熱性けいれん

熱性けいれん、親は冷静に 時間や状態伝えて的確な治療を

子どもが急に熱を出すと親は心配になる。
手足を震わせたり、手足がつっぱったりする「熱性けいれん」を起こせばなおさらだ。
だが、発熱に伴うけいれんの多くは短時間でおさまるという。
学会は昨年、ガイドラインを改め、軽症ではむやみに投薬や検査をせず、重症例をきちんと見分けるよう呼びかけている。

「5分以内」ポイント
熱性けいれんはおおむね38度以上の発熱に伴って起きるけいれん発作。
発熱の原因はインフルエンザや突発性発疹などさまざま。
主に6カ月から5歳までの乳幼児にみられ、20~30人に少なくとも1人は発症する、珍しくはない症状だ。

近年はワクチンの普及で細菌性髄膜炎の患者は減少。
髄液検査は体を傷つける上、けいれんを抑える薬にはふらつきなどの副作用がある。
経過が良好な子どもにまで、『何でも検査、薬』というのは不利益もある。
こうした背景から、日本小児神経学会は2015年、熱性けいれんの診療ガイドラインを約20年ぶりに改訂した。
 
ガイドラインによると、けいれんが5分以内に治まり、他の病気を疑わせる様子がみられなければ、詳しい検査や薬は基本的に必要ないという。
多くの場合、医療機関に着くころには子どものけいれんが治まっているので、付き添いの親からの情報が鍵となる。
 
具体的には、
▽ けいれんに気付いてから治まるまでの正確な時間
▽ けいれんしているのは全身か、左右差があるかどうか
▽ 治まった後、目が合うなど意識が回復しているか、
などが注意するポイントだという。
 
実際より長く感じると思うが、的確な治療や対応に結びつくので、できるだけ詳しくみておいてほしい。
 
重症を疑うべき例には要注意
熱性けいれんは、直面した親の不安が大きい。
発熱を恐れるあまり、予防接種を避けるのは望ましくない。
親と医師の双方に正しい理解が必要だという。
 
ガイドラインなどによると、熱性けいれんの再発率は30%程度で、再発した場合も成長や学力などには影響しない。
 
また、熱性けいれんは多くの場合は一過性で、再発しても、てんかんの原因となることはない。
てんかんをもつ子どもが、熱性けいれんを機に診断される場合はあっても、移行するわけではなく、因果関係はないとされている。
 
一方、けいれんが短期間で繰り返し起きる場合は注意が必要だ。
基本的に問題のない病気という認識のもと、少ない重症例を見落とさないという視点が重要だ。
ガイドラインでは、重症が疑われる際の対応も示している。
 
5分以上のけいれんが続いたり、24時間以内に発作を繰り返したりといった場合は、抗けいれん薬を使う。
自宅で高熱が出た際には、けいれん前に座薬を入れることもある。
脳症などを起こしていないかを調べる、
頭のMRI検査や脳波検査などを推奨している。
座薬以外の薬も2014年に適応になっており、治療の幅は広がっている。


熱性けいれん・まとめ          
・おおむね38度以上の発熱に伴う
・生後6ヵ月~5歳に多い
・7割は再発せず。
再発しても成長、学力には影響せず
・症状 手足の震え、体が硬直する など

「症状のチェック点」
けいれんの持続時間    5分以内かどうか
体の左右で違いはあるか 左右対称かどうか 
治った後に意識の回復程度は  目が合うかどうか
   
受診時にはできる限り医師に詳細を!

重症の場合は・・・脳波やMRIの検査
         抗けいれん薬による治療

出典
朝日新聞・朝刊 2016.1.12



<熱性けいれん・関連サイト>
熱性けいれんガイドラインが18年ぶりに改定!
http://sickchild-care.jp/point/9379/

もう熱性けいれんで慌てない 基本対応のすべて!
http://sickchild-care.jp/point/5147/


熱性けいれん」はどんな病気ですか?
http://child-neuro-jp.org/visitor/qa2/a5.html
(日本小児神経学会)