紅茶成分で骨粗鬆症改善を可能

紅茶成分で骨粗鬆症改善の可能性 阪大などマウス実験

阪大などの研究グループは、紅茶に多く含まれる物質がマウスの体内で骨を壊す細胞ができるのを妨ぐことを実験で確認し、論文にまとめた。(米医学誌ネイチャーメディシン電子版)
紅茶の成分をとることで骨が弱くなる骨粗鬆症の改善につながる可能性があるという。

骨は新陳代謝をしており、健康な骨を維持するには、骨を壊す破骨細胞と骨をつくる骨芽細胞の数のバランスが大切とされる。
破骨細胞が多すぎると、骨が弱くなり骨折のリスクが高くなる。
骨粗鬆症の患者は高齢者に多く、日本で1千万人以上いると考えられている。
 
研究グループは、破骨細胞が作られるのに関係する物質と反応する酵素に着目。
紅茶に含まれるTF3というポリフェノールの一種によって、酵素が働かなくなることを発見した。
TF3は紅茶ほどではないもののウーロン茶にも含まれているが、緑茶にはほとんどないという。

骨粗鬆症になった実験用のマウスの血液中にTF3を一定期間入れたところ、破骨細胞の数が減っていた。
骨の量が増えており、ほぼ健康な骨に改善した。

カルシウムの摂取と合わせてTF3を機能性食品やサプリメントとして使うことなどで、ヒトの骨粗鬆症の予防や症状の改善につながる可能性がある。

出典
朝日新聞・2015.2.24


私的コメント
この研究は、実験的に骨の量を3分の1に減らした骨粗鬆症のマウスに「TF3」を3日おきに3週間にわたって投与したところ、「破骨細胞」が減少し、骨の量がほぼ正常の状態に回復することを確認したとのこと。
これを人間に換算した場合、例えば体重60kgの人間では、1日に紅茶を20杯飲まなければならない計算になるそうです。
紅茶にはカフェインが含まれているため、飲み過ぎは注意が必要ですが、研究チームでは、今後有効成分を医薬品やサプリメントなどにして摂取すれば、骨粗鬆症の予防・改善につながると考えています。

紅茶はそもそも健康効果抜群といわれています。
紅茶がもつとされる主な効能は以下のとおりです。
1)抗酸化作用
メラニン色素生成を防ぎ、美肌にも。
2)がん予防効果
  抗酸化物質によるがん予防が研究されています。
3)抗菌作用
ピロリ菌に対する殺菌性も認められたそうです。
4)ダイエット効果
カテキンのもつ糖分分解酵素により、ダイエット効果があるとされています。
5)カフェインの働き
紅茶にはカフェインも含まれ、疲労労回復とストレスの解消に有効です。
6)ビタミン・ミネラルの補給
紅茶で有効なビタミン効果は、ビタミンB群の中でB2、B6、ナイアシン

問題は砂糖を入れずに飲めるかどうかということです。
その点では紅茶より緑茶に軍配が上がりそうです。
しかし、TF3はウーロン茶にも少々含まれているものの残念ながら緑茶にはほとんど含まれていないということです。