不整脈による脳梗塞

発症すると死亡したり重い後遺症を残したりする脳卒中
脳卒中はとても深刻な病気です。
軽く済んでしまって何事もなかったかのように治ってしまう人がいるかと思うと、重い後遺症で人生が狂ってしまう場合もあります。
「動けない」「喋れない」「食事が飲み込めない」おまけに「死ねない」となったら、半生は病気と闘う生活になってしまうのです。
その中でも重症化しやすいのが、心臓の不整脈のひとつ、心房細動が原因で起きる脳梗塞です。
心房細動がある場合、血を固まりにくくする抗凝固薬を飲んで脳梗塞を予防できます。
最近は薬の種類も増えて、選択肢が広がりました。
10月29日は世界脳卒中デーです。


不整脈引き金、重い脳梗塞 心臓で血栓、脳の血管詰まる

■機器埋め込み、脈を観察
脳の血管が詰まって発症する脳梗塞は、動脈硬化が原因のものと、不整脈など心臓が原因のものに、大きく分けられる。

心臓が原因の脳梗塞では、6割の患者が、介助が必要になったり寝たきりになったり、また死に至ったりと重症化の度合いが大きい。
平均入院期間が100日前後ある脳卒中の中でも、いっそう厳しくなるケースが多い。
原因が心臓なので再発のリスクも高いといわれている。
最近注目されているのが、埋め込み型不整脈検出装置」。
手術で体内に3カ月間埋め込んで心臓の動きをみる。
現在、失神を伴うような重不整脈にしか保険適用されていない。
だが、原因不明の脳梗塞患者に使った海外の調査では、約4分の1から心房細動が発見されたというデータもある。
こういう医療機器が国内でも使えるようになり、患者も異常を感じたらできるだけ早く医療機関を受診するようになれば、心房細動が原因の脳梗塞はもっと減らすことができるようになる。


■新薬で予防、広がる選択肢
心房細動がなぜ、脳梗塞の原因になるのか。
心臓で血液がよどんで流れにムラができると、血が固まりやすくなる。
この血のかたまり(血栓)が血管の中を通って脳に運ばれ、脳梗塞を起こす。
血栓はときに指先ぐらいの大きさになることもあり、これが脳の太い血管を塞ぐと、重い脳梗塞になる。
心房細動は、突然発症するとドキドキする、気持ち悪くなるなどの症状が出ることもある。
だが、慢性になると気がつかない場合も多い。
健診の心電図で偶然発見されることさえある。
心房細動があった場合、どうすればよいのか。
心房細動は、抗不整脈薬や、けいれんを起こしている部分を焼き切るカテーテルアブレーションという治療法があるが、再発することも多く、完全に止めるのは難しい。
心房細動だけで死ぬことはないが、それが引き金になった脳梗塞が怖いのだ。
 
心房細動が見つかった人のうち、
高血圧
糖尿病
75歳以上
っ血性心不全
脳卒中か一過性脳虚血発作(TIA)の既往
――このうち二つ以上当てはまる場合は、さらに脳梗塞のリスクが高まる。
このような人は積極的に脳梗塞予防をする必要がある。

予防は、血を固まりにくくする抗凝固薬を使う。
代表的な薬はワルファリンで、従来広く使われている。
ただ、飲んでいる間は納豆や海藻といったビタミンKが多い食べ物が食べられない、また効き過ぎると出血しやすくなるために、1~2カ月に一度は血液検査を受けて、飲む量を調整する必要があるなど、使いにくい面もあった。
 
最近はワルファリンの欠点を解消した新しい薬が3種類登場している()。
これらの薬は、ワルファリンと違って食べるものに制限がなく、定期的な血液検査も必要がない。
私的コメント:「定期的な血液検査が必要がない」というより「出来ない」というのが正しい言い方です。

効き目はワルファリンと同等以上で、副作用の脳出血はワルファリンより少ないという試験結果が出ている。
 
ただ、デメリットもある。
新薬の値段はワルファリンの20倍以上になる。
さらに、ワルファリンは効くのも遅いが、飲み忘れてもしばらくは薬の効果が続く。
新薬はやめると24時間で効果がなくなるので、注意が必要となる。

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出典 朝日新聞・朝刊 2013.10.23
版権 朝日新聞社


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