「がん」と「癌」の違い

「がん」は遺伝子の突然変異によって細胞が増殖する悪性腫瘍全般を指します。
漢字の「癌」とは微妙な違いがあります。
医学用語の「癌」は、臓器の表面を覆う上皮の細胞から発生する悪性腫瘍を意味し、英語ではカルチノーマと呼びます。
ギリシャ語のカニを意味するカルキノスが語源で、当時唯一診断できた乳がんカニの甲羅のように硬いことから名付けられました。
 
上皮とは、皮膚や粘膜など、身体や臓器の表面を覆う組織ですが、外界とつながっていることが特徴です。
たとえば、胃癌ができる胃の粘膜は、口や肛門を通じて外界とつながっていますから上皮の一つです。
肺癌ができる気管支上皮も、膀胱癌ができる移行上皮も、鼻や尿道を通して外界と連続しています。
膵臓などは一見、身体の外とつながっていないように見えますが、膵臓癌ができる膵管は消化液を十二指腸に運ぶためのパイプですから、胃と同様に外界と連続しています。
悪性腫瘍のほとんどは、こうした上皮細胞が悪性化した癌です。
 
一方、骨や筋肉、脂肪のように外界につながっていない肉にあたる細胞からできる悪性腫瘍を「肉腫」(英語ではサルコーマ)と呼びます。
肉腫は癌より頻度は少なく、悪性腫瘍全体の1%を占めるにすぎません。癌とちがって、若い世代にも多く、小児の悪性腫瘍の2割近くが肉腫です。
肉腫は幅広い年齢の患者で、全身のさまざまな場所にできるため、治療法も、治療効果も多様なものになります。
 
「癌」や「肉腫」のほか、白血病や悪性脳腫瘍など、すべての悪性腫瘍を総称したものが「がん」で、100種類以上あります。
国立がん研究センターが「癌研究センター」ではないのは、すべての悪性腫瘍を診療の対象にしているからです。

ただ同じ「がん」でもできる臓器やタイプごとに、できやすい年齢もたちの悪さも全く異なります。
日本人は「がんか、がんでないか」で一喜一憂しますが、「がん」という言葉でひとくくりにするのは間違っています。
どの臓器のどんな種類の「がん」かが重要なのです。
           (東京大学病院・中川恵一准教授)
日経新聞・夕刊 2015.6.11

<私的コメント>
正直私もよく知りませんでした。
「癌」という字は何となく恐怖心を煽ります。
「がん」の方が柔らかい表現だろうな、ということでこういったブログでは「がん」を使っていました。




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昨日は父の日。
社会人になった子どもがクール便で、アワビ3杯を送ってくれました。
大好物で私の「最後の晩餐」でも家族に指名している食材です。
流石に全部は食べきれないので残りの1杯は今日いただきます。