スポーツと月経異常

女性のスポーツ選手にみられることが多い月経異常。
無月経になると、疲労骨折のリスクが高まります。

月経が3カ月以上ないと無月経の状態だ。
10代の無月経や15歳になっても初経がない場合は放置しないでほしい、と専門医は話す。

スポーツと月経異常 放置せずに産婦人科を受診

運動選手が無月経になる主な原因は、運動によって消費するエネルギーに対し食事で得られるエネルギーが足りなくなる「エネルギー不足」と考えられている。
無月経が続くと、骨量の維持に重要な女性ホルモンの分泌が減る。
女性の場合、10代後半までに骨量が大きく増加するが、そのときに骨量が十分に増えないと、将来的にも骨折しやすくなる可能性がある。

女性の五輪選手や強化指定選手らを対象に調査したところ、無月経の選手はより疲労骨折を起こしやすかった、というデータもある。
陸上の長距離選手や新体操の選手で特に疲労骨折の発症率は高かった。
短期間に極端な減量をせず、普段から体重や運動量、食事、月経を記録することが対策として挙げられる。

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同じ調査で、コンディションが良いと感じる時期と月経の周期は選手によって少し違うこともわかった。2~3カ月前に産婦人科を受診すれば、ピルを使って月経を移動させることもできる。
ロンドン五輪では、メダルを獲得した選手のなかに、ピルによる月経移動を行った人もいたという。

トップアスリートでなくても、これまで練習を積み重ねてきたのに、大事な試合に出られなかったり、能力を発揮しきれなかったりして悔しい思いをする人は多い。
ピルはドーピング禁止薬物でなく、服用しても将来子どもが産めなくなることもない。
保護者や指導者ら周りが気付いてあげないと、10代が自ら産婦人科を受診することはほとんどない。

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産婦人科医が女性アスリートを支援しようという取り組みが始まっている。
日本産科婦人科学会国立スポーツ科学センターは共同で、運動をしている大学生らに月経異常のアンケートを実施する。得られるデータをもとに、学会が管理指針を作る方針だ。

学会理事は「根性論では勝てない。骨量が十分に増えなかったり不妊に影響したりして、人生にデメリットが生じる恐れもある。調査で選手に関心を持ってもらうことも大切だ」と話している。
 
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出典  朝日新聞・夕刊 2014.6.30(一部改変)
版権  朝日新聞社