のお役立ち情報」で!

※こむら返りは睡眠時や疲労時などに誰にでも起こりうるものです。
よく足がつるからといって、必ず病気がひそんでいるというわけではありません。

「歩いては休む」で血管ができた!
閉塞性動脈硬化症と診断されたBさん。
手術をしなければならないと思っていたら、医師から伝えられた治療法はなんと歩くだけ。
半信半疑で指示通りやってみると、なんと、血管の詰まった部分を迂回するようにして新しい血管ができ、症状が改善したのです!
血管が新しくできるためのポイントは「1分歩いて3分休む」を10回繰り返すこと。
これを1週間に3回行い、3週間ほどで新しい血管ができて症状が改善し始めたのです。
血管が詰まった状態で歩くと、筋肉に行き渡る血液が足りなくなります。
すると、人間の体は足りない分を補うために新しい血管を作り始めます。
歩いた後に休むのは、血管が新しくできる時間を作るためだったのです!

(重症の患者さんには手術などの治療が必要になります。まずはかかりつけ医にご相談下さい。)

危険なこむら返りの見分け方
(1)両足を支えてもらうか、壁に掛けるかして足を上に挙げます。
※ソファーやベッドから落ちないように気をつけてください。

(2)30秒~1分間、足首をグルグルと動かします。

(3)両足の色を確認します。片方だけ白くなっていた場合は閉塞性動脈硬化症の疑いがあるので、病院で診断を受けることをお勧めします。
※足の甲の色でも見分けられます。


http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20120425.html
で写真入りの説明を見ることが出来ます。

閉塞性動脈硬化症には、他に「片足だけしびれる」「歩くと足が痛むが休むと治る」などの症状もあります。



<関連サイト>
こむら返り
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/10/13





<自遊時間>
北アルプス 名古屋の医師が遭難か…長男とはぐれ
15日午前10時半ごろ、長野県松本市北アルプス蝶ケ岳2677メートル)に登山に出かけた名古屋市、医師、Kさん(76)の家族が、「下山予定日を過ぎても帰ってこない」と県警松本署に届け出た。
遭難した可能性が高いとみて県警は16日、県警ヘリなどで捜索する。

県警によると、2泊3日の予定で12日午前、長男と2人で松本市上高地から入山。
蝶ケ岳に登り、13日夜は頂上近くの山小屋に宿泊した。
翌14日朝、上高地へ下山途中に長男とはぐれたという。

毎日新聞 2012.5.16
<私的コメント>
この前の連休中にも同じ年齢の北九州市の医師が遭難しました。
高齢の医師の事故(今回のニュースではまだ事故とは断定できません)が続きます。
私の周囲の医師も登山ブームです。
山頂で撮影した写真を添えた年賀状がやたら目につくようになりました。
いずれも一定の年齢(会社員なら定年)から始めた「にわか」登山家です。
今回のケースはそうでもないようですが、76歳という年齢には少し驚きます。
かくいう私自身も、2年前に蓼科山に登り、かえりに家族とはぐれてしまい、周囲が暗くなるし(山は日の暮れが早い)足は動かないわで怖い思いをしました。


読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。

他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(H20.5.22~)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログ)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
http://harrison-cecil-lobe.blog.so-net.ne.jp/
(「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログ)
「葦の髄」メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版)
があります。