高血圧 徐々に減塩を

塩分の取りすぎ 高血圧の原因 徐々に減塩を

食事で塩分を取りすぎると高血圧になり、さらに症状が悪化すると、動脈硬化脳卒中心筋梗塞などの深刻な病気を引き起こす。
塩分を減らすことが重要と言われるが、塩分の多い食事に慣れている人にとっては難しい。
 
海に囲まれた日本は、古くから塩の確保がしやすかったため、日本人は世界の中でも食塩摂取量が多いとされる。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2013年)によると、成人1日の食塩摂取量の平均値は男性11・1グラム、女性9・4グラム。10年間ではともに減少傾向だが、国の食事摂取基準の目標値(男性8グラム未満、女性7グラム未満)、世界保健機関(WHO)の目標値5グラム未満には及ばない。
 
塩分を取りすぎると、まず脳が「水を飲みなさい」と指令を出す。
すると、水分が多く取り込まれ、血液量が増えるとともに、血管が収縮する。
つまり血液量が増えながら血管が狭まり、高血圧になる。
 
高血圧は、血管の様々な場所に動脈硬化を起こす。脳で血管が細くなれば脳梗塞、破れれば脳出血、心臓だと狭心症心筋梗塞、腎臓だと腎不全になり、透析が必要になる――といった具合だ。
コレステロールや糖尿病を抱えると、さらにそうした症状を引き起こしやすくなる。
 
高血圧の患者に対し、渡辺さんが長年の減塩指導で効果があったというのが「反復1週間減塩法」だ。
「減塩をずっと続けなさい」ではなく、検査前の1週間は減塩に取り組んでもらい、翌週は元の食事に戻す。
それを繰り返すと、徐々に塩分摂取量が減り、血圧も下がるという。
いきなり減塩料理だけにすると、『まずさ』を感じるばかりで継続しない。
徐々に減塩に慣らしていくことが重要だ。
 
3食のうち1食から減塩に取り組む方法もよい。
例えば、朝食でよく食べる食パンの塩分は6枚切り1枚で約0・8グラム。
食パン1枚に塗るバターは約0・2グラム、ハム1枚が約0・4グラム、チーズ1枚が約0・5グラムなどと、知らずにとっている「見えない塩」が多くあるという。
 
シリアルの一種で、麦や玄米、ココナツなどが入った「グラノーラ」の活用を提案する専門家もいる。
市販のグラノーラ1食分(50グラム)の塩分は0・2グラム程度。
よくかんで食べる特徴もあるため、脳が活性化されると別の利点もある。
併せて食べるといいのがヨーグルトやキウイなどのカットフルーツで、フルーツは含まれるカリウムが塩分を排出する効果もある。

こんな人は塩分の取りすぎかも
① 外食で「しょっぱい」より「おいしい」と感じる
② のどか渇きやすい
③ みそ汁やスープなど汁物を好む
④ 麺類、漬物をよく食べる
⑤ 手足がむくむ
⑥ 体重が増えた
⑦血圧値が上がった

①調査では、「おいしい」と答えた人の1日の塩分摂取量は平均約14グラムでしたが、「しょっぱい」は約7グラムでした
②塩分を取りすぎると、脳が「水分を飲みなさい」と指令を出します
③みそ汁1杯の塩分は2グラム。薄めて1食程度にしましょう。
④ラーメン1杯は4.5グラム - 6グラムと高めです。うどんやそばも含め、汁を全く飲まな
ければ2 - 3グラムは減塩できます。
⑤指輪が抜けなくなるのはその一例です
⑥塩分摂取量が増えると味も濃くなり、ご飯の量も増えます
⑦120 ~ 80の血圧値を心がけましよう。血圧が正常な人でも1日6グラムをお勧めします

 
<関連サイト>
消費者庁によると、加工食品は2020年までに「食塩相当量」の表示が原則義務となる。
現在の表示のナトリウムは約400ミリグラムが食塩1グラムと覚えておくとよい。
日本高血圧学会のサイト「さあ、減塩!」
http://www.jpnsh.jp/general_salt.html
では、減塩のコツなどを紹介している。

出典
朝日新聞・夕刊 2016.2.2