レビー小体型認知症

認知症、心臓の画像検査に注目 2割占める「レビー小体型」

認知症の2割を占めるとも言われる「レビー小体型認知症」。
早く診断できれば、予測される体の症状にも備えることが可能になる。
体のこわばりなど特徴的な症状が出ていない段階でも、心臓の画像検査が有力な判断材料になりうると、評価が高まっている。

早期診断、幻視が改善
存在していないものが見える「幻視」を繰り返すのは、特徴的な症状の一つだ。
体のこわばりや狭い歩幅でちょこちょこ歩くといったパーキンソン症状も別の有力な特徴である。
最近では、微量な放射線を出す薬剤を点滴で静脈から入れて心臓の状態を調べる「MIBG心筋シンチグラフィー」も有力な診断手段となっている。
 
レビー小体型認知症は、「レビー小体」というたんぱく質の塊が、脳だけでなく全身の自律神経にもたまることがわかっている。
この検査を受けると、レビー小体の影響で心臓をつかさどる交感神経への薬剤の取り込みが悪くなっていると、心臓が写らないことが多いという。
 
レビー小体型の初期は、アルツハイマー型など別の認知症と見分けるのは難しい面がある。
この検査ではアルツハイマー認知症などの患者は心臓が黒く写るため、鑑別の根拠の一つになる。
2012年3月から、これらの鑑別診断のための検査としても公的医療保険が使えるようになった。
 
また、レビー小体型認知症は自律神経障害を伴うことが多い。
立ち上がったときや食後に血圧が急激に下がったり、横になると急に上がったりし、まれに命にかかわる場合もある。
男性は現在、治療は不要だが、血圧が変動しやすい傾向はある。
 
国際的に高まる評価
MIBG心筋シンチグラフィーの評価は、国際的にも高まってきている。

昨年12月に米国であったレビー小体型認知症の国際会議で診断基準の改定が議論され、この検査の重要度が引き上げられる方向だという。
 
例えば、認知機能の低下と幻視があり、この検査で心臓が写らない場合、現在の基準では「疑い」だが、改定後は「ほぼ確実」になりそうだ。
しかし、この検査は、判断が難しい場合に限られるものだ。
 
レビー小体というたんぱく質の塊が全身にたまり、レビー小体型認知症と「きょうだいの病気」とも言われるのがパーキンソン病
パーキンソン病でも、この検査で心臓が写らないことが多い。
日本ではパーキンソン病の鑑別診断も医療保険が使える。
昨年10月に発表された国際学会の診断基準では、この検査が初めて採り入れられた。

パーキンソン病はこの検査をしないと鑑別できないわけではないが、精度を高める一助になる。
 
 
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もしかしてレビー小体型認知症
□もの忘れがある
□頭がはっきりしているときと、そうでないときの差が激しい
□実際にはないものが見える
□妄想がみられる
□うつ的である
□動作が緩慢になった
□筋肉がこわばる
□小股で歩く
□睡眠時に大声を出したり、手足をばたつかせたり異常な行動をとる
□転倒や失神を繰り返す

5個以上あてはまるとレビー小体型認知症の可能性がある

出典
朝日新聞・朝刊 2016.3.22(一部改変)


<私的コメント>
レビー小体型認知症ではしばしばパーキンソン症状が合併します。
MIBG心筋シンチグラフィーは、レビー小体型認知症でもパーキンソン病でも同様に「心臓が写らない」わけですから両者の鑑別にはなりません。
心筋シンチグラフィーで映った場合に、レビー小体型認知症でもパーキンソン病でもない、といった診断のために使用されるのではないでしょうか。