首・肩が痛い

スマホの使いすぎかも  利用時の姿勢見直し改善

スマートフォンスマホ)の使いすぎで心身の不調を訴えるケースが目立っている。
首や肩こりに悩む人がいるほか、中高生を中心に手放せなくなって依存症に陥ったりしている。
スマホはビジネスや生活の必需品で使用をやめるのは難しい。
賢く使うコツが必要だ。

ここ数年、スマホの使いすぎから体の不調を訴える人が増えてきた。
 
主な訴えは首の後ろ側に突っ張る感じがあり、首の痛みや肩こりがひどい、よく眠れないなど。
スマホが原因か判断する13項目からなる「スマホ首」のチェックリストがあり、3つ以上当てはまればスマホの使いすぎが原因の可能性が高いと判断できる。
そういった際には、使う姿勢や痛みを和らげる運動がよい。
 
スマホで首などの痛みを訴えるのは、利用時の姿勢に原因があるとされる。
手に持ったスマホの画面を見るために首を前に倒し、画面の文字を凝視するため力も入る。首は体重の約1割を占める頭を支える。
このため頭を前に倒す姿勢をとり続けると大きな負担がかかる。

スマホを使う場合には肘の下に反対側の手を入れたり、両手で持ってワキを締めたりして目の高さで画面を見るようにした方がいい。
 
首に痛みを感じるような状態を続けると、首を支える骨である頸椎に問題が起きる恐れもある。
病名ではないが、「ストレートネック」と呼ばれる状態になることもある。
本来は湾曲している頸椎が真っすぐになったままになる。
さらに症状が進むと上半身の活動が不自由になる頸椎損傷になる恐れもある。
改善しない場合には医師への相談も必要だ。

  □  □  

そもそもIT(情報技術)機器の利用で首や肩の不調を訴えるのは、スマホに限ったことではない。
ワープロやパソコンの普及が始まった1980年代から増えている。
IT機器の画面を見続けることが原因のため「VDT(ビジュアル・ディスプレー・ターミナル)症候群」と呼ばれる。
厚生労働省は労働者の体調管理のため同症候群の予防ガイドラインも公表。
連続作業時間を1時間以内にすることなどを求めている。
 
同症候群の主な症状は目と体、心の3つに分かれる。
首から肩、腕、手首などの痛みは体の症状で、目は疲れや痛みのほか、乾燥するドライアイなどがある。
心ではイライラしたり睡眠障害に陥ったりする。
 
スマホ特有の問題はあまりみられないが、子どもの視力低下などにつながる恐れがある。小中学生などはパソコンに比べてスマホを利用する時間が長く大人に比べて問題が起きやすい傾向がある。
 
スマホの利用は学校現場で深刻な問題になり始めている。
利用する生徒で肩こりなど心身の不調を訴える割合は、ガラケーと呼ばれる従来型携帯電話に比べて約2倍。
スマホは高機能で、ガラケーより様々なアプリが楽しめ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で長時間使う傾向も高い。
 
スマホの利用が平日で3時間以上の学生は53.9%と、ガラケーの約4倍。
睡眠時間も短くなり、イライラしたり勉強に対して自信を失ったりする傾向も強い。
生活習慣が乱れる悪循環に陥っている場合も多い。
 
SNSの利用が「いじめ」の引き金になるケースもある。
正しく怖がらせて賢く使うことが大切だ。

  □  □  

家庭や学校などの現実から逃避しようとする気持ちが依存の背景にある。
スマホを取り上げて使用をやめさせると、子どもが激しく怒る場合もある。
利用時間のルールを作るなど親を交えて話し合っていくことが大切だ。
 
スマホの普及が本格的に始まったのは10年ごろで、まだ様々な問題が報告され続けている。
原因の分析や対策は後手に回っている印象もある。
ビジネスでも私生活でもスマホを手放すのは難しいが、生活に支障が出ていると思われる場合には、使い方を改めて考えてみることは必要だといえそうだ。


まとめ
スマホが原因と疑われる主な症状
目に出る症状
・痛む
・物がぼやけて見える
・眼精疲労
・ドライアイ

心に出る症状
・イライラする
・不安になる
睡眠障害
・気持ちが沈む
・やる気が出ない
・いじめなどにつながる
・ネット依存症  

体の症状
・首の痛み
・肩こリ
・手や指がしびれる
・背中や腰が痛む


スマホ首のチェックリスト
スマホを使っているときに首こり、肩こりを感じる
□見上げる時、首に違和感がある
□首がつまって上を向くことができない
□長時間うつむき姿勢でいて、姿勢を変えることが少ない
□目が疲れやすい
□ドライアイである
□猫背の姿勢がほとんど
□1日5時間以上、スマホやパソコンを使う
□やる気が起きない
スマホを枕元に置いて寝ている
□睡眠不足を感じることが多い
□何となく身体に不調がある

3つ以上当てはまれば「スマホ首」の可能性が大きい


番外編
音楽を大音量で聴き続ける・・・難聴になる恐れあり
スマホを含めた携帯音楽プレーヤーなどの不適切な利用によって、世界で約H
億人の若者が難聴になるリスクがある。
世界保健機関(WHO)は2015年2月、こうした予測結果をまとめた。
 
先進国などで生活する12~35歳を対象にした調査で、音楽プレーヤーなどを
聴く約半数が安全ではない音量で聴いていた。
ほかの音が聞き取りづらい85デシベルを超える大音量で、8時間も聴き続ける場合もあった。
 
高い音量を長時間聴き続けると聴覚を担う細胞が傷つく。
WHOは「気づいた時にはもう聴力が戻らない恐れもある」と指摘する。
 
WHOは聴力を守るためには、音楽プレーヤーの利用時間を1日1時間以内にするよう提言。
スマホでは安全な音量に調整したり、アプリを使って、難聴にならないよう警告を出したりする仕組みを取り入れるよう求めている。

出典
日経新聞・朝刊 2015.8.2



イメージ 1

           京都・堀川通の銀杏並木 2015.11.15 撮影
           「黄葉(もみじ)して 銀杏にはかに巨(おお)きかり」