塩分減らす10カ条

健康の大敵 取り過ぎ塩分、減らす10カ条

厚生労働省は2014年3月28日、新たな「日本人の食事摂取基準(2015年版)」を発表した。
実際の塩分摂取量がなかなか減らない中で、より厳しい目標値を設けて「減塩」の必要性を強調している。過剰な塩分摂取は、高血圧をはじめ、心疾患や胃がんぜんそくなど様々な病気のリスクを高める。
どう無理なく塩分摂取を減らせばよいのだろうか。

年末、ユネスコ無形文化遺産に和食が登録され、その魅力がクローズアップされた。
ただ、味噌やしょうゆ、漬物、塩蔵品などを多用するため、塩分摂取量が多くなりがちという「弱点」も抱えている。
 
厚労省平成24年国民健康・栄養調査によると、日本人の1日の食塩摂取量(20歳以上)は、男性11.3グラム、女性9.6グラム。
9年前の男性12.7グラム、女性10.9グラムからは減る傾向にあるものの、ペースは緩やかだ。
 
減塩が進まない中、2015年版、日本人の食事摂取基準では、1日の食塩摂取量の目標が、前回の男性9グラム、女性7.5グラムから男性8グラム、女性7グラムとされた。
男女とも平成24年の摂取量から1日あたり2グラム以上の減塩が必要となった。

ちなみに、高血圧症の人ではさらに厳格な塩分制限が必要で、日本高血圧学会が示す塩分摂取目標値は1日6グラムである。
 
厳しい塩分摂取目標が設けられたのは、過剰な塩分摂取が様々な病気のリスクを高めることがわかっているからだ。

徐々に薄味、味覚変える  酢、レモンで味工夫 / 食べる量も調整
高血圧など誘発
最も代表的なのが高血圧。
食塩に反応しやすいタイプの人では、過剰な塩分摂取が高血圧の原因となる。
また、高食塩は脳卒中や心疾患のリスクも高める。
ナトリウムとともにカルシウムも排せつされてしまうことから、尿路結石や骨粗しょう症も助長される。
胃がんの原因であるヘリコバクターピロリ菌が高食塩下で増殖しやすいため、胃がんのリスクも高まる。
疫学調査では塩分の摂取量が多い人にぜんそくが多く、動物実験で食塩の投与によりぜんそくを発症することもわかっている。
 
特に、高齢者、肥満の人、糖尿病、腎臓病の人は、食塩の影響を受けやすいので注意が必要だ。
 
とはいえ、塩分を取り過ぎていると自覚している人は少ない。
納豆についているタレを全部使うようなら、濃い塩味に慣れており、塩分摂取量が多い可能性が高い。

では、塩分摂取量を抑えるにはどうしたら良いのか。
大切なのは、少しずつ薄味に慣れていくことだ。
10グラム取っていた塩を急に6グラムに減らしては、味気なく、おいしく食べることができず、減塩生活が長続きしない。
 
上手に薄味にするには、自分の味覚のものさしを持つことが大切だ。
例えば、納豆のタレを全部使っていたなら、それを3分の2、次に半分にしてみるといい。
徐々に薄くしたその塩味を基準に、他の食品の味を合わせていけば、味覚自体が変わり、おいしいと感じる塩味が以前より薄くなる。

日本人の食塩摂取源を見ると、しょうゆや塩などの自分で調整しやすいものと、加工品に含まれており調整しにくいものがある。
 
減塩では、調整しやすいものから始めるといい。
1滴ずつ出るタイプのしょうゆを使う。
あるいは、食べ物の上からかけずに皿にとってつけるようにする。
肉や魚を焼く際は、食べる直前に塩をかけると、少量の塩でも塩味を感じやすく、使う塩の量を減らせる。香辛料や酢、レモンで味のメリハリを付けたり、焦げ目で香ばしさを出したりすることでも薄味でおいしく食べられる。

乳幼児こそ減塩
一方、魚の練り物やソーセージなどの加工品など、自分で塩の量を調整しにくいものは、それら自体を食べる量を減らすようにする。
干物は、甘塩タイプを選ぶ。

総菜選びや外食では、そこに含まれる塩分量を確認するのも、減塩を意識するために大切だ。
 
減塩は、大人になってからはもちろんのこと、乳幼児期から始めることが重要だ。
乳幼児期の塩分摂取量を抑えると、その後の血圧が低く抑えられたという報告もある。
味覚が敏感な幼児期にこそ薄味にすることで、その後も塩分摂取量が低く抑えられる。

過度な減塩も不調の原因に
普通の生活を送る上では、塩分の摂取量は抑えるべきだ。
ただ、しっかりと塩分を取らなければならない場面もある。
真夏の温熱環境下や、激しい肉体労働、運動をした際には、汗や尿で失われた塩分を補給することが大切。とはいえ、汗もかいていないのに、熱中症を心配してスポーツドリンクを飲み過ぎると塩分摂取量が高くなる。
普段の水分補給は「水やお茶などで」がよい。
 
腎臓の働きが低下している一部の高齢者では、減塩し過ぎるとナトリウムが不足し不調の原因になることもある。

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上手に塩分を抑えるための10カ条
・みそ汁やスープを飲む量を半分に減らす
・焼き魚などの上からしょうゆや塩を振らない
・薬味や香辛料で味の変化を出して塩やしようゆを抑える
・塩の代わりに酢やレモン汁を使う
・だしでうまみをつけ、塩やしょうゆを抑える
・調理の際には、塩の量を計るクセをつける
・ソーセージや魚の練り物などの加工品を少なめにする
・加工品や弁当を購入する際、外食時には、塩分表示を確認する
・舌を徐々に薄味に慣れさせるため、納豆に入れるタレの量、みそ汁に入れる味噌の量などを少しずつ減らし
 ていく
・食事の量を摂り過ぎない


参考・引用
日経新聞・朝刊 2014.4.19