もの忘れと認知症

65歳以上の高齢者の15%にあたる462万人が認知症――。
厚生労働省研究班の調査から、そんな実態が明らかになりました。
4人に1人が65歳以上の高齢社会を迎えるます。
認知症はもはや身近な病気といえます。

認知症は脳の老化で記憶力や判断力が衰えていく状態をいいます。
原因となる病気は60~80種類あるといわれていますが、最も多いのがアルツハイマー病。
研究班の調査では6割以上を占めました。
一般的には「アルツハイマー認知症」などと呼ばれています。

アルツハイマー病の最大のリスクは加齢です。
加齢とともに脳にたんぱく質がたまっていき、脳の働きにダメージを与えます。
このたんぱく質は、いわば年とともに増える脳の「ゴミ」。
このゴミをきれいに掃除できる方法は残念ながら今のところありません。

■年をとれば誰でも多少のもの忘れはあります。
この認知症ともの忘れはどう違うのでしょうか。
ポイントのひとつは、もの忘れがひどくなった結果、日常生活に支障をきたしているかどうかです。
また、もの忘れでは食事のメニューを思い出せないのに対し、認知症では食事したこと自体を忘れるなど、「体験のすべて」を忘れてしまうこともあげられます。
認知症の場合は、もの忘れの自覚そのものがないことも多いのです。
ある程度のもの忘れは年齢相応の現象で、あまり神経質にならないほうがよさそうです。

■最終的には、記憶力のテストなどを経て医師が診断します。
まだ症状の軽いうちに家族がどう対応したらいいのか、あらかじめ準備をすることで介護の負担を減らすことができるので出来るだけ早めに受診することが重要です。
進行していく病気のためもとには戻りませんが、早めに治療すれば進行を遅らせることは可能です。

■最近注目されているのは「軽度認知障害」です。
記憶力のテストなどをすると年齢相応よりも記憶障害は進んでいるものの、認知症ではない状態です。
「もの忘れと認知症の間」「認知症の予備群」とも言えます。
厚労省研究班は、こうした高齢者が全国に約400万人いる、としています。

認知症になってから治療するのではなく、なるべく早くその「前段階」をつかまえ、進行を抑えていこう、との考え方が背景にあります。
人はある日突然、認知症になるわけでありません。
アルツハイマー病の原因となる「ゴミ」はゆっくりとたまっていき、認知症になるまでには10~20年の時間がかかるとみられています。

■画像検査の技術が進み、「ゴミ」のたまり具合もとらえられるようになりました。
国内の調査では、軽度認知障害の人の6割で、検査結果が「陽性」となりました。
認知症の人では9割、健常の人でも2割が陽性でした。

■軽度認知障害の人が認知症に進行するのは、年間15%ほどと報告されています。
ただし、軽度認知障害でも認知機能の障害に進行がみられない人もいます。
さらに認知症を発症する前に寿命を迎える人もいます。
決定的な治療法も見つかっていないなか、認知症になる「前段階」を知る意義がどこまであるのか。
この点については、議論があります。

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出典 朝日新聞・朝刊 2013.11.2
版権 朝日新聞社


<「ふくろう医者に診察室」アルツハイマー病関連ブログ>
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予防効果8倍!アルツハイマー病制圧3原則
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20080903.html

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