背中の痛み

背中の痛み 突然始まったら命に危険も

前触れなく背中の痛みが始まったときは命に関わる場合もあるので覚えておきたい。
 
動脈瘤は、いよいよ破裂するというときに背中に痛みを感じる。
多くの場合、突然、5~10センチ四方の範囲が痛みはじめる。
痛むのは肩口から腰で、大動脈の通っている背骨の左側のことが多い。
安静にしていても、痛みが続くことも特徴だ。
 
胸や背中に引き裂かれるような激しい痛みを感じたら、大動脈の壁がはがれてしまう「大動脈解離」の可能性もある。
いずれの場合も死亡率は高く、ただちに病院を受診する必要がある。
 
動脈瘤や大動脈解離は60~70代が発症のピーク。
厚生労働省の人口動態統計によると、2014年は1万6423人が亡くなり、04年に比べると約6千人増えた。

CT検査などで早期に発見し治療することが何より大切だ。
血圧が高ければ、降圧薬を服用する。
塩分の少ない食事や禁煙を心がける。
症状によっては、金属の網と繊維でできたステントグラフトという人工血管を入れる手術をする。
 
一方、背中の痛みは一般的に骨や関節に原因があることが多い。

手や足にしびれがあるようなら整形外科を受診したほうがよい。
肩甲骨の内側に響くような痛みがあり、肩や腕、指にしびれがあったり指が動かしにくかったりしたら「頸椎症性神経根症」の疑いがある。
首の骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板が変化し、近くの骨も変形して首の神経に触れる病気だ。50代以上の男性に多い。
 
足にしびれがある場合は、腰椎の椎間板が神経を刺激する「腰椎間板ヘルニア」の恐れがある。
20~40代で発症する人が多い。
 
治療では、神経の痛みを緩和する薬を1~2カ月服用して様子をみる。
椎間板ヘルニアの場合、ストレッチや腰椎の周囲にある腹筋や背筋を鍛えることで良くなることも多い。
 
70代以上の女性は、年齢とともに骨がもろくなる骨粗鬆症性の骨折に注意したい。
尻もちをつくなど、ちょっとした拍子に骨が折れてしまう。
寝起きや起き上がる際に腰から背中にかけてが痛むのが特徴だが、骨折に気付かないこともある。
治療では、コルセットを使ったり、症状によってはセメントを注射して骨を補強したりする。

 国立循環器病研究センターのサイト
「循環器病情報サービス」
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/別ウインドウで開く。
動脈瘤や大動脈解離を詳しく説明。

日本脊椎脊髄病学会のサイト
http://www.jssr.gr.jp/index.html別ウインドウで開きく。
首から腰にかけて起こる病気を解説。

出典
朝日新聞・夕刊 2016.1.18