耳鳴り ・ 加齢が主因

耳鳴り 加齢が主因、ストレスで悪化

耳の中で「キーン」という高い音が聞こえたという経験のある方は多いのではないだろうか。
こうした耳鳴りが強くなると、眠れなかったり、憂鬱な気分になったりして生活に支障をきたす。
ストレスで症状が悪化してしまうケースもある。

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耳鳴りは、加齢にともなう難聴で起こることが多いです。
 
実は、まったく音がしないところにいくと、ほとんどの人は耳鳴りが聞こえる。
通常は音が小さいため、周りの音に消されてしまっている。
しかし、難聴になると音を調節する機能が変化し、大きく聞こえるようになるという。
 
音は、耳の中にある蝸牛(かぎゅう)という部分で電気信号に変えられ、聴神経を通って脳に伝わる。
この蝸牛に障害が起こると難聴になる。
一般に年をとると高い音から聞き取りづらくなり、高い「キーン」という音が聞こえ出すことが多い。
 
ストレスや不安で、耳鳴りが悪化することもある。
ストレスを感じると、脳の中のいら立ちや怒りをつかさどる部分の働きが活発になり、耳鳴りの不快感をより強めてしまう。
最近、以前から聞こえていた耳鳴りが特に強くなってきたと感じる人は、ストレスが関係しているかもしれない。

治療はまず、こうした耳鳴りが起こる仕組みについて説明を受け、理解することから始める。
耳鳴りがすると「脳の病気では」「耳が聞こえなくなるのでは」と心配してしまいがちだが、説明を受けただけで安心して気にならなくなる人も多い。
 
音を聞かせて耳鳴りを気にならないようにする音響療法という治療もある。
ラジオや専用の機械を使い、耳鳴りよりも少し小さな人工音を聞かせるほか、補聴器を使って耳の中に音が届くようにすることで耳鳴りを軽減させる。
 
耳鳴りをゼロにすることは難しいが、治療を続けることで症状が軽減し、気にならなくなる人もいる。
耳鳴りを訴える人の中には睡眠障害うつ病を伴うケースもあり、抗うつ薬などを使うこともある。

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一方、若い人も突発性難聴メニエール病などになると耳鳴りが起こる。
片方の耳に急に起こった場合や、耳鳴りの音が強くなったり、弱くなったりする場合は、こ
れらの病気の可能性がある。
脈拍に合わせ「シヤー、シヤー」というような音が聞こえる状態が続くときは、脳の腫瘍や血管の病気の恐れがある。


その耳鳴り、大丈夫? チェックポイント
① ⬜︎ 60歳以上である
② ⬜︎ 高い音が聞こえづらい
③ ⬜︎ 急に片方の耳が聞こえづらくなり、耳鳴りがする
④ ⬜︎ 耳鳴りのほかにめまいがする
⑤ ⬜︎ 耳鳴りが強くなったり、弱くなったりする
⑥ ⬜︎ 不安やストレスを感じている
⑦ ⬜︎ 耳鳴りが最近強くなった
⑧ ⬜︎ 脈拍と同じような音が持続して聞こえる
          
①②加齢にともなう難聴によって耳鳴りが起こっている可
性があります
③~⑤突発性難聴メニエール病などの病気の恐れがあります。早目に専門医を受診してください⑥⑦仕事や人間関係など、日常生活のストレスで耳鳴りが悪化することがあります。⑧脳腫瘍や血管の病気の可能性がありますので耳鼻科で検査を受けてください
 
朝日新聞・夕刊 2014.2.27