カプセルを飲む大腸検査

大腸検査 カプセル飲むだけ  受診率アップに期待


大腸検査はお尻の穴から内視鏡を入れて、腫瘍などがないかを調べるのが一般的だ。
医師の技量や内視鏡そのものの性能が高まっているとはいえ、肛門にチューブを通すという手法に戸惑う人は多い。
今年7月、口から飲み込むだけで大腸内を撮影できるカプセル型内視鏡が製造・販売の承認を受けた。
恥ずかしさや心理的な抵抗感を少しでも和らげ、低迷する大腸がん検査の受診率アップに一役買うと期待されている。

■新型の内視鏡は腸を撮影するカメラを直径約1センチ、長さ約3センチのカプセルに詰め込んだ。
口から飲み込むと、消化管のぜん動で胃や小腸、大腸と肛門に向かって進む。

恥ずかしさなし
■小型カメラを前後に備え、視野角は340度超におよぶ。
発光ダイオード(LED)が点滅しながら、内壁の異常を探る。
口に含んだ時から撮影が始まり、最初は1秒間に4枚を撮る。
移動速度が速くなると、同35枚の撮影に切り替わる。
胃や小腸も撮れるが、大腸を調べるのにふさわしい性能になっている。
このため、大腸に届いた時間帯の撮影画像を検査に使う。
個人差はあるが、約10時間あれば肛門から出てくるという。

■治験ではイスラエルの医療機器メーカー、ギブン・イメージングが開発した大腸用のカプセル型内視鏡が使用された。
今年7月に厚生労働省から医療機器として承認された。来年初めにも保険適用され、検査が始まる見込み。

■撮影した画像は体の外に発信し、腰につけた記憶装置で受け取る。
これをパソコンと接続し、専用の画像解析ソフトで、大腸の壁に異常が現れていないかどうかを調べる。検査精度は従来の内視鏡に近い。

■従来の大腸検査では、まれに、手術後に腸管が癒着して内視鏡を挿入できないときもある。
コンピューター断層撮影装置(CT)を使う手法もあるが、こちらも大腸に空気を入れるため肛門からチューブを差し込む。

■がんで亡くなった人の原因のうち、大腸がんは男女ともに上位に入る。
だが、大腸がんは早いうちに発見すれば治る可能性が高い。
にもかかわらず、大腸がん検診の受診率は約2割にとどまる。
恥ずかしさなどが立ちはだかるようだ。
カプセル型が医療現場で普及すれば、検査への抵抗感が弱まると期待されている。

■カプセル型の優れる点はやはり、「ただ飲むだけ」という簡単さ。
痛みや恥ずかしさはない。
カプセルの前後にレンズがあるため、盲点になりやすい内壁にあるヒダの裏側の病変を見つけやすくなる。

■さらに、専用ソフトを使って見つかった腫瘍のサイズを推定し、パソコン画面上に表示できる。
データを伝送すれば、その場に医師がいなくても大腸の遠隔診断が可能になるかもしれない。


治療は従来の手法
■ただ、カプセル型ができるのは撮影だけ。
実際に腫瘍が見つかっても、従来の内視鏡のようにその場で切除はできない。
腫瘍の切除や悪性かどうかを詳しく調べるには、お尻から内視鏡を入れる。
こうなるとカプセル型は二度手間になるかもしれない。
大腸を洗浄するため下剤の量も内視鏡の約2倍で、検査時間も長くなりがちだ。

■カプセル型の登場は、検診機会を増やすだけでなく、改めて従来の内視鏡の良さを教えてくれるとの期待も膨らんでいる。
カプセル型と違って、医師が気になる箇所をじっくりと調べられる。

■普及のためには費用も課題になる。
カプセル型で既に実用化された小腸検査用だと約10万円で、通常は自己負担は最大で3割程度。
大腸用も同水準だとすると、気軽には検査を受けづらい。

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出典  日経新聞・朝刊 2013.9.27
版権  日経新聞

<私的コメント>
長所・短所がはっきりと書かれていました。
リサイクルはしない筈ですが、何だか勿体ないような気もします。
いずれにしろ、かかる費用からしても検診には利用せきそうにはありません。
逆にどんな患者さんが適応になるのかという疑問もあります。





 検査受診率の向上へ、患者の選択肢が増えることは望ましい。自分の希望を医師に伝えて、体にあった検査法を選びたい。