高齢運転者と認知症

高齢運転者と認知症 異変がないか周囲も気を配って

高齢のドライバーが増えています。
運転のしかたに問題が起きるようになっても「年のせい」と考えがちですが、運転パターンの変化に認知症が隠れているケースもあるようです。
 
警察庁によると、運転免許をもつお年寄りは75歳以上だけで400万人を超える。
運転に不安を覚えて免許を自主返納する人も増えているが、本人が「自分は大丈夫」と考えて運転を続けることもある。
家族が運転をやめてほしいと思っていても、「怒らせてしまうのでは」とためらって言い出しにくいケースが少なくない。
   
  *
 
国立長寿医療研究センターは2010年、認知症やその可能性がある高齢ドライバーの家族を支援するマニュアルを作った。
この中で、認知症のタイプによって、現れやすい運転パターンに違いがみられることを紹介している。
 
たとえば、脳の神経細胞が徐々に減る「アルツハイマー病」の場合、運転中に道に迷いやすくなったり、センターラインをよくはみ出したりすると報告されている。
脳の前方部が萎縮する「ピック病」や、脳梗塞などが原因になる「脳血管性認知症」でも、それぞれ特徴的な運転行動が現れやすいとされる。
通常の運転が難しくなると、事故につながるケースも考えられる。
認知症を疑わせるような運転パターンがみられるときは、警察署や運転免許センターの窓口に相談したい。
 
75歳以上の運転者による死亡事故の割合は年々増えている。
警察庁は、75歳以上の人が免許更新時に受ける「認知機能検査」で認知症の恐れがわかったら全員に医師の診断を義務づけるなど、検査態勢をより厳しくする考えだ。
認知症と判明すれば免許の停止や取り消しができると道路交通法は定めている。
    
   *
 
通院や買い物を車に頼って生活してきた人の場合は、車に代わる移動手段の確保が大きな問題になる。
地元の公共交通機関のほか、自治体によっては予約制の乗り合いバスなどを使った外出支援サービスを利用できるところもある。
市区町村の窓口に問い合わせとよい。
 
車の運転は、日常生活での必要性だけでなく、本人の生きがいにつながっていることも多い。
年齢だけを理由に運転をやめさせるべきではない。
高齢ドライバーの家族や地域の人たちは、ふだんから運転の様子に気を配っておくことが大切だ。

■相談ナビ
長寿研長寿政策科学研究部のサイト
http://www.ncgg.go.jp/department/dgp/index-dgp-j.htm
(高齢ドライバーの家族のための支援マニュアル)

認知症介護研究・研修大府センターのガイドブック
http://y-ninchisyotel.net/pdf/driverguide.pdf


こんな運転、増えていませんか?
① ⬜︎ 運転中に道に迷いやすい
② ⬜︎ 車庫入れに失敗したり、駐車場で周囲の車にぶつけたりしやすい
③ ⬜︎ 走行中に、センターラインからよくはみ出す
④ ⬜︎ 車間距離が短くなる
⑤ ⬜︎ 信号を無視するなど、交通ルールを守らなくなった
⑥ ⬜︎ 運転中に注意散漫になる
⑦ ⬜︎ ハンドルやブレーキの操作が遅くなった

いずれも健康なドライバーにもみられることがある運転パターンで、該当する項目があっても認知症とは限りません。
ただ、認知症のタイプによって、現れやすい運転行動に特徴があることも指摘されています。
①~③は、「アルツハイマー病」の人が運転をした場合に比較的起きやすいことが報告されています。
④⑤は「ピック病」、⑥⑦は「脳血管性認知症」の人に比較的多いとされています。

<私的コメント>
恥ずかしながら3つ当てはまります。
しかし、これは若い時からです。

出典
朝日新聞・夕刊 2015.2.19


イメージ 1

                   2016.1.27 撮影